老後をどう考える?
年代別アドバイス

60代の民間介護保険の必要性
要介護者の割合や加入を検討すべき人とは


60代では、介護の可能性をより身近に感じるようになります。
自身が介護状態になったときにお金が足りるか不安なものの、60代で民間介護保険に入る必要があるのか疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
人によっては60代でも民間介護保険に入る必要性はあり、加入すれば老後に対しての大きな安心につながるでしょう。
当記事では、60代で民間介護保険に入る必要性や加入を検討すべき人の特徴を解説します。
民間介護保険に入るべきかお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

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60代における民間介護保険の必要性は?

60代の方にとって民間介護保険の必要性は高いといえます。
なぜなら、収入が減ってしまう60代からの貯蓄は厳しく、これまでの貯蓄が不十分な場合、公的介護保険のみでは介護費用が足りなくなる危険性があるからです。

さらに、60代前半では、介護状態になっても公的介護保険の受給対象にならないケースもあります。したがって、公的介護保険で足りない費用を補う手段として、民間介護保険への加入は非常に有効でしょう。

また、民間介護保険は健康状態によっては加入できない商品も少なくありません。
そのため、高額な保険料を払うことになったり、希望の保険に入るチャンスを失ってしまったりする可能性があります。
民間介護保険への加入を検討している60代の方は、可能な限り早めに加入されることをおすすめします。。

公的介護保険と民間介護保険の違いは?

まずは、公的介護保険と民間介護保険の違いを確認しておきましょう。

公的介護保険とは

公的介護保険とは、介護が必要とされる人を社会全体で支える仕組みです。
40歳以上の方が全員加入して介護保険料を納め、介護が必要になった方が要件を満たした場合、一定の割合の自己負担額で介護サービスが受けられます。
1カ月あたりの支給限度額が決まっており、限度額を超えてサービスを受けた場合、超えた分の金額は全額自己負担しなければなりません。
また、公的介護保険が適用されるのはあくまで介護サービスの部分のみです。
例えば、デイサービスにおけるおむつ代や昼食代、介護施設に入居した場合の家賃や食費は原則実費となります。

65歳以上と40歳〜64歳では、以下のとおり受給要件が異なります。

 

65歳以上

40歳〜64

受給要件

要介護状態または要支援状態(原因は問わない)

加齢が原因の特定疾病で要介護・要支援状態になった場合


このように、同じ60代でも65歳未満は加齢が原因の疾病でないと受給の対象とならないため、注意しましょう。

民間介護保険とは

民間介護保険とは、保険会社が定めた所定の要件を満たした場合に給付金を受け取れる、民間保険会社の商品の一つです。支払要件は公的介護保険制度に連動したもの以外にも、保険会社独自の基準を設けているものもあります。
公的介護保険と異なり、加入は義務ではありません。
また、公的介護保険は要介護認定を受けたときに介護サービスが受けられる「現物給付」ですが、民間介護保険は「現金給付」の点も大きなポイントです。給付された現金の用途は自由です。
公的介護保険の対象外であるおむつ代や食事代はもちろん、家族が介護を理由に仕事を制限している際は、収入減の補填にもできるでしょう。

介護が必要になる可能性は?

介護が必要な人の割合は年々増加しており、2030年には65歳以上の約5人に1人が要支援・要介護認定者となる見通しです※1
 

※1厚生労働省「第92回社会保障審議会介護保険部会資料」および「介護保険事業状況報告の概要(令和5年10月暫定版)」より当社推計(第1号被保険者に対する65歳以上の認定者数の割合を使用)

※2厚生労働省「令和3年度介護保険事業状況報告(年報)」

※3厚生労働省「令和3年度介護保険事業状況報告(年報)」および「第55回社会保障審議会介護保険部会資料」より当社推計

また、年代別の人口に占める要支援・要介護認定者の割合は以下のとおりです。
  • 40~64歳:0.4%
  • 65~69歳:2.9%
  • 70~74歳:5.8%
  • 75~79歳:11.8%
  • 80~84歳:26.0%
  • 85歳以上:59.5%

参考:厚生労働省「介護給付費等実態統計月報」/2023年9月審査分、および総務省「人口推計月報」2023年9月概算値もとに算出

60代のうちに介護が必要になる割合は低いですが、70代後半では10人に1人、80代後半では半数以上の人が介護状態となっています。

また、介護が必要となった原因を見てみましょう。
 

出典:厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査」

介護が必要となった原因の1位は認知症で、2030年には、65歳以上の約3人に1人が認知症患者(軽度認知障害含む)となるといわれています。このように、現在は元気でも、数年のうちに認知症になって要介護状態になるリスクがあるといえるでしょう。

65歳以上を対象として各年齢の認知症有病率が上昇する場合の数値を使用  内閣府「平成29年版高齢社会白書」、首相官邸認知症施策推進関係閣僚会議(第2回)資料 、厚生労働省老健局 社会保障審議会介護保険部会(第92回)「介護保険制度をめぐる最近の動向について」より当社推計

また、全体の40.8%は疾病が原因で要介護となっており、介護は高齢者だけの問題ではないと言えるでしょう。年齢や現在の健康状態に関わらず、誰にとっても介護が必要になる可能性があります。

60代で民間介護保険を検討すべき人3選

最後に、60代で民間介護保険への加入を検討すべき人の特徴を3つご紹介します。
  • 貯蓄で介護費用の準備ができていない人
  • 年金収入が多い人
  • 家族に介護をお願いできない・負担をかけたくない人

貯蓄で介護費用の準備ができていない人

60代で民間介護保険の加入を検討すべき人は、貯蓄で介護費用の備えができていない人です。60代は定年を迎え働いていない、もしくは働いていても現役のときほどの収入はない方がほとんどでしょう。そのため、60代からの貯蓄は難しく、介護費用はこれまでの貯蓄で補わなければなりません。

生命保険文化センターの調査によると、介護にかかる費用は以下のとおりです。
  • 介護の一時費用の平均:74万円
  • 月々の介護費用の平均:8.3万円
  • 介護期間の平均:61.1カ月
上記のデータから、介護を通じて全体で平均約581万円かかることがわかります。
介護費用を貯蓄で準備できていない人は、民間介護保険に入っておくと要介護状態になったときの不安が軽減されるでしょう。

年金収入が多い人

年金収入が多い人も民間介護保険への加入を検討するとよいでしょう。基本的に公的介護保険の自己負担割合は1割ですが、年金収入やその他の所得が多い人は自己負担割合が2~3割となる可能性があるからです。収入はあっても支払う金額も増えてしまい、いざ介護が必要になった場合に十分な介護費用を準備できないかもしれません。

60代のほとんどの人は、年金受給額がほぼ決まっています。
年金収入が多く、自己負担割合が高くなる可能性がある60代の方は、民間介護保険への加入がおすすめです。

家族に介護をお願いできない・負担をかけたくない人

家族に介護をお願いできない人、家族に負担をかけたくない人も民間介護保険を検討すべきでしょう。家族に介護してもらうことが難しい人が要介護状態となった場合、介護施設を利用することになるでしょう。

生命保険文化センターの調査によると、在宅介護と介護施設による介護費用の違いは以下のとおりです。
  • 在宅:月額4万8,000円
  • 介護施設:月額12万2,000円
このとおり、介護施設は在宅介護の約2.5倍の費用がかかります。有料老人ホームなどに入居する際、入居時の費用として一時金がかかる場合もあります。家族に介護をお願いできないなどの理由で在宅介護が難しい場合は、さらに費用がかかることを考慮しておかねばなりません。

また、生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、自分の介護に対する不安として「家族への肉体的・精神的負担」と回答した方が最も多く、全体の64.8%でした。経済的な負担よりも家族の心身への負担を不安に思っている方が非常に多いことがわかります。
しかし、現状は介護する人の約57%が配偶者や子どもなどの身近な家族です。
<主な介護者(介護する人)の割合>
 

出典:厚生労働省「令和4年 国民生活基礎調査」

「家族へ負担をかけたくない」と思う人が多い一方、実際は家族が介護をしている家庭が多いのは、経済的な問題が大きいかもしれません。家族の介護負担を軽減するには、十分な介護費用を準備する必要があります。

60代になると、子どもを含めた家族の状況もある程度めどがついている方も多いでしょう。
そのうえで、家族に介護をお願いできない人や、家族に負担をかけたくない人は、民間介護保険に加入することで経済的な負担の軽減が期待できます。

60代で老後の備えに不安がある場合、早めに民間介護保険の加入検討を


民間介護保険は、公的介護保険では費用が不十分な場合に備えるための保険です。

しかし、年齢を重ねるにつれて保険料は上がり、加入できる保険も少なくなってきます。また、60代で要介護状態になるリスクもゼロではなく、要介護状態になってからでは民間介護保険への加入はできません。

要介護状態になったときのことを考えると、家族のこと、自分自身のこと、経済的なことなど、あらゆることに不安がつきないものです。不安を軽減するためにも、元気なうちに家族と介護について話し合い、いざというときの備えが準備できているか確認しましょう。
老後の備えに不安がある方は、早めに民間介護保険の加入を検討しておくと安心です。

  
朝日生命では、認知症などの介護の経済的負担に備えられる介護保険を提供しています。
将来に備えて保険加入をご検討中の場合は、ぜひご活用ください。

CFP 齋藤 彩

急性期総合病院において薬剤師として勤める中、がん患者さんから「治療費が高くてこれ以上治療を継続できない」と相談を受けたことを機にお金の勉強を開始。ひとりの人を健康とお金の両面からサポートすることを目標にファイナンシャルプランナーとなることを決意。現在は個人の相談業務・執筆活動を行っている。

資格:1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(Certified Financial Planner)

公開日:2024年10月18日

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