生活習慣病の定義・種類・原因

"生活習慣病”とよく耳にすることはあっても、どのような病気か具体的には分からない…と言う方も多いのではないでしょうか。
生活習慣病はその名の通り、生活習慣が深く関与し、それらが発症の要因となる疾患の総称です。
将来に向けて自分自身や家族の生活を今一度見直してみましょう。

生活習慣病の定義

生活習慣病は「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」と定義されています。(厚生労働省「スマートライフプロジェクト21」)
日本人の死因の上位を占める、がんや心臓病、脳卒中も、生活習慣病に含まれます。

生活習慣病の種類

生活習慣病は複数の疾患の総称です。どのような疾患があるのかチェックしていきましょう。

糖尿病

血液中に含まれる糖分(血糖値)が慢性的に高くなる病気。
インスリンというホルモンの不足や作用低下により、血糖値の上昇を抑える働き(耐糖能)が低下することが原因。自覚症状のないままに病気が進行し、重篤な合併症が進展するリスクがあります。
網膜症・腎症・神経障害という三大合併症、さらには血管の動脈硬化が進行することで心臓病や脳卒中のリスクも高まります。

肥満

体重が多いだけではなく、体脂肪が過剰に蓄積した状態。食生活の欧米化や運動不足によって糖尿病や脂質異常症、高血圧、心疾患などの他の生活習慣病をはじめとして、さまざまな病気につながりやすいため、肥満の予防・対策は健康のために欠かせません。

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【BMIの計算方法】 BMI=体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}
 例:身長172cm、体重65㎏の場合 65(㎏)÷{1.72(m)×身長(1.72m)} = 22

●目標とするBMIの範囲(厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」)
目標とするBMIの範囲(厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」)
日本では、BMI 25以上を肥満と定義します。
日本では、BMI 25以上を肥満と定義します。

*高齢者では、フレイルの予防及び生活習慣病の発症予防の両者に配慮する必要があることも踏まえ、当面目標とする BMI の範囲を 21.5〜24.9 kg/m2 とした。

脂質異常症(高脂血症)

2007年に「高脂血症」から名称が改められた症状。血液中のコレステロールや中性脂肪などの脂質代謝に異常をきたした状態のことを指し、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞などにつながる原因となります。

高血圧症

食塩のとりすぎや肥満、飲酒、運動不足などが原因で、診察室での測定で最大血圧が140mmHg以上、または、最小血圧が90mmHg以上の状態を指します。

厚生労働省「e-ヘルスネット」より

高血圧の状態が続き、動脈硬化が進むと、狭心症や心筋梗塞、心不全、脳梗塞や脳出血、認知症になりやすくなります。

心筋梗塞

動脈硬化によって、心臓の血管に血栓が生じて、血液が流れなくなり心筋の細胞が壊れてしまう病気。
発症時には胸にしめつけるような激痛があり、呼吸困難や脈の乱れといった症状を伴うケースがあります。心臓の血管が一瞬で詰まってしまい突然死する場合もあります。

脳卒中

「脳梗塞」、「脳出血」、「くも膜下出血」の総称。
「脳梗塞」は脳の血管が詰まった状態であり、高血圧の程度が強いと、脳内の血管が破れる「脳出血」や、脳表面の血管に動脈瘤が発生・破裂してしまう「くも膜下出血」につながります。

肺がん

気管支や肺胞の細胞がガン化する病気。喫煙などが原因とされることが多いです。

慢性気管支炎

気管や気管支が慢性的に炎症を起こし、咳やたんが続く状態。喫煙などが原因とされることが多いです。

大腸がん

大腸(結腸・直腸・肛門)に発生したガン。食生活、飲酒、喫煙などが原因とされることが多いです。

脂肪肝

中性脂肪が肝臓内に多く蓄積した状態。
慢性化すると肝炎を引き起こし、肝硬変にまで進行する可能性もあります。

肝硬変

肝臓に慢性的に炎症が起こり、肝細胞の破壊・再生が繰り返されることで細胞が徐々に線維化され、肝臓が硬くなる病気。悪化すると、消化管出血・腹水・むくみ・黄疸などの症状が現れ、肝不全や、肝臓がんに発展するリスクがあります。
初期の肝硬変では肝機能はある程度保たれているため、早期に発見し、原因を取り除き、線維化の進行を食い止めることが重要です。
主な原因は肝炎ウイルス感染で、その他アルコールの過剰摂取なども挙げられます。

生活習慣病の原因とは?

不適切な食習慣、運動不足、喫煙、過度な飲酒、またストレスが原因になることがあります。

《生活習慣チェック!》

偏った食習慣

  • 炭水化物をよく食べる
  • 脂っこい料理をよく食べる
  • 濃い味付けの料理をよく食べる
  • 甘いジュースをよく飲む
  • 間食が多い
  • 深夜の飲食が多い
  • 野菜をあまり食べない

運動不足

  • 移動は車が多い
  • 運動をする習慣がない
  • 一日の歩数は7,000歩未満が多い

ストレス

⼼筋梗塞の発症理由のひとつとして、ストレスや抑うつの関わりがあることが明らかになっています。

喫煙

  • たばこを吸う

過度な飲酒

厚生労働省「健康日本21(第二次)」によると、生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している方とは、1日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上の方とされています。

厚生労働省「e-ヘルスネット」より

  • (男性)1日当たりアルコール量40g以上に相当するお酒を飲む
  • (女性)1日当たりアルコール量20g以上に相当するお酒を飲む

アルコール量20gの目安

  • ビール(アルコール度数5%)中ビン1本(500ml)
  • チューハイ(アルコール度数7%)レギュラー缶1本(350ml)
  • ワイン(アルコール度数12%)グラス2杯(200ml)
  • 日本酒(アルコール度数15%)1合(180ml)
  • 焼酎(アルコール度数25%)ロック1杯(100ml)
  • ウイスキー(アルコール度数40%)ダブル1杯(60ml)

生活習慣病は高齢者にも急増

生活習慣病は中年から高齢者の間で急増する傾向にありますが、中でも40歳を境に発症することが多い病気です。
一度かかると完治させることは難しく、重い障害となり介護が必要となる場合もあります。

生活習慣病と介護リスクの関係

生活習慣病である脳血管疾患(脳卒中)は、認知症や高齢による衰弱とならんで、介護状態となる主な原因となっています。

生活習慣病の予防と備えを

生活習慣病は、進行すると命にかかわるような深刻な病気が多く、予防が大切です。
生活習慣病の予防は、「運動」「食事」「たばこ」「飲酒」「睡眠」の5つの視点で 取り組みましょう。ご自身はどの生活習慣を改善する必要があるかを確認して、日々意識して予防していきましょう。
生活習慣病は、日々の生活習慣によって罹患リスクを抑えることができます。
とはいえ、日々忙しい中では生活習慣病がつい乱れてしまいがち…という方もいらっしゃるかと思います。
これを機に生活習慣を見直しつつ、万が一罹患してしまった場合の備えについて、
生活習慣病保険への加入も検討しておきましょう。

井林雄太〔医師〕

国立大学医学部卒業後、救急含む総合病院を中心に初期研修を終了。内分泌代謝/糖尿病の臨床に加え栄養学/アンチエイジング学が専門。大手医学出版社の医師向け専門書執筆の傍ら、医師ライターとして多数の記事作成・監修を行っている。
ホルモンや血糖関連だけでなく予防医学の一環として、ワクチンの最新情報、東洋医学(漢方)、健康食品、美容領域に関しても企業と連携し情報発信を行い、正しい医療知識の普及・啓蒙に努めている。最新の医療情報にも視野を広げ、デジタルヘルスケア領域や最新の治療アプリなどに関して、執筆・監修も行っている。

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