介護療養型医療施設とは?
費用目安や制度廃止後の状況


介護療養型医療施設の費用やサービス内容を知りたいけれど、すでに廃止されたと聞いて混乱している方は少なくありません。制度が整理され、現在は「介護医療院」へ移行していますが、情報が複雑で違いがわかりにくいという声もあります。

介護療養型医療施設はすでに廃止されています。しかし、医療と介護の両方を必要とする方の受け皿として、その役割は介護医療院に引き継がれました。かつての費用体系やサービス内容を理解しておけば、現在の施設を選ぶ際にも大きな助けとなるでしょう。

本記事では、介護療養型医療施設の特徴や入居対象者、費用の目安、提供されていたサービスをわかりやすく整理します。併せて、廃止後の制度移行の流れや、現在の介護医療院の位置付けについても触れるため、ぜひ参考にしてください。

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「介護療養型医療施設」とは
長期療養が必要な方に医療や介護サービスを提供する施設

介護療養型医療施設とは、医療と介護を同時に必要とする方の長期療養を支えるために設置された介護保険施設です。要介護度や医療依存度が高い方の受け皿として機能してきましたが、制度見直しにより2024年3月31日をもって廃止され、現在は「介護医療院」に移行しました。

以下では、入居対象者や制度移行の背景を整理し、現状を解説します。

入居対象者について

介護療養型医療施設の入居対象は、原則として要介護1以上の認定を受けている65歳以上の高齢者とされていました。例えば「病院で急性期の治療が終わって病状が安定したものの、引き続き長期的な医療管理が必要」という方がおもな利用者層です。具体的には経管栄養や酸素療法、痰の吸引など、日常的な医療管理が不可欠なケースが挙げられます。

一方で、自立度が高く日常生活を自分で行える方や、要支援レベルの方は対象外とされており、医療行為をほとんど必要としない状態では利用が認められていませんでした。

介護医療院への移行について

介護療養型医療施設は、「医療と介護の役割がわかりにくい」という課題が指摘されてきました。これを踏まえて、よりわかりやすい枠組みへと段階的に再編が進められ、制度見直しにより2024年3月31日に介護療養型医療施設は廃止となりました。

そしてその後の受け皿となった施設が「介護医療院」です。介護医療院は、医療ケア・介護サービス・生活支援を一体的に提供する新しい施設として位置付けられており、長期療養が必要な高齢者の生活と医療を継続的に支える体制が整備されました。従来の機能を引き継ぎながら、生活の場としての機能強化が図られている点が大きな特徴です。

介護療養型医療施設の基本的な4つのサービス

 
介護療養型医療施設では、複数の支援を組み合わせて長期療養の環境を整えていました。ここでは、提供されていた4つの基本的なサービスの内容と特徴について解説します。

医療ケア

介護療養型医療施設のおもなサービスの一つが、医師の診察や看護師による医療ケアです。吸引や創傷(キズ)処置、栄養管理といった日常的なサポートが必要な方にも対応できる体制が整備されており、症状の変化に合わせた継続的な医療支援が可能でした。病院に近い環境で、治療と生活の両立を図れる点が大きな特徴といえます。

また、医師や看護師などの専門職が配置されていたことで、急な症状変化にも対応しやすい体制が整えられていました。医療依存度が高い方でも適切な支援を受けられる環境づくりは、介護療養型医療施設が果たしていた役割の一つです。

介護サービス

食事や排泄、入浴といった日常における生活介助も、介護療養型医療施設が提供していたサービスの一つです。身体機能の低下により日常動作が難しい方にも対応できるよう、専用の入浴設備や移動補助の器具が用いられ、要介護度が高い方でも安心して生活できる環境が整っていました。

また、利用者一人ひとりの自立度に合わせて必要な支援内容を調整し、できることを維持しながら生活を支える介護が行われていた点も特徴です。

リハビリテーション

介護療養型医療施設では、身体機能の維持や改善を目的としたリハビリテーションも行われていました。理学療法士や作業療法士などの専門職がかかわり、利用者の状態に合わせて無理のない範囲で訓練を実施する体制が整えられていた点が特徴です。

日常生活に必要な動作の訓練に加え、寝たきりによる筋力低下や関節の拘縮(動きが制限される状態)を防ぐためのプログラムも含まれており、生活機能の維持を重視した支援もサービスの一環でした。

生活支援・相談支援

掃除や洗濯といった生活環境の整備を含む生活支援も、介護療養型医療施設が提供していたサービスの一つです。

加えて、利用者や家族の「退院後の生活が不安」「今後の介護方針はどうすべきか」といった悩みなどを相談できる窓口も設けられていました。介護や医療に関する不安や疑問に対して、専門職の継続的なサポートを受けられる体制が整えられていたといえます。

なお、施設によってはレクリエーションや交流の場を設けていたところも見られました。ただし、生活援助や余暇活動の内容は施設によって提供範囲が異なるため、一律のサービスではありません。

介護療養型医療施設(介護医療院)の利用にかかる費用目安

 
介護療養型医療施設は入居時の支払いが必要なく、かかる費用は毎月の利用料を中心に構成されていました。移行された介護医療院でも同様に、施設サービス費を中心に食費や居室料などで月額が設定されます。

ここでは、介護医療院における初期費用の有無と月額利用料の目安について、整理して解説します。

初期費用は不要

基本的に介護療養型医療施設では、まとまった一時金や敷金などの初期費用は不要でした。利用にあたっての費用は、食事代や居住費、医療・介護サービスに関する月額利用料が中心となっており、入居時の金銭的負担を抑えやすい点が特徴です。この仕組みは、現在の介護医療院でも同様に採用されています。

ただし、施設によっては、月額費用以外に日用品費や衛生用品、理美容サービス、レクリエーション参加費などの実費が追加で発生する場合があります。入居を検討する場合は、料金表や加算項目、実費の取り扱いに関する事前確認を行いましょう。

月額利用料の目安

介護医療院の費用は、サービス費用と居住費を組み合わせた料金体系で構成されています。サービス費用は要介護度や居室タイプによって異なり、利用者負担は原則1割(一定所得以上は2〜3割)です。居住費は基準費用額が設定されており、所得区分により負担限度額が適用される場合もあります。

以下では、サービス費用(1日あたり)と居住費の目安を表にまとめました。
 【介護医療院のサービス費(利用者負担1割・1日あたり)】

 

Ⅰ型

Ⅱ型

要介護度

従来型個室

多床室

従来型個室

多床室

要介護1

721

833

675

786

要介護2

832

943

771

883

要介護3

1,070

1,182

981

1,092

要介護4

1,172

1,283

1,069

1,181

要介護5

1,263

1,375

1,149

1,261

 

【居住費(1日あたり)】

項目

金額

基準費用額

697円/日

負担限度額

最大430円/日(所得に応じて差あり)

 

例えば、Ⅱ型の多床室を利用し、要介護3で負担限度額が適用されるケースでは以下の計算になります。

サービス費用:1,092円×30日=32,760円
居住費:430円×30日=12,900円
合計:約45,660円/月+食費など実費

介護療養型医療施設を利用する3つのメリット

介護療養型医療施設は医療と介護の両面から長期療養を支える施設であり、利用者にとって大きな利点がありました。次では、おもなメリットを3つ解説します。

充実した医療ケアを受けられる

介護療養型医療施設の強みとして、医療面のサポートが特に手厚く整えられていた点が挙げられます。
医師や看護師が常駐し、日々の診察や体調管理を継続的に受けられる体制が確保されていたため、治療と生活を両立しながら過ごせる環境が整備されていました。特に、吸引や創傷処置・経管栄養など、専門的な医療ケアを必要とする方が落ち着いて生活できる点は、大きなメリットだといえるでしょう。

また、急な容体変化が起きた場合にも、常駐スタッフによる迅速なサポートがあるため、利用者や家族も安心して任せられる体制といえます。

要介護度が高い方でも入居できる

介護療養型医療施設は、医療面だけでなく介護体制も整っていたため、要介護度が高い方でも生活を続けられる施設でした。食事や排泄、入浴などの日常生活の介助が提供されており、身体機能の低下によって自力での生活が難しい場合でも、必要なサポートを受けながら安心して過ごせる点が特徴です。専用の入浴設備や移動補助機器など、重度の要介護者にも対応できる環境が用意されていたことも大きなメリットといえます。

さらに、利用者の自立度に合わせて支援内容を調整し、できる限り自分で行える部分を維持・向上できるようなサポートが行われていました。医療と介護の両面から支援を受けられることで、「症状や体調の変化があっても安定した生活を続けられる」点が評価されていたポイントです。

公的介護保険が適用される

利用にあたり、公的介護保険が適用されていた点も介護療養型医療施設の大きなメリットです。要介護認定を受けていれば、要介護度に応じて必要な医療・介護サービスを保険内で利用でき、自己負担を抑えながら入居生活の継続が可能でした。利用者負担は原則1割(所得に応じて2〜3割の場合あり)で、長期利用でも費用調整がしやすい仕組みが整備されていました。

また、医療ケアと生活支援を組み合わせたサービスを継続的に受けられるため、在宅介護だけでは支えきれない状況でも安心して療養生活を送れます。費用面の負担軽減は、利用者本人だけでなく家族にとっても大きな支えといえるでしょう。

介護療養型医療施設を利用する際の注意点

介護療養型医療施設の利用を検討している場合、メリットだけでなく注意すべき点も事前に理解しておくことが大切です。制度の廃止にともなう現状や、生活面での制約など、把握しておきたいポイントを解説します。

現在は廃止されている

介護療養型医療施設は2024年3月31日をもって廃止されており、現在は入居先として選択できません。長期療養と介護を一体的に提供する役割は、新たに創設された「介護医療院」が引き継いでいます。そのため、施設選びや費用を調べる際には、最新の制度名称である「介護医療院」を基準に検討することが必要です。

ただし、廃止前の内容や旧制度名のままの説明が残っている情報も少なくありません。情報収集を行う際には更新日や制度内容を必ず確認し、旧制度と混同しないように注意しましょう。

外出や面会が制限される可能性がある

介護療養型医療施設は、医療ケアを優先する性質上、外出や面会に制限が設けられるケースがありました。体調管理や感染症対策の観点から、家族と直接会える機会が限られる場合も多く、在宅介護と比べると生活の自由度が低くなる傾向にあります。

また、後継施設である介護医療院でも、患者の安全確保や医療体制を維持するため、同様に外出や面会に一定の制限を設ける施設が見られます。利用を検討する際には、面会ルールやオンライン面会の可否など、家族とのコミュニケーション方法を事前に確認しておくと安心です。

介護が必要となったときに備えて、介護施設の種類や費用を知っておこう


介護療養型医療施設は、長期療養と医療的ケアを必要とする方の生活を支える役割を担っていました。しかし制度変更により、2024年3月末で廃止され、現在は後継の「介護医療院」へと移行しています。

介護が必要となった際に慌てず適切な選択をするためには、介護施設の種類やサービス内容、費用の目安を早めに理解しておくことが大切です。旧制度の情報と混同しないように注意しながら、将来に備えましょう。

 
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将来に備えて保険加入をご検討中の場合は、ぜひご活用ください。

小玉 有紀[介護福祉士]

1986年生まれ。福祉系専門学校にて介護福祉士・介護事務士を取得。介護業務を経験。その後、生活相談員・ケアマネジャーとしても勤務。全国展開する有料老人ホームにてアセスメントツールの開発事業に携わる。また系列施設で社員研修の講師となる。現在も、ケアマネジャーとして勤務するかたわら、ライターとして活動中。

資格:介護福祉士・介護事務士・介護支援専門員

公開日:2026年1月15日

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