公的介護保険の被保険者である限り、介護保険料の支払いが必要です。
ただし、介護保険料を支払わなくてよいケースもあります。
社会保険の被扶養者(専業主婦など)は、介護保険料を支払う必要がありません。健康保険の被保険者である配偶者が負担する保険料に、被扶養者の介護保険料も含まれているためです。
また、生活保護受給者も介護保険料の支払いが必要ありません。
40~64歳までの第2号被保険者の場合、生活保護の受給開始と同時に公的医療保険から脱退するため、公的介護保険の被保険者資格を失います。介護が必要となった際には、介護サービス利用料を生活保護費からまかなう運用となっています。
65歳以上の第1号被保険者は、生活保護の受給開始となっても公的介護保険の被保険者のままとされるため、介護保険料の支払いが必要です。
ただし、生活保護費に上乗せされた金額から天引きでの納付となるので、実質的な介護保険料の負担はありません。
そのほか、適用除外施設入所者(障害者支援施設や国立ハンセン病療養所などに入所している人)や海外居住者、短期滞在者(在留資格3カ月未満)も支払いが不要です。
産前産後休業や育児休業の取得者も、事業主の申し出によって介護保険料が全額免除となります。
続いて、介護保険料の平均額や、介護保険料がどのように決まるのかについて見ていきましょう。
厚生労働省の公表データによれば、令和3~5年度の第1号保険料(65歳以上の介護保険料)の全国平均は6,014円(基準額の全国加重平均)です。
また、令和5年度の第2号保険料(40~64歳の介護保険料)の見込み額は6,216円と公表されています。
公的介護保険制度がスタートした平成12年の第1号保険料2,911円、第2号保険料2,075円から、とどちらも段階を経て上昇している現状です。
65歳以上の第1号被保険者の介護保険料は居住している自治体によって異なります。
各自治体の介護保険料の基準額は、各自治体で必要と想定される介護サービス費の総額を考慮し、3年ごとに作られる「介護保険事業計画」をもとに決定します。
基準額をベースに所得や住民税の課税状況で複数の段階に分け、介護保険料の最終的な金額が確定するのです。
それに対し、40~64歳までの第2号被保険者の介護保険料は、勤務先の健康保険や国民健康保険などの各医療保険者によって異なります。給与月額やボーナスの合計で算出する標準報酬月額で複数の等級に分け、最終的な介護保険料額が決まる仕組みです。
なお、会社員の場合は介護保険料が労使折半となっていて、本人は決められた介護保険料全体の半額を支払います。
自営業など国民健康保険の被保険者の場合は、所得などによって自治体が介護保険料を決めていて、全額が自己負担です。