介護では、一人ひとりの状況やニーズに合わせたコミュニケーションが求められます。適切なコミュニケーションは、相手の安心感を高め、信頼関係を築くために欠かせません。ここでは、介護現場でのコミュニケーションで押さえておきたい7つのポイントを解説します。
まずは、相手が何を求めているかを把握しましょう。
相手がただ話をしたいのであれば、遮らずに、じっくり聞いてあげてください。そうすることで、相手は安心して話せます。
また、アドバイスを求めているときもあります。この場合は、相手の悩みを明確にしなければなりません。具体的な問題を一緒に整理し、適切な解決策をともに考えることが大切です。
相手の意図に反するような対応をすると、信頼関係を築きにくくなってしまいます。相手の表情や言葉を観察し、その意図を汲み取る力が重要です。
伝えたいことがあるときは、話す順番を考え、短くシンプルに伝えることがポイントです。
長い説明や複雑な話は、混乱を招く可能性があります。特に、認知機能が低下している方や難聴の方に対しては、簡潔に伝えるのが効果的です。平易な言葉で、区切りながら話すと相手も理解しやすくなります。質問や要求も、一度に複数伝えることは避け、1つずつ伝えていきましょう。
また、話すペースも意識するとよいでしょう。早口は避け、ゆっくり、はっきり話すと伝わりやすくなります。
信頼関係を築くには、相手に寄り添う姿勢が大切です。介護のコミュニケーションでは、以下の3つの技術が効果的とされます。
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傾聴:相手の話に耳を傾け、関心を寄せること
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受容:相手の話を否定せず、受け入れること
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共感:相手の状況を理解し、感情に寄り添うこと
特に傾聴は、コミュニケーションで最初に求められることです。
相づちを打つことや、相手の言葉を繰り返すことで、話を聞いていることが相手に伝わりやすくなります。関心を寄せてもらえることがわかれば、相手も心を開きやすくなり、話しやすい雰囲気が生まれるでしょう。
日々のささいな会話からでも実践できるため、ぜひ意識して取り入れてみてください。
育った環境や、どのような仕事をしてきたのかなど、人生の背景は一人ひとり異なります。なかには辛い経験や、思い出したくない話題があるかもしれません。
会話を弾ませるためには、相手が楽しく感じる話題を選ぶことが大切です。趣味のことや家族のことなど、相手が好む話題を選ぶと気持ちも明るくなるでしょう。
一方で、ネガティブな話題や、過去の辛い出来事には触れないほうが無難です。特に、家族の不仲、病気、戦争体験などには注意しなければなりません。
ただし、相手から辛い話を切り出してきたときはじっと傾聴し、受け止めるようにしましょう。話すことや共感を示されることで気持ちが軽くなることもあります。
高齢にともなう聴力や視力の低下、認知症による失語などで、言葉でのコミュニケーションが難しい方もいます。
そのような方とのやりとりでは、積極的に非言語的コミュニケーションを活用してみましょう。
非言語的コミュニケーションは、言葉が通じにくい方とも意思疎通を図れるため、介護現場では重要な役割を果たしています。前項で取り上げたメラビアンの法則でも、相手に影響をおよぼす非言語的情報は93%を占めていました。特に、表情やジェスチャーは、相手に安心感を与える重要なツールになるため、積極的に取り入れてみましょう。
相手から情報を適切に引き出すためには、質問の仕方が重要です。質問には2つの方法があります。
身体が不自由な方や高齢者の場合、うまく質問に答えられないこともあります。回答を急かさず、相手の状態などに配慮しながら質問を使い分け、ときには選択肢を示してあげると、円滑にコミュニケーションができるでしょう。
相手がリラックスして話せる雰囲気を作るためには、座る位置も重要です。
真正面に座ると相手はプレッシャーを感じ、緊張してしまう可能性があります。そこで、少し横にずれて座るようにしましょう。
相手の斜め45度の位置に座ると、リラックスでき、安心して会話ができるとされています。これは、視線を合わせたりそらしたりを自然にできるためです。
また、距離感も大切です。介護では身体介助をするため、介護者は相手との距離感を測り損ねてしまうことがあります。
パーソナルスペースに配慮し、近すぎず、遠すぎない距離感で、心地良くコミュニケーションをとれるように意識してみましょう。