今知りたい「介護脱毛」のメリットとデメリット


介護脱毛という言葉を聞いたことがありますか?聞いたことがあってもどのような内容なのか、老後のためにやったほうがいいのか、よく分からず悩んでいる方も少なくはないでしょう。

介護脱毛は介護される立場になったときのことを考え、介護する側とされる側、双方の負担を軽減するために行うデリケートゾーンの脱毛のことです。ただし、行うか否かは任意です。

本記事では介護脱毛が気になった方のために、詳細を解説するとともに、メリットやデメリット、クリニック選びのポイントについて紹介します。

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介護脱毛とは

介護脱毛とは、将来自分が介護される立場になったときのことを想定し、Vライン・Iライン・Oラインと呼ばれるデリケートゾーン(アンダーヘア)の脱毛を行うことです。

処理されていないアンダーヘアは、介護するうえで邪魔になってしまうことが多々あります。そこで、「介護してくれる第三者の方の負担を少しでも減らしたい」という思いやりの気持ちから、あらかじめ脱毛を行っておくことを介護脱毛といいます。

介護脱毛 どこまで脱毛する?自己処理はできる?

介護脱毛では、特にVIOと呼ばれる部位を脱毛するのが一般的です。VIOはどの部分を指すのか、自己処理は可能なのか、以下で詳しく説明します。

介護脱毛のおもな部位はVIO

介護脱毛の範囲は特に決まっておらず、個人の希望で選択できます。多くが「介護が楽になる箇所」を希望し、特に施術箇所として多いのがVIOと呼ばれるデリケートゾーンです。
  • Vライン
    ビキニラインとも呼ばれる、足の付け根からデリケートゾーンの上部
  • Iライン
    Vラインの下の、足の付け根に沿った場所でお尻の手前まで(女性器の周りの粘膜部分)
  • Oライン
    肛門の周り

残す毛の量は自分で選べる

介護脱毛においてはデリケートゾーンすべてを脱毛することが理想ですが、完全に毛をなくさなくても効果は実感できます。

特にVラインの場合、温泉などに行った際に周りの目が気になるなどといった抵抗感を覚えることもあります。介護脱毛は、個人の好みや抵抗感に合わせて、「毛の量を減らす」「生えてくる範囲を狭くする」などといった方法を選択することも可能です。

毛量が減るだけでも、介護をする側の負担と介護を受ける側の羞恥心の軽減に効果的です。また、毛の生えてくる範囲を狭くする施術であれば、すべてを脱毛するより照射回数を減らせます。脱毛は定期的に通う必要があるため、施術回数の減少は費用や心身の負担を抑えることにつながります。

自己処理は難しい

足や腕の毛のように、「自分で処理することも可能なのではないか」と考える方もいるでしょう。しかし、セルフケアがいらなくなるほどの脱毛を、自己処理で行うことは難しいでしょう。

VIOラインは自分自身では見えづらい場所であるため、カミソリなどで自己処理しようとすると、肌を傷付けてしまう可能性もあります。

また、カミソリや家庭用脱毛機などで処理を行ったとしても、クリニックやサロンで使用している機器のような永久脱毛は難しく、時間が経てば再び毛が生えてきてしまいます。

長期間毛が生えてこないようにするには、医療レーザーによる施術が推奨されています。介護が必要な状態になるとセルフケアが難しくなる点も鑑みると、介護脱毛を自己処理で行っていくのは現実的ではないでしょう。

介護脱毛3つのメリット

介護脱毛にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、介護脱毛のメリットを3つ紹介します。

炎症や感染症の予防

アンダーヘアにからまった汚れは落としにくく、排泄物の汚れが残りやすくなっています。残った汚れには雑菌が繁殖しやすいため、炎症や感染症を引き起こすリスクが高まってしまうのです。

特に、介護が必要になった高齢者の多くには免疫力の低下が見られます。免疫力の低い状態では、炎症や感染症になりやすいので注意が必要です。

介護脱毛を行っていれば、アンダーヘアに排泄物などの汚れがからむことを防げるため、炎症や感染症の予防に効果的です

肌トラブルの予防

前述したように、アンダーヘアにからまった汚れは落としにくくなっています。特にオムツを着用した生活をしていると、オムツのなかで排泄物がアンダーヘアにからんでしまい、落とすのは困難です。

からまった排泄物を落とそうとして何度もゴシゴシ拭いていると、肌に負担がかかり、傷付いてしまったり、ただれてしまったりすることもあります。アンダーヘアの量が多いと拭き取り残しも起こりやすいので、さらなる肌トラブルが起きるかもしれません。

介護脱毛を行い、毛の少ない、もしくはない状態にしておけば、肌トラブルを軽減できるだけでなく、赤みなどの肌トラブルが起こっても早期に発見できるでしょう

介護をする側もされる側も負担が軽くなる

介護脱毛のメリットは、介護をする側の負担軽減だけではありません。特に、介護する側・される側双方の負担となりやすい「排泄ケア」では、介護脱毛の効果をより実感できるでしょう。

アンダーヘアが少ない、もしくはない状態であれば排泄物のからまりなどがないため、介護する側は拭き取りやオムツ交換といった排泄介助がしやすくなります。
介護とはいえ、デリケートゾーンを第三者に見せるのは恥ずかしいという被介護者は多いでしょう。介護脱毛によって排泄介助の時間が短くなれば、介護をされる側の心理的負担も軽減できるはずです。

また、介護脱毛していれば雑菌の繁殖を抑えられるので、匂いも発生しにくくなります

アンダーヘアに汗や尿が付いた状態で蒸れると、雑菌が繁殖しやすくなり、匂いが気になるようになります。特にオムツを使用していると匂いがこもりやすくなるため、より気になってしまうでしょう。匂いは介護される側だけでなく、介護する側も精神的な苦痛を感じる要因となります。

介護脱毛で匂いの発生源となるアンダーヘアを処理することは、介護される側の恥ずかしさや介護する側のストレスの軽減にもつながるのです

介護脱毛3つのデメリット

次に介護脱毛のデメリットを見てみましょう。メリット・デメリット双方を理解したうえで、介護脱毛を検討してみてください。

施術時には痛みをともなう場合もある

施術方法によって程度の違いはありますが、脱毛の施術では少なからず痛みを感じることがあります。特にVIOは、ほかの部位に比べると皮膚が薄く、骨や神経に近い場所です。さらに、施術で使うレーザーは濃く太い毛に強い反応を示すので、太い毛が多いVIOは痛みを感じやすい傾向があるというわけです。

しかし、医療機関やエステサロンでは、麻酔クリームや冷却装置の使用、照射出力の調整により、痛みを抑える工夫をしているところが多くなっています。痛みに弱い方や不安がある方は、事前のカウンセリングにて相談してみるとよいでしょう。

施術中に恥ずかしいと感じる場合もある

介護脱毛の施術では、スタッフにデリケートゾーンを見せる必要があります。頭では理解しているものの、いざ実際に施術に入ると抵抗を感じる方も少なくありません。一方で、回数を重ねて慣れてくる方もいるようです。

ただ、タオルをかけてくれたり、なるべく短時間で済むように施術を早めたりと、恥ずかしさに配慮してくれる医療機関やエステサロンも多くなっています。施術を受けるところによって配慮の方法はさまざまですので、事前に確認しておきましょう。

脱毛前の状態に戻せない

レーザーによる介護脱毛は半永久的に脱毛効果が続くため、施術後は毛が生えてこなくなります。多少の毛が生えてくる可能性はありますが、脱毛前とまったく同じ状態にはならず、元に戻すことは不可能です

そのため施術に入る前に、すべてを脱毛するのか、残す場合にはどのような形で毛を残しておくのか、しっかりとカウンセリングで決めることが必要になります。どのような形が良いのか悩む場合には、相談しながら決めていくとよいでしょう。

また、一気にすべてを脱毛するのではなく、まずは毛の量を減らすことから始めるのも一つの方法です。前述したとおり、毛量や毛の範囲が少なくなるだけでも介護脱毛のメリットは実感できますので、ある程度の毛を残しつつ、少しでも介護が楽になるような毛の範囲や毛量を検討していくとよいでしょう。

介護脱毛に適したタイミングはいつ?

介護脱毛に年齢制限はありません。けれども、アンダーヘアが白髪になる前の40~50代のうちに受けることがおすすめです。なぜなら、脱毛に使うレーザーは、毛に含まれる黒いメラニン色素に反応して作用するからです。

「実際に介護が必要になってから」と考えている方も少なくはないでしょう。しかし、アンダーヘアが白髪になってメラニン色素が薄くなると、レーザーが反応しなくなって脱毛効果が得にくくなります。そのため、アンダーヘアが白髪になる前、できれば白髪が生える前に脱毛が終わっていることが望ましいのです。

介護脱毛の期間や料金はどれくらい?

毛質や肌質によって異なりますが、介護脱毛の施術回数は一般的には5~6回程度とされています。施術を受ける医療機関やクリニックによって回数は異なってくるので、事前の確認が必要です。

脱毛処理は、毛の生え変わりのサイクルで施術を行う必要があります。基本的には1カ月半~2カ月に1回の間隔で施術を行うことになるため、施術を受ける期間の目安は1~1年半です

介護脱毛の料金相場は、5~6回の施術で5~10万円前後が目安です。また、介護脱毛は自由診療で、健康保険や公的介護保険の適用外になることも覚えておきましょう。

エステ脱毛・医療脱毛といった脱毛の種類や施術回数などによっても、料金は変わってきます。事前にホームページなどを確認してみるとよいでしょう。

介護脱毛 クリニックを選ぶ3つのポイント

ここからは、介護脱毛を受けるクリニックを選ぶときに着目したい3つのポイントについて紹介していきます。

料金形態のチェック

カウンセリング時には、施術料金の総額を確認しましょう。ほとんどの場合、クリニック側から料金を提示してくれるので、事前に相場を調べておき、高すぎたり安すぎたりしないかチェックしましょう。

提示された料金総額が相場よりも極端に安い場合、機械が旧式である可能性があります。ホームページなどを見て、使用している機械も併せて確認するとよいでしょう。

また、追加料金の有無についても確認が必要です。VIO脱毛を受ける場合、事前に自身で剃毛してくるように指示を受けるケースも多いです。ただ、VIOは自分では見えにくい部分であるため、そり残しの対応に追加料金がかかるか確認をしておきましょう。

ほかにも、キャンセル料やアフターケア代、麻酔代などが別途かかる場合があります。公式サイトに料金形態の記載がなければ、カウンセリングのときに確認することをおすすめします。

カウンセリング時にクリニックやスタッフ対応をチェック

介護脱毛は長期間通う必要があるので、自分自身が安心して通い続けられることも重要です。介護脱毛時には精神的負担が多かれ少なかれあるため、あまり雰囲気が良いとはいえないクリニックに通い続けるのは苦痛でしかありません。

最初のカウンセリング時に、院内の雰囲気やスタッフの対応を見ておくとよいでしょう。受付時の対応が良かった、カウンセリング時にわかりやすく説明してくれたというところであれば、不安なく施術を受けられます。

しかし、必要以上の勧誘がある場合は注意が必要です。本当に自分が必要だと思っているコース以外は、はっきりと断りましょう。

痛みに弱い人への配慮があるかをチェック

VIOはほかの部位に比べて、特に痛みを感じやすい部位です。痛みに弱い方・苦手な方は、クリニックで使用している脱毛機が、痛みの少ないタイプかどうかを確認してみるとよいでしょう。

医療脱毛で使う脱毛機には、「蓄熱式」と「熱破壊式」の2種類があります。蓄熱式のほうが熱破壊式よりも痛みが弱い傾向にあるので、痛みに不安がある方は、蓄熱式の脱毛機を採用しているクリニックを選ぶのもおすすめです。

そのほか、麻酔クリームを使用してもらうという手段もあります。麻酔実施の有無や、麻酔を利用する際に料金が別途発生するかどうかについても、併せて確認するようにしましょう。

介護脱毛は男性にもおすすめ

脱毛というと、まだまだ女性が行うイメージが強いのではないでしょうか。しかし、近年では女性だけでなく男性の介護脱毛も増えています。

男性は女性よりも毛が濃く太いため、排泄物のからまりや蒸れによる匂いが女性以上に気になってくるはずです。介護脱毛をすることによって汚れの付着や匂いは軽減されるので、介護者の負担は大きく軽減されます。

男性が介護脱毛の施術機関を選ぶ際は、男性スタッフが対応してくれるところがおすすめです。女性スタッフには相談しにくいことでも、男性スタッフなら共感や共有を得られます。施術における精神的な負担を少しでも軽くするためにも、男性スタッフがいるところを選ぶようにしましょう。

介護する側・される側 負担軽減のために介護脱毛を検討しよう


介護脱毛とは、将来介護を受ける立場となったときに、介護をしてくれる方の負担にならないよう、おもにVIOの脱毛を行うことです。すべての毛をなくす必要はなく、毛量を減らしたり生えてくる範囲を狭くしたりと、残す毛の量は自分で選択できます。

介護脱毛には、介護する側・される側双方の負担が軽くなり、炎症や感染症、肌トラブルの予防につながるなどのメリットがあります。

一方、施術時の痛みや羞恥心、脱毛前の状態には戻せないことなどのデメリットがあることは理解しておきましょう。

介護する側・される側のどちらにとっても負担軽減となるため、介護脱毛を検討してみてはいかがでしょうか。

 
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社会福祉士 萩原 智洋

有料老人ホームの介護スタッフとして、認知症の方や身体介護が必要な方の生活のサポートを行う。その後、社会福祉士資格を取得。介護老人保健施設の相談員として、入所や通所の相談業務に従事。第二子の出産を機にライターへ転身。現在は、これまでの経験を活かしてウェブコンテンツの執筆業務を行っている。

公開日:2024年5月24日

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