生活習慣病について知る

「高血圧」の予防・改善

「最近血圧が高くなった」など血圧が気になりつつも「高血圧といわれたけど、別に痛みなどはないし、何がいけないのだろう?」「血圧を下げるためにはどうしたら良いのかよくわからない…」とお思いの方は多いのではないでしょうか。
高血圧は日本人にとって最大の生活習慣病リスク要因の一つです。
高血圧の原因や今日から始められる対策法を見ていきましょう。

「高血圧」とは

「高血圧」とは、”血圧が一定の値より高い状態”のことを指します。収縮期血圧(いわゆる”上”)が140㎜Hg以上、拡張期血圧(いわゆる”下”)が90㎜Hg以上のとき「高血圧」と診断されます。
現在、日本の高血圧患者数は約4,300万人と推定されています。
そのうち治療により血圧が適切にコントロールできている人は少なく、27%です。
また、4,300万人のうち、自分が高血圧であることを認識していない人は、33%いると推計されています。

出典:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」(2019年)

そもそも「血圧」とは

「血圧」とは、血液が動脈を流れる際に血管の内側にかかる圧力のことを言います。
血圧の"上"や"下"という言い方をよく耳にしますが、”上”とは心臓が収縮して血液を送り出したときの「収縮期血圧(最高血圧)」、”下”とは心臓が拡張したときの「拡張期血圧(最低血圧)」のことを指します。

高血圧の症状

血圧が高くても、自覚症状は現れないことが多いです。
血圧がかなり高い場合には、頭痛やめまい、肩こりなどが起きやすくなりますが、これらの症状は血圧とは関係ない場合にもよく現れるものであり、自覚症状のみで高血圧に気づくのは難しいといえます。

高血圧だと何がいけない?高血圧のリスクとは

高血圧状態では、血管の壁に常に強い圧力がかかります。強い圧力に対応すべく、血管の壁は厚く硬く変化し、「動脈硬化」が進行しやすくなります。
「動脈硬化」が進行するほど、血管の弾力性は失われ、血管内部は狭くなり、血圧はさらに上昇するという悪循環に陥ることがあります。
そしてこの悪循環は、やがて「合併症」を引き起こすことがあります。
高血圧は、自覚症状がないまま、長い時間をかけて動脈硬化を進行させ、重篤な病気を引き起こすリスクがあります。
別名「サイレントキラー」とも呼ばれる所以です。

高血圧の主な合併症

主に以下の合併症が認められます。
    • 脳の血管が詰まる「脳梗塞」
    • 脳の血管が破れる「脳出血」
    • 眼底出血など
  • 心臓
    • 冠状動脈の動脈硬化による「狭心症」や「心筋梗塞」
    • 高血圧に対し心臓がオーバーワークを続けた結果生じる心肥大(心臓の壁が厚くなった状態)および心不全など
  • 腎臓
    • 尿にタンパクや赤血球が出る、むくむ など
    • 腎機能の低下(人工透析なしでは生命を維持できなくなる)など
多くの場合、合併症は一度起きてしまうと治すのが難しいため、合併症が起きる前に高血圧の治療を始めることが大切です

肥満の方は特に注意が必要

高血圧以外にも動脈硬化を進めてしまう要因はいくつかあり、「脂質異常症」はその一つです。

「脂質異常症」とは血液に含まれる以下3つの脂質のどれか一つ以上の数値に異常がある状態です。
  • LDLコレステロール(いわゆる”悪玉コレステロール”)
  • HDLコレステロール(いわゆる”善玉コレステロール”)
  • 中性脂肪
血液中にLDLコレステロールが増え過ぎると、動脈硬化が進行しやすくなります。

また、中性脂肪はLDLコレステロールを増加させることがわかっており、中性脂肪が多い「肥満」の方は、より動脈硬化になりやすいといえます。
血圧には一層の注意が必要です。

高血圧の原因

日本人の場合、高血圧の多くが、食塩の過剰摂取、肥満、飲酒、運動不足、ストレスや、遺伝的体質などが組み合わさって起こると考えられています。

なかでも重要なのは、食塩の過剰摂取です。 日々の生活が高血圧を引き起こしている場合が多いといえます。

また、加齢によっても血圧が上昇する傾向があります。

加齢による高血圧

高血圧の発症は加齢とともに多くなり、60歳代では男性で39.0%・女性で29.8%、70歳以上では男性36.5%・女性で42.8%が高血圧であることが報告されています。

加齢によって血管の弾力性が低下し、動脈硬化が進行することが原因とされています。

20歳以上2,601人の割合(血圧を下げる薬の使用者含む)。Ⅰ度・Ⅱ度・Ⅲ度高血圧の合算。

出典:厚生労働省「国民健康・栄養調査」(2019年)

今日からできる! 高血圧を防ぐポイント

食塩を減らす

塩分の多い食事は控え、加工食品も合わせて、塩分は1日6g未満に抑えられるよう心がけましょう。

お酒は飲みすぎない

アルコール類の飲みすぎは血圧上昇のもとです。 日本酒なら1日1合、ビールなら 1日中瓶1本くらいが適量です。

毎日の習慣に運動を取り入れる

1駅分歩く、テレビを観ながらストレッチするなど、ちょっとした時間を使ってできる運動を日々の生活に取り入れましょう。
無理のない範囲で始め、60分程度を目標に行います。治療中の方は医師の指示を受けて運動をしましょう。

適切な体重を維持する

糖分が多く含まれているお菓子や飲料、油脂の多い揚げ物などの取りすぎに注意しましょう。また早食いは肥満のもとです。よく噛んでゆっくり食べるよう心がけましょう。

禁煙する

喫煙は血管が収縮して血圧を上げ、血液の流れを悪くし動脈硬化を引き起こします。 受動喫煙にも注意しましょう。

十分な休息を取る

日々の生活では知らないうちにストレスがたまります。趣味やリラックスできる環境を整え、十分な睡眠や休息を取りましょう。

高血圧への対策を適切に行い生活習慣病予防を

重篤な疾病のリスク因子である高血圧。大事に至る前に、しっかり予防・改善していきたいですね。
日々の生活習慣を見直すとともに、リスクが気になる方は生活習慣病保険などもご検討ください。

荒巻医院 院長 井林 雄太

2008年大分大学医学部卒業後、福岡の国立総合病院を中心に初期研修を終了。内分泌代謝/糖尿病の臨床、健康長寿に関連するミトコンドリア基礎研究に従事しつつ、内分泌代謝内科専門医や糖尿病専門医等の資格を取得。

最近では、内科学/糖尿病学/内分泌代謝学に加え栄養学/アンチエイジング学にも専門を広げ、予防医学の一環として内分泌・糖尿病教育に力を入れながら複数企業のメディアにおいて情報発信を行っている。

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