介護サービスの自己負担額は?
負担額の判定方法と軽減制度も紹介


公的介護保険では月当たりに支給限度額があります。その限度額内で介護サービスを利用する際の自己負担割合は、65歳以上の方が1~3割、40歳以上65歳未満の方が1割と定められています。支給限度額を超えた分は基本的に全額自己負担です。

介護サービスを利用したいものの、「費用がどれくらいかかるのか心配」「自己負担を軽減できる制度はあるの?」と、不安や疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、介護サービス利用時の自己負担割合や支給限度額、利用サービスの種類別にかかる自己負担額、軽減制度などを解説します。

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介護サービス利用時の自己負担割合はどうやって決まる?

介護サービスを利用する際の自己負担割合は、利用者の所得や世帯構成に応じて1~3割の間で設定されています。そのため、同じサービスを利用しても、負担額は人によって異なります。
では、具体的にどのような条件で負担割合が決まるのか、以下で詳しく見ていきましょう。

保険料負担割合は所得に応じて1~3割

65歳以上であれば介護サービスを利用する際の自己負担割合が、所得などの条件によって、料金の1割・2割・3割のいずれかになります。例えば自己負担割合が1割の場合、介護サービスの利用料が1万円のとき自己負担は1,000円になります。

また、公的介護保険では、要介護認定の区分(要介護度)によって支給限度額が設定されており、限度額超過分は全額利用者負担となることにも注意しましょう。

利用者の自己負担割合の判定フローチャート

介護サービスの自己負担割合は、以下のフローチャートを参考に確認できます。

自己負担割合を詳しくチェックしたい方はこちらをクリック

1.単身世帯など、65歳以上の方が1名のみの世帯の例

65歳以上で本人の合計所得金額が280万円未満の場合 1割負担
65歳以上で本人の合計所得金額が280万円以上340万円未満の場合 2割負担
65歳以上で本人の合計所得金額が340万円以上の場合 3割負担

2.65歳以上の方が2名以上の世帯の例

65歳以上で本人の合計所得金額が160万円未満の場合 1割負担
65歳以上で本人の合計所得金額が160万円以上220万円未満で、同一世帯の65歳以上の方の所得合計が346万円未満の場合
65歳以上で本人の合計所得金額が160万円以上220万円未満で、同一世帯の65歳以上の方の所得合計が346万円以上の場合 2割負担
65歳以上で本人の合計所得金額が220万円以上で、同一世帯の65歳以上の方の所得合計が346万円以上463万円未満の場合
65歳以上で本人の合計所得金額が220万円以上で、同一世帯の65歳以上の方の所得合計が463万円以上の場合 3割負担

3.「40-64歳の方」、「生活保護受給者・市区町村民税非課税者」

上記1.2.に関わらず〔1割負担〕となります。

なお、合計所得金額とは、給与や年金などの収入から必要経費に相当する金額を控除した所得金額の合計で、医療費控除や扶養控除の所得控除などを行なう前の金額を指します。

参考:厚生労働省「利用者負担割合の見直しに係る周知用リーフレット」(平成30年6月8日)

自己負担割合はいつ決まる?

以下では、自己負担割合が決まるタイミングや、更新・変更の時期について詳しく解説します。

自己負担割合は要介護認定を受けたあとに決まる

介護サービスを利用する際の自己負担割合は、要介護認定により要介護度が確定する際に併せて決まります。自己負担割合は、前年の所得や家族構成をもとに決定され、要介護申請から認定までの期間は1カ月程度です。

要介護認定後に、「介護保険被保険者証」と「介護保険負担割合証」が自宅に郵送され、これらの証明書で具体的な自己負担割合の確認ができます。

なお、介護サービスを利用する際には、2枚の証明書をセットで提出する必要があります。提出を忘れてしまうと、本来の負担割合でサービスを利用できない可能性があるため注意が必要です。

要介護状態
(認定の目安)とは?

要支援2・要介護1
  • 食事や排せつなど時々介助が必要
  • 立ち上がりや歩行などに不安定さがみられることが多い
次のいずれかに該当する場合は「要介護1」となります。
認知機能の低下が見られる
おおむね6か月以内に介護の手間が増加する可能性がある
要介護2
  • 食事や排せつに何らかの介助が必要
  • 立ち上がりや歩行などに何らかの支えが必要
要介護3
  • 食事や排せつに一部介助が必要
  • 入浴などに全面的に介助が必要
  • 片足での立位保持ができない
要介護4
  • 食事に一部介助が必要
  • 排せつ、入浴などに全面的に介助が必要
  • 両足での立位保持がほとんどできない
要介護5
  • 日常生活を遂行する能力は著しく低下し、日常生活全般に介助が必要
  • 意思の伝達がほとんどできない

自己負担割合の更新・変更時期

介護サービスの自己負担割合は、基本的に毎年8月1日から翌年の7月31日までの期間で適用され、年に一度自動で更新されます。

自己負担割合は、初回の決定時と同じように前年の所得や世帯構成の変化によって見直される仕組みです。変更があった場合は、新しい「介護保険負担割合証」が交付されます。

また、内容に変更が生じた場合は、必ず担当のケアマネジャーや介護事業者に申し出、正確な情報を共有しましょう。

公的介護保険の支給限度額

居宅サービス、特定福祉用具の購入、住宅改修費にはそれぞれサービス費用の上限額が設けられており、「(区分)支給限度基準額」と呼びます。

限度額を超過した分のサービス利用料は全額が自己負担となるため、注意が必要です。支給限度額を前もって確認することをおすすめします。

居宅サービスの支給限度額

訪問介護やショートステイなどの居宅サービスおよび地域密着型サービスについて、要介護度別の1カ月あたりの支給限度基準額を見ていきましょう。

在宅サービスの1カ月あたりの支給限度額と自己負担限度額

要介護度 支給限度額(円/月) 自己負担額(1割) 自己負担額(2割) 自己負担額(3割)
要支援1 5万320円 5,032円 1万64円 1万5,096円
要支援2 10万5,310円 1万531円 2万1,062円 3万1,593円
要介護1 16万7,650円 1万6,765円 3万3,530円 5万295円
要介護2 19万7,050円 1万9,705円 3万9,410円 5万9,115円
要介護3 27万480円 2万7,048円 5万4,096円 8万1,144円
要介護4 30万9,380円 3万938円 6万1,876円 9万2,814円
要介護5 36万2,170円 3万6,217円 7万2,434円 10万8,651円
(上記は1単位=10円の地域の場合の例です。地域によって金額が異なる場合があります。)

厚生労働省「サービスにかかる利用料」より

施設サービス等は上記の区分支給限度額の対象外となっています。また、法改正による変更がありえますので、利用時に最新の情報を確認することが大切です。

特定福祉用具購入の支給限度額

サービスという現物ではなく現金で給付される特定福祉用具購入費は、要介護度にかかわらず、上限額は一定です。

特定福祉用具購入費の支給限度基準額は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間で10万円と定められており、利用者はその1~3割を自己負担します。

なお、費用負担軽減の対象となるのは以下の福祉用具です。
  • 腰掛便座
  • 自動排泄処理装置の交換可能部品
  • 入浴補助用具
  • 簡易浴槽
  • 移動用リフトのつり具部品
  • 排泄予測支援機器

住宅改修費の支給限度額

公的介護保険を利用した住宅改修費の支給限度額は、要介護度に関係なく1住宅あたり20万円で、利用者はその1~3割を自己負担します。

この限度額は、1回の改修で使い切らなかった場合、複数回に分けて利用することが可能です。また、転居した場合や要介護度が3段階以上上がった場合には、新たに20万円の支給限度額が設定されます。

なお、住宅改修費の支給は以下の工事が対象となります。
  • 手すりの取付け
  • 段差の解消
  • 滑り防止や移動の円滑化などを目的とした床、または通路面の材料変更
  • 引き戸などへの扉交換
  • 洋式便器などへの便器交換
  • 上記の住宅改修に付随して必要なその他の住宅改修
改修を行う際は、事前にケアマネジャーに相談し、支給申請書や工事見積書、住宅改修の理由書などを自治体へ提出する必要があります。改修工事後、領収書や工事費内訳書などの書類を自治体へ提出することで、住宅改修費を受給できます。

参照:厚生労働省 令和4年「福祉用具・住宅改修の概要」

住宅改修費は、以下の記事でも詳しく説明しています。

居宅(在宅)サービス利用時の自己負担額は?

在宅で介護を受ける場合、公的介護保険の居宅サービスを利用できます。

要支援または要介護の認定を受けたあとに、ケアマネジャーがケアプランを作成し、利用する介護サービスを明確にします。

以下で、訪問介護を利用した場合の自己負担の例を見ていきましょう。

利用者の自宅を訪問して介護サービスを提供するもの。介護福祉士や訪問介護員などによる、食事・排せつ・清拭(せいしき)・入浴などの身体介護を受けることが可能。

自己負担の例1.身体介護が中心である場合

利用する時間 介護給付費単位 自己負担額(円/回)※1単位10円の地域の場合
1割負担 2割負担 3割負担
20分未満 163単位 163円 326円 489円
20分以上30分未満 244単位 244円 488円 732円
30分以上1時間未満 387単位 387円 774円 1,161円
1時間以上 567単位
※30分を増すごとに+82単位
567円 1,134円 1,701円
<上記は基本部分の金額を示しており、諸条件により金額の加減算がありうる。>

自己負担の例2.生活援助が中心である場合

利用する時間 介護給付費単位 自己負担額(円/回)※1単位10円の地域の場合
1割負担 2割負担 3割負担
20分以上45分未満 179単位 179円 358円 537円
45分以上 220単位 220円 440円 660円
<上記は基本部分の金額を示しており、諸条件により金額の加減算がありうる。>

自己負担の例3.乗降介助が中心である場合

利用する時間

介護給付費単位

自己負担額(円/回)※1単位10円の地域の場合

1割負担

2割負担

3割負担

1回につき

97単位

97円

194円

291円

<上記は基本部分の金額を示しており、諸条件により金額の加減算がありうる。>

施設サービス利用時の自己負担額は?

施設サービスは、施設に入居して受けられる介護サービスです。

介護保険施設である、特別養護老人ホーム(特養)・介護老人保健施設(老健)や、サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホーム、グループホームなどの高齢者向け住まい・施設で利用できます。

以下では、施設サービス利用時の自己負担額について、具体例を挙げて見ていきましょう。

自己負担の例1.特別養護老人ホーム(特養)の場合

特別養護老人ホーム(特養)には、要介護3以上の方が入居できる原則になっています。食事や入浴の介助など日常生活の支援や、機能訓練、療養上のサポートを、公的介護保険を利用して受けられます。

利用者が負担する施設サービス費は、部屋のタイプや施設の運営方針によって異なるため、入居前に詳細を確認しておくことが大切です。

従来型個室・多床室

要介護度 自己負担額
(30日あたり)*
要介護1 1万8,000円
要介護2 2万130円
要介護3 2万2,350円
要介護4 2万4,510円
要介護5 2万6,610円

ユニット型個室

要介護度 自己負担額
(30日あたり)*
要介護1 2万460円
要介護2 2万2,590円
要介護3 2万4,840円
要介護4 2万7,030円
要介護5 2万9,130円

1割負担の場合

<上記は基本部分の金額を示しており、諸条件により金額の加減算がありうる。>

自己負担の例2.グループホームの場合

グループホームとは、要支援2もしくは要介護1以上の認知症の方を対象としたケア施設です。施設スタッフから生活支援や機能訓練などのサービスを受けながら、最大9人のユニットで共同生活を送ります。1つのグループホームにつき上限は2ユニットまでとなっています。
要介護度 1ユニット自己負担額
(円/30日)
2ユニット自己負担額
(円/30日)
要支援2 2万2,830円 2万2,470円
要介護1 2万2,950円 2万2,590円
要介護2 2万4,030円 2万3,640円
要介護3 2万4,720円 2万4,360円
要介護4 2万5,230円 2万4,840円
要介護5 2万5,770円 2万5,350円

1割負担の場合

<上記は基本部分の金額を示しており、諸条件により金額の加減算がありうる。>
上記は介護サービス費の例であり、実際に入居した場合は、上記以外にも日常生活費が発生します(食費、水道光熱費、居住費、日用品購入費など)。

また、事業所によっては、提供されるサービス内容や運営体制に応じて、以下のような加算費用が別途発生する場合があります。
  • 初期加算
  • 夜間支援体制加算
  • 医療連携体制加算
  • 看取り介護加算
  • 認知症専門ケア加算

デイサービス・デイケア利用時の自己負担額は?

デイサービスとデイケアは施設に通って受ける介護サービスです。デイサービスとデイケアを利用した場合の自己負担例を、それぞれ見ていきましょう。

自己負担の例1.デイサービス(通所介護)の場合

デイサービスは、要介護者が施設に通って受けるサービスで、利用者が自立した生活を送れるように支援することを目的としています。以下では、通常規模型のデイサービスを利用した場合の自己負担例について確認しましょう。

 

利用する時間

要介護度

介護給付費単位

自己負担額(円/回)
1単位10円の地域の場合

1割負担

2割負担

3割負担

3時間以上4時間未満

要介護1

370単位

370

740

1,110

要介護2

423単位

423

846

1,269

要介護3

479単位

479

958

1,437

要介護4

533単位

533

1,066

1,599

要介護5

588単位

588

1,176

1,764

4時間以上5時間未満

要介護1

388単位

388

776

1,164

要介護2

444単位

444

888

1,332

要介護3

502単位

502

1,004

1,506

要介護4

560単位

560

1,120

1,680

要介護5

617単位

617

1,234

1,851

5時間以上6時間未満

要介護1

570単位

570

1,140

1,710

要介護2

673単位

673

1,346

2,019

要介護3

777単位

777

1,554

2,331

要介護4

880単位

880

1,760

2,640

要介護5

984単位

984

1,968

2,952

6時間以上7時間未満

要介護1

584単位

584

1,168

1,752

要介護2

689単位

689

1,378

2,067

要介護3

796単位

796

1,592

2,388

要介護4

901単位

901

1,802

2,703

要介護5

1,008単位

1,008

2,016

3,024

7時間以上8時間未満

要介護1

658単位

658

1,316

1,974

要介護2

777単位

777

1,554

2,331

要介護3

900単位

900

1,800

2,700

要介護4

1,023単位

1,023

2,046

3,069

要介護5

1,148単位

1,148

2,296

3,444

8時間以上9時間未満

要介護1

669単位

669

1,338

2,007

要介護2

791単位

791

1,582

2,373

要介護3

915単位

915

1,830

2,745

要介護4

1,041単位

1,041

2,082

3,123

要介護5

1,168単位

1,168

2,336

3,504

 
<上記は基本部分の金額を示しており、諸条件により金額の加減算がありうる。>

自己負担の例2.デイケア(通所リハビリテーション)の場合

デイケアは、医療機関や介護老人保健施設で要介護者に施されるサービスで、身体機能の回復・維持、認知機能の向上などを目的としています。 以下では、通常規模の事業所のデイケアを利用した自己負担例を紹介します。

 

利用する時間

要介護度

介護給付費単位

自己負担額(円/回)
1単位10円の地域の場合

1割負担

2割負担

3割負担

1時間以上2時間未満

要介護1

366単位

366

732

1,098

要介護2

395単位

395

790

1,185

要介護3

426単位

426

852

1,278

要介護4

455単位

455

910

1,365

要介護5

487単位

487

974

1,461

2時間以上3時間未満

要介護1

380単位

380

760

1,140

要介護2

436単位

436

872

1,308

要介護3

494単位

494

988

1,482

要介護4

551単位

551

1,102

1,653

要介護5

608単位

608

1,216

1,824

3時間以上4時間未満

要介護1

483単位

483

966

1,449

要介護2

561単位

561

1,122

1,683

要介護3

638単位

638

1,276

1,914

要介護4

738単位

738

1,476

2,214

要介護5

836単位

836

1,672

2,508

4時間以上5時間未満

要介護1

549単位

549

1,098

1,647

要介護2

637単位

637

1,274

1,911

要介護3

725単位

725

1,450

2,175

要介護4

838単位

838

1,676

2,514

要介護5

950単位

950

1,900

2,850

5時間以上6時間未満

要介護1

618単位

618

1,236

1,854

要介護2

733単位

733

1,466

2,199

要介護3

846単位

846

1,692

2,538

要介護4

980単位

980

1,960

2,940

要介護5

1,112単位

1,112

2,224

3,336

6時間以上7時間未満

要介護1

710単位

710

1,420

2,130

要介護2

844単位

844

1,688

2,532

要介護3

974単位

974

1,948

2,922

要介護4

1,129単位

1,129

2,258

3,387

要介護5

1,281単位

1,281

2,562

3,843

7時間以上8時間未満

要介護1

757単位

757

1,514

2,271

要介護2

897単位

897

1,794

2,691

要介護3

1,039単位

1,039

2,078

3,117

要介護4

1,206単位

1,206

2,412

3,618

要介護5

1,369単位

1,369

2,738

4,107

<上記は基本部分の金額を示しており、諸条件により金額の加減算がありうる。>

介護費用の負担額を軽減できる制度

自己負担額が高額になった場合には、以下のような制度によって軽減措置を受けられる場合があります。これらの制度についてそれぞれ解説します。

高額介護サービス費支給制度

月々の利用者負担額(福祉用具購入費や食費・居住費等一部を除く。)の合計額が所得に応じて区分された上限額*を超えた場合、超過分が公的介護保険から支給される制度です。

上限を超えた負担額分を自治体へ申請することで、「高額介護サービス費」として払い戻しを受けられます。

*自己負担上限

介護サービス利用料の自己負担上限額は、個人または世帯の所得区分に応じて決まっています。
区分 対象 負担上限額(月額)
第1段階 生活保護の受給者等 1万5,000円(個人)
第2段階 市町村民税世帯非課税で前年の公的年金等収入額とその他の
合計所得金額の合計が年間80万円以下の場合
2万4,600円(世帯)
1万5,000円(個人)
第3段階 世帯の全員が市区町村民税を課税されていない世帯 2万4,600円(世帯)
第4段階 ①市区町村民税課税世帯で課税所得が380万円未満の世帯 4万4,400円(世帯)
②課税所得が380万円以上690万円未満の世帯 9万3,000円(世帯)
③課税所得が690万円以上の世帯 14万0,100円(世帯)

「世帯」は介護サービスを利用した世帯員全員の負担合計の上限額、「個人」は介護サービスを利用した本人の負担上限額。

第4段階における課税所得による判定は、同一世帯内の65歳以上の方の課税所得により判定します。

社会福祉法人等による利用者負担額軽減制度

社会福祉法人等による利用者負担額軽減制度は、特別養護老人ホーム(特養)などの施設サービスを利用した場合に、一定の負担割合を事業者が軽減する制度です。負担の軽減により、経済的に厳しい状況にある利用者が、安心して介護サービスを受けられることを目的としています。

対象となる費用は、訪問介護や通所介護、短期入所生活介護の利用者負担額、さらに施設サービスで発生する食費や居住費(滞在費)です。
制度を利用するためには、軽減制度の対象となる介護サービスを提供する事業所や施設を利用していることが前提です。

その後、利用している施設を運営する社会福祉法人等が、所在地の都道府県知事および市町村の長に対し、制度の適用を申請します。この申請が受理されると、軽減制度が適用されます。

具体的な手続きや条件は、施設のケアマネジャーや市町村の福祉担当窓口に相談するのがおすすめです。

高額医療・高額介護合算制度

高額医療・高額介護合算制度は、医療保険と介護保険の1年間の自己負担を合算し、その金額が著しく高額になった場合に、自己負担額を軽減する制度です。

この制度では、公的介護保険の受給者を含む世帯ごとに自己負担額を集計し、所得区分ごとに設定された限度額を超えた場合、その超過分が申請により払い戻されます。

支給対象となる世帯には、自治体から通知が届く場合もありますので、確認しておきましょう。

医療費控除

1年間にかかる医療費の自己負担額が10万円を超えた場合、医療費控除を受けると課税所得額から最高200万円まで控除され、納税額の一部が還付されます。医療費控除の対象には、訪問看護や訪問リハビリテーションなど、一部の介護サービス費で自己負担した分も含まれます。なお、総所得金額等が200万円未満の方は、総所得金額等の5%を超えた場合に控除対象となります。

医療費控除の対象となる施設サービスを利用する場合、通所で公共交通機関を利用した場合の交通費も対象となることもポイントです。また、医師から「おむつ使用証明書」を受け取ると、おむつ代も対象となります。

公的介護保険についてのよくある質問

公的介護保険についてのよくある質問と、その回答を紹介します。

自己負担額の軽減はどこで相談できる?

介護サービスの自己負担額軽減に関する悩みは、自治体の窓口やケアマネジャーへ相談可能です。例えば、自治体の窓口であれば、利用を検討している介護サービスが負担限度額認定の対象になるかといった相談ができます。

公的介護保険料は控除できる?

公的介護保険料は、社会保険料控除の対象になります。年末調整や確定申告を行うと、所得控除を受けられます。

また、公的介護保険とは別に、民間の介護保険に加入している場合、保険料は生命保険料控除の対象となります。

民間の介護保険商品には、要支援2の段階から一時金を受け取れるものもあります。介護全体にかかる経済的な負担を抑えられるため、必要に応じて加入を検討してみるとよいでしょう。

介護サービスを利用しない場合は保険料が返還される?

介護サービスを利用しなかった場合でも、支払った公的介護保険料は返還されません。納めた保険料は、保険料と公費の約半々で運用されている公的介護保険制度の財源へ充てられます。

将来の介護費用をまかなえる十分な備えを

介護の費用が増大して家計を圧迫すると、介護にともなう精神的・肉体的負担だけでなく、経済的な負担も介護者にかかってしまいます。

また、介護に役立つ商品やサービスを心置きなく利用することが難しくなり、被介護者を十分にサポートできなくなる場合もあります。

経済的なゆとりは、介護を受けるご本人や、ご家族など介護にかかわる人々の気持ちに余裕をもたらす大切な要素です。民間介護保険などをうまく活用し、将来の介護費用への備えを進めるとよいでしょう。
  

朝日生命では、認知症などの介護の経済的負担に備えられる介護保険を提供しています。
将来に備えて保険加入をご検討中の場合は、ぜひご活用ください。

社会福祉士 萩原 智洋

有料老人ホームの介護スタッフとして、認知症の方や身体介護が必要な方の生活のサポートを行う。その後、社会福祉士資格を取得。介護老人保健施設の相談員として、入所や通所の相談業務に従事。第二子の出産を機にライターへ転身。現在は、これまでの経験を活かしてウェブコンテンツの執筆業務を行っている。

公開日:2025年1月17日

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