在宅介護で必要なものは?
必需品から身近で手に入るグッズまで


在宅介護がいつ始まるかわからないけれど、必要なものをどうそろえれば良いのだろうとお悩みの方もいるのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、介護ベッドや車いす、歩行器などが必要ですが、要介護度や状態によってそろえるべきものは変わります。

この記事では、在宅介護で必要なものや持っておくと役立つ便利グッズ、介護用品の選び方を解説します。いざというときに慌てないためにも、参考にしてください。

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在宅介護で必要な7つのもの

まずは、一般的に在宅介護で必要とされる7つのアイテムについて解説します。

なお、要介護度や要介護者の状態によって必要なものは異なるので、実際に導入する際はケアマネジャーに相談することがおすすめです。場合によっては、要介護者が住みやすくするための改修工事や、手すりの設置が必要になるかもしれません。

介護ベッド

介護ベッドは「特殊寝台」とも呼ばれ、起き上がったり体の向きを変えたりする動作を補助してくれるものです。使用することで、自力での動作や車いすへの移動がしやすくなるほか、床ずれ予防にもつながります。

介護ベッドの高さや角度を変えられるため、介護者が介助しやすいのもメリットです。

また、介護ベッドのおもな機能は、「背上げ機能」「高さ調節機能」「膝上げ機能」の3つですが、搭載されているモーター数によってその機能性は変わります。要介護者の体の状態に合ったものを選びましょう。

車いす

歩行が不安定な方や歩くのが難しい方に必要なのが車いすです。車いすの使用により歩行時の転倒を防げるのはもちろん、活動範囲も広げられます。

車いすには、座面と背もたれが連動しているタイプや、体の大きさ・状況によってサイズを調整できるタイプなどがあります。「車いすを押すのが体力的につらい」と感じる場合は、電動車いすを検討するのもよいでしょう。

ただし、バッテリーが搭載されている分、定期的な充電が必要であり、かなりの重量がある点は把握しておきましょう。

歩行器

歩行器とは、高齢者が安全に移動できるようサポートする介護用品です。複数本の足で支えてくれるため、杖よりも姿勢が安定しやすく、足腰にかかる負担も減らせます。

歩行器の種類はいくつかあり、歩行器自体を持ち上げて進むタイプや、左右のフレームを交互に動かせるタイプ、車輪の付いているタイプなどがあります。そのため、要介護者の体格や腰の曲がり具合、使用場所を考えながら適したものを見つけましょう。

ポータブルトイレやおむつ

ポータブルトイレとは、携帯できるトイレを指します。例えば、「寝室からトイレまでの距離が遠い」「夜中にトイレに行く回数が多い」などの場合、ポータブルトイレがあればベッドの近くで用を足せるため、失敗を防げます。要介護者と介護者、どちらの負担も軽減できるでしょう。

ポータブルトイレは、トイレに座って用を足せる、排泄のタイミングがわかる方に向いています。また、トイレの失敗は、要介護者の自尊心が傷付く原因にもなりかねません。トイレでの排泄がどうしても難しくなった場合は、おむつの使用も検討してみましょう。

介護用の食器

在宅介護をするなら、介護用の食器も用意しておくことをおすすめします。

よくある平らなお皿は、スプーンで食事をする方にとって扱いづらいものです。一般的なフォークやスプーンも、手首を使いながら食事をしなければならない場合があります。

一方で介護用の食器なら、要介護者が使いやすいよう設計されていたり、持ち手がシリコン製のグリップになっていたりします。要介護者の状態に合ったものを使用すれば、食事がおっくうになりにくいでしょう。

ただし、陶器の食器は重く、万が一落とした場合は割れてしまうため注意が必要です。

シャワーチェア

シャワーチェアは、お風呂に入るときに使用する介護用の風呂いすのことで、一般的な風呂いすよりも座面が高めに設定されています。立ったり座ったりする動作が不安定になってきた方や、洗い場に腰をおろしにくい方に向いています。

腰が大きく曲がり円背になっている場合は腰当て付きのタイプ、座り姿勢を維持するのが難しい場合はひじ掛け・背もたれが付いているタイプが適しているでしょう。

呼び出しベル

呼び出しベルは、病院に設置されているナースコールのようなアイテムです。要介護者が介護者を呼びたいとき、この呼び出しベルを使えば遠くにいたとしても知らせることができます。声が出しにくい方や寝たきりの方でも使えるのが良い点です。

家事や仕事に追われるなかで、24時間365日つきっきりで介護をするのは難しいものです。そのようなとき、呼び出しベルがあれば、要介護者に何か起こった際にすぐ気付けるため、「目を離しているあいだに異変が起こらないか不安」のような精神的ストレスを軽減できます。

【4つのシーン別】在宅介護に役立つ便利グッズ

ここでは、前述したアイテム以外で、在宅介護に役立つ便利グッズを紹介します。100円ショップで販売されているものも多いため、気軽に試してみるとよいでしょう。

飲食の際に使える便利グッズ

飲食の際に使える便利グッズは、以下のようなものがあります。
  • ストロー付きコップ(ストローキャップ):一人で水分補給をしやすく、コップやペットボトルを倒しても中身がこぼれにくい
  • 吸い飲み:寝たままの状態でも水分をとれる
  • とろみ剤:食べ物にとろみをつけて飲み込みやすくする
  • 介護用食事エプロン:食べこぼし・飲みこぼし対策に有効である
  • 滑り止めマット:食器が滑る、倒れるのを防げる
食事用エプロンは、使い捨てタイプと洗って繰り返し使えるタイプがあります。素材は防水性の高いものが望ましいでしょう。

排泄介助の際に使える便利グッズ

排泄介助の際に使える便利グッズは、以下のようなものがあります。
  • 大人用おしりふき:厚みがあるため使いやすい
  • 使い捨て手袋:要介護者と介護者、お互いに感染リスクを防げる
  • 消臭剤入りポリ袋:排泄物や使用済みウェットシートなどの臭い漏れを防げる
  • 防水シーツ:ベッドやシーツが汚れるのを防げる
  • 調味料用のボトルやフレンチボトル:陰部を洗浄する際に使える
消臭剤入りポリ袋やおむつ用消臭ポリ袋があれば、すぐにゴミを捨てられない状況でも臭い対策ができます。

入浴介助・口腔ケアの際に使える便利グッズ

入浴介助・口腔ケアの際に使える便利グッズは、以下のようなものがあります。
  • タオルキャップ:髪の毛から水が滴るのを防ぐ、ドライヤーの時間を短くできる
  • 厚手のウェットシートやからだふき:入浴が困難な場合に体を拭いて清潔を保つ
  • うがい受け(ガーグルベース):前かがみになるのが難しい方や寝たきりの方のうがいをサポートする
  • 歯磨き用シート:歯を拭いて汚れを落とす
  • スポンジブラシ:食べかすや口腔内のねばつきを取り除ける
口の中は本来、歯に付着した汚れや細菌を唾液が洗い流すことで、清潔を保っています。しかし高齢になると、唾液の分泌量が減って虫歯や歯周病になるリスクが高まるため、口腔ケアは欠かせません。

その他の場面で使える便利グッズ

上記の場面以外で使える便利グッズは、以下のようなものがあります。
  • お薬カレンダー:薬の飲み忘れを防げる
  • 床ずれ防止クッション(マット):床ずれを予防する
  • 見守りカメラ:外出先でも要介護者の様子を確認できる
お薬カレンダーは、日付や曜日に合わせて透明のポケットが取り付けられたもので、1回分の薬を入れて管理できます。飲んだか飲んでいないかが一目見ただけでわかるため、飲み忘れ・飲み過ぎを防ぐことが可能です。

在宅介護に必要なものを選ぶときの3つのポイント

在宅介護に必要なものを用意する際は、以下の3つのポイントを基準に選ぶことが大切です。

要介護者の体や状況に適したものを選ぶ

要介護者の体や状況は一人ひとり異なるため、必ず要介護者に合ったものを選びましょう。

例えば、一人で歩ける方には、スムーズに歩ける靴や体に合った杖、シルバーカーが必要です。しかし、歩くのが困難な方は、車いすや歩行器が必要になります。そして、「在宅介護で必要な7つのもの」の見出しで触れたように、同じアイテムでも商品によって複数の機能やタイプが存在するのです。

そのため、合わないものを使用していると、要介護者の体を痛める可能性もあります。ケアマネジャーや福祉用具の専門家などに相談しつつ、慎重に選ぶことが重要です。

介護者の負担が軽くなるものを選ぶ

在宅介護では、介護者の負担軽減につながるかを考えながら介護用品を選ぶことがポイントです。

介護者への負担は想像以上に大きく、要介護者が快適に過ごせるアイテムを選んでも、介護者側の負担が大きいと心身ともにつらくなってしまいます。精神的に追い込まれた結果、うつ状態になる可能性も十分あり得ます。

そうならないためにも、介護用品の使いやすさや操作性をチェックし、双方にとってメリットのあるものを選ぶのが理想的です。

利用場所を想定して選ぶ

屋内か室内かなど具体的にどこで使うのかによって、必要となる機能は変わってきます。そのため、導入する際は利用場所をきちんと想定したうえで介護用品を選ぶことが大切です。

例えば、歩行器を室内で使用する場合、大きいものよりもコンパクトなもののほうが動きやすいでしょう。段差の多い環境であれば、車輪付きの歩行器は避けたほうが良いといえます。

公的介護保険を利用することで一部の福祉用具をレンタル・購入できる

介護ベッドや車いすなど、一部の福祉用具には公的介護保険が適用されます。「レンタル」と「購入」の2通りの利用方法があり、そのうち「購入」の対象品目は肌に直接触れるものや再利用が難しいものとなっています。

それぞれの対象品目や自己負担額、利用限度額は以下のとおりです。どちらの場合も、利用限度額を超えた分は全額自己負担となるため、注意してください。
 

福祉用具のレンタル(13品目)

福祉用具の購入(6品目)

対象品目

l  手すり

l  スロープ

l  歩行器

l  歩行補助杖

l  車いす

l  車いす付属品

l  介護ベッド

l  介護ベッド付属品

l  体位変換器

l  床ずれ防止用具

l  認知症老人徘徊感知機器

l  移動用リフト

l  自動排泄処理装置

要介護度によってレンタル可能なものが異なる

l  腰掛便座

l  自動排泄処理装置の交換可能部品

l  排泄予測支援機器

l  入浴補助用具

l  簡易浴槽

l  移動用リフトのつり具

自己負担額

利用料金の13

購入費用の13

利用限度額

要介護度によって異なる

41日~翌年3月末日までの1年間で上限10万円(税込)

福祉用具のレンタル・購入に興味のある方は、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してみましょう。

介護者への負担も考えながら介護用品をそろえよう


在宅介護では、介護ベッドや車いす、歩行器などが必要になります。その他、ストロー付きコップやお薬カレンダーといったグッズもそろえておくと、要介護者・介護者どちらの負担も軽減できるでしょう。

ただし、介護用品は要介護者の状態に適しているものを選ぶことが大切です。また、在宅介護では介護者にも大きな負担がかかりやすいため、使いやすさや操作性も考えながら介護用品を用意することをおすすめします。

 
朝日生命では、認知症などの介護の経済的負担に備えられる介護保険を提供しています。
将来に備えて保険加入をご検討中の場合は、ぜひご活用ください。

社会福祉士 萩原 智洋

有料老人ホームの介護スタッフとして、認知症の方や身体介護が必要な方の生活のサポートを行う。その後、社会福祉士資格を取得。介護老人保健施設の相談員として、入所や通所の相談業務に従事。第二子の出産を機にライターへ転身。現在は、これまでの経験を活かしてウェブコンテンツの執筆業務を行っている。

公開日:2024年3月29日

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