お風呂の介護をスムーズなものにするための、具体的な入浴手順を解説します。
要介護者の肌が直接触れる浴室の床や椅子などは、お湯をかけて温めましょう。
この一手間で、床や椅子が冷たくて体にショックを与えるといった刺激を防ぐことができます。
滑って転ばないよう足もとに気を付けながら、要介護者に椅子に座ってもらいます。
なお、椅子の近くに手すりがある場合は、つかまりながら座るとよいでしょう。
お湯の温度をまずは介護者が確認し、そのあと要介護者も確かめます。温度に問題がなければ、足もとからお湯をかけていきましょう。
足もとからお湯をかけるのは、心臓から遠い位置にあり、体に負担がかかりにくいためです。足から順に少しずつ体の上部にお湯をかけ、全身を温めます。
髪から顔、上半身、下半身の順に洗い進めます。
洗髪の際は、耳に水が入らないように注意しましょう。本人や介護者が耳をふさいだり、シャンプーハットを使ったりするのがおすすめです。指の腹でやさしく洗い、シャンプーの流し残しのないよう十分にすすぎます。
体を洗う際には、自分で洗える部分は本人に洗ってもらいましょう。自分で洗うことによって、自尊心を傷つけたりADL(日常生活動作)が低下したりすることを防げます。手が届かないところなど、自力での洗体がしにくいところは介護者が手伝いましょう。
洗い残しがないことを確認しながら、肌に付いたボディーソープやせっけんなどの洗浄剤をしっかりと流します。すすぎ残しは肌トラブルの原因になるため注意が必要です。
髪や体を洗ったあとは、手すりなどを利用したり介護者が本人の体を支えたりしながら、安全に湯船につかってもらいます。
湯船につかる時間が長すぎると、のぼせやめいまいなどを引き起こす恐れがあるため危険です。お湯につかるのは5分程度にしておくとよいでしょう。
湯船から出たら、脱衣所に移動する前に洗い場で体を軽くふきます。この際、滑らないよう十分注意しましょう。
脱衣所に移動したら、体に水分が残らないようしっかりふき取ります。滑って転倒することを防ぐため、足裏の水分までふき取りましょう。
保湿剤の塗布など必要なことを行ない、衣類を身に付けます。