1カ月間の介護サービス利用料の自己負担分は所得区分に応じて限度額が定められています。ただし、サービスの内容によっては利用料が高額になり、この限度額を超過してしまう場合があります。
その際、自己負担限度額を超えた分は、「高額介護サービス費」として申請することで払い戻しを受ける軽減措置が利用可能です。ここでは、この高額介護サービス費について、区分ごとの限度額や申請方法、対象外となる注意すべき項目について紹介します。
高額介護サービス費(一定の自己負担額を超えた分の払い戻し)を受けられる限度額は、所得に応じた区分によって変動します。以下は、区分ごとに定められている自己負担の限度額です。
● 課税所得が690万円以上:14万100円(世帯)
● 課税所得が380万円以上690万円未満:9万3,000円(世帯)
● 住民税課税~課税所得380万円未満:4万4,400円(世帯)
● 世帯全員が住民税を課税されていない:2万4,600円(世帯)
● 上記のうち、課税年金収入額+その他の合計所得金額80万円以下:1万5,000円(個人)
● 生活保護受給者:1万5,000円(個人)
介護保険の自己負担限度額の認定は、各自治体で管理しています。そのため、申請方法や認定要件も自治体ごとに異なる点に注意が必要です。加えて、令和3年より申請要件や一部負担限度額の見直しがされました。そのため、申請時はこの点も併せて確認しておくのがおすすめです。
支給を受けるために必要な手続きの一例として、高額介護サービス費の支給対象となると、自己負担額が上限額を超えた時点で自治体から支給申請書が送付されます。支給申請書に必要事項を記入し、自治体の窓口に提出します。その際、自治体によって持参、郵送など提出方法が異なる場合があるため注意が必要です。
申請が受理されると、指定口座に払い戻し額が振り込まれます。なお、2回目以降は初回に指定した口座に自動的に振り込まれるようになります。
高額介護サービス費の対象は、介護保険の自己負担分である1~3割の部分です。ただし、以下のように対象とならない費用もあるため注意しましょう。
● ポータブルトイレや入浴補助用具などの特定福祉用具の購入
● 手すりの設置など住宅改修にかかる費用
● 施設における居住費や短期入所の際の滞在費・食費
● 生活援助型配食サービスにかかる負担分
● 理美容代など日常生活にかかる費用
● 支給限度額を超え、全額自己負担分に該当する費用