1~3割の自己負担で介護サービスを利用できる
公的介護保険制は、2000年の介護保険法施行にともない創設されました。創設の背景には、要介護者の増加や介護期間の長期化、要介護者を支える家族状況の変化などが挙げられます。
公的介護保険制度は、少子高齢化が進む中で、高齢者の介護を社会全体で支えるためにつくられた仕組みといえるでしょう。
加入対象は40歳以上
・第1号被保険者:65歳以上の方
・第2号被保険者:40歳以上65歳未満の医療保険加入者
医療保険加入者が40歳を迎えると、医療保険料とともに介護保険料を徴収されます。一方、健康保険の加入者は、原則的に事業主との労使折半(2分の1負担)で、介護保険料が徴収されることが特徴です。
また、第2号被保険者が65歳を迎えると、自動的に第1号被保険者へと切り替わり、原則的に年金からの天引きで保険料を徴収されるようになります。
要介護認定を受けた人にのみ適用
要介護状態
(認定の目安)とは?
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食事や排せつなど時々介助が必要
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立ち上がりや歩行などに不安定さがみられることが多い
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食事や排せつに何らかの介助が必要
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立ち上がりや歩行などに何らかの支えが必要
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食事や排せつに一部介助が必要
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入浴などに全面的に介助が必要
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片足での立位保持ができない
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食事に一部介助が必要
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排せつ、入浴などに全面的に介助が必要
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両足での立位保持がほとんどできない
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日常生活を遂行する能力は著しく低下し、日常生活全般に介助が必要
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意思の伝達がほとんどできない
第1号被保険者と第2号被保険者では適用条件が異なる
公的介護保険制度が適用されるサービス3種
在宅サービス
種類 | 内容 |
訪問介護 | 訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問して、食事・排泄・入浴などの「身体介護」や、掃除・洗濯・買い物などの「生活援助」を行なう。 |
訪問看護 | 看護師などが疾患のある利用者の自宅を訪問して、療養上の世話、診療の補助などを行なう。主治医の指示のもと、血圧・脈拍の測定や、在宅酸素、リハビリテーションなどが可能。 |
通所介護 (デイサービス) |
利用者がデイサービスセンターなどに日帰りで通い、生活機能向上に向けた機能訓練や、食事・入浴など日常生活支援を受ける。要支援1・2の方はサービスを受けられない。 |
福祉用具貸与 | 家族の介護負担軽減などを目的に、車いすや特殊寝台、床ずれ防止用具、体位変換器など13品目の福祉用具をレンタルできる。要介護度に応じて、レンタル可能な福祉用具は変わる。 |
施設サービス
種類 | 内容 |
特別養護老人ホーム | 在宅が難しく、常に介護が必要な方を対象に、日常生活上の支援や機能訓練、療養上の世話を行なう施設。介護老人福祉施設ともいう。 要支援1・2、特別な事情がない要介護1・2の方はサービスを受けられない。 |
介護老人保健施設 | 要介護者の方が在宅復帰できるように、リハビリテーションや介護を提供し、在宅復帰に向けてサポートする施設。老健とも呼ばれる。 要支援1・2の方はサービスを受けられない。 |
介護療養型医療施設 | 長期にわたる療養が必要な要介護者を対象に、医療や機能訓練、介護などを提供する施設。 要支援1・2の方はサービスを受けられない。 |
地域密着型サービス
種類 | 内容 |
夜間対応型訪問介護 | 訪問介護員が利用者の自宅を訪問するサービス。夜間帯(18~8時)に訪問を受ける「定期巡回」と、体調不良時などに通報で介助を求められる「随時対応」のサポートがある。 |
認知症対応型通所介護 | 認知症の利用者を対象に、デイサービスセンターやグループホームなどの施設へ通所して、日常生活上の支援や機能訓練などを受けられるサービス。 |
公的介護保険制度を利用する流れ
1.市区町村窓口の申請
第2号被保険者の場合は、「医療保険者の被保険者証」が必要です。65歳未満のため、郵送による介護保険証の発行はされておらず、特定疾病によって要支援・要介護の認定を受けた場合のみ発行されます。
2.認定調査
基本調査の項目は、以下のとおりです。
・身体機能・起居動作:13項目
・生活機能:12項目
・認知機能:9項目
・精神・行動障害:15項目
・社会生活への適用:6項目
・過去14日間に受けた特別な医療について:12項目
なお、主治医がいないケースでは、代わりに市区町村の指定医による診察を受けることになるでしょう。
3.審査・判定
一次・二次判定をもとに、市区町村が申請者の要介護・要支援認定を行なうのです。結果は、原則的に申請から30日以内に通知されます。
4.サービスの選択
実際にサービスを受けるときは、サービス事業者に対して「介護保険被保険者証」と「介護保険負担割合証」の提示が必要です。
公的介護保険制度で気を付けるべきポイント
内容によっては適用できない
・支給限度額を超えたサービス費
・食事の宅配サービス
・福祉自動車の送迎
・収入減による生活費の補填
・有料老人ホームの入居一時金
公的介護保険を適用できない項目については、全額自己負担となります。介護全体にかかる費用負担を減らすために、場合によっては民間の介護保険を検討するのも手です。
民間の介護保険であれば、現金支給で受け取れるため、用途に合わせて自由に使えます。また、年金タイプや一時金タイプなど種類は複数あり、ライフプランに応じて必要な商品を選べるのも特徴です。
適用除外となる条件がある
・障害者支援施設等、適用除外施設に入所する方
・海外勤務者で、居住していた市区町村に転出届を提出した方
(※転出届を提出していない場合は適用除外にならない)
・在留見込み期間が3カ月以下の外国の方
上記の条件に該当する場合は、「介護保険適用除外(該当・不該当)届」などの必要書類をそろえて、各事業所の健保担当者へ提出しましょう。
併せて知りたい!介護費用の負担を減らすその他の制度
高額介護サービス費
ただし、公的介護保険対象外の費用は、高額介護サービス費も対象外となります。また、公的介護保険のサービス支給限度額を超えた分に関しては、自己負担しなければなりません。
高額医療・高額介護合算療養費制度
例えば、後期高齢者医療制度と公的介護保険に加入している場合は、以下のように自己負担限度額が変わります。
所得区分 | 自己負担限度額 |
一般 | 56万円 |
課税所得145万円以上 | 67万円 |
課税所得380万円以上 | 141万円 |
課税所得690万円以上 | 212万円 |
なお、先述の高額介護サービス費が支給されている場合、その支給額が控除されたうえで自己負担額として扱われる点に注意してください。
負担限度額認定
例を挙げると、第1段階を満たす要件は以下のとおりです。
【収入等の要件】
・生活保護受給者
・別世帯の配偶者を含む世帯全員が、市民税非課税の老齢福祉年金受給者
【資産要件(預貯金等の合計)】
・単身で1,000万円以下
・夫婦で2,000万円以下
これらの要件を満たせば、介護サービス利用にかかる負担を抑えることが可能です。