要支援2とは|要支援認定後に受けられるサービスやケアプラン・費用例


要介護認定における「要支援2」とは、どのような状態でしょうか。また、要支援2で受けられる介護サービスの内容や、介護サービスの利用にかかる費用について知りたい方もいらっしゃるでしょう。

要支援2は、食事や排泄などの動作は1人でも可能ですが、歩行や家事などでの支援が必要とみられる状態です。利用できる介護サービスはおもに6種類あり、利用にあたっての月額限度額10万5,310円のうち、1~3割が自己負担額となります。

この記事では、要支援2の状態や要支援1・要介護1との違い、受けられる介護サービスや、サービス利用での自己負担額・費用例などを解説します。

要支援2とはどのような状態?

はじめに、要支援2の状態や認定基準、要支援1・要介護1との違いを解説します。

要支援2の状態

要介護認定は「要支援1・2」「要介護1~5」の7段階で判定されます。要支援より要介護のほうが、また、数字の大きいほうが要介護度は重くなります。

つまり、要支援2とは、要介護認定で要介護度が軽いほうから2番目の段階を指します。

歩行や入浴、排泄、食事などの動作は介助の必要なく行えますが、起き上がりや立ち上がり、片足立ちといった動作や、日常的な意思決定、買い物や掃除といった家事などの日常生活能力に低下がみられる状態です。

認定基準に見る要支援1との違い

要支援1は、要支援2より要介護度が軽いとみられる状態です。要支援1・2とも、食事や排泄などの基本的な日常生活をほぼ1人で行えますが、歩行や立ち上がりなどの動作に不安がある点は共通しています。

このように状態は似ている要支援1と要支援2ですが、介護にかかる時間によって要介護認定に差が出ています。

要介護認定は、5分野(直接生活介助、間接生活介助、問題行動関連行為、機能訓練関連行為、医療関連行為)での介護にかかる時間が、1日当たりどの程度になるかで判定されます。各ランクの要介護認定等基準時間は以下のとおりです。

ランク

要介護認定等基準時間

要支援1

25分以上32分未満またはこれに相当すると認められる状態

要支援2

要介護1

32分以上50分未満またはこれに相当すると認められる状態

要介護2

50分以上70分未満またはこれに相当すると認められる状態

要介護3

70分以上90分未満またはこれに相当すると認められる状態

要介護4

90分以上110分未満またはこれに相当すると認められる状態

要介護5

110分以上またはこれに相当すると認められる状態


利用できる介護サービスについて、要支援1・2で内容に大きな差はありませんが、介護支給限度額が異なるため、要支援2のほうがより充実した介護サービスを受けられます。

ランク

居宅サービスの1カ月当たりの利用限度額

(※自己負担額は以下の13割)

要支援1

5320

要支援2

105,310

要介護1との違い

要支援2と要介護1は、前項の表でも取り上げたように、要介護認定等基準時間は「32分以上50分未満またはこれに相当すると認められる状態」という同じ枠に入っており、1日に必要な介護量は同等と考えられています。

そのうえで要介護認定に差が生まれるのは、「要支援」「要介護」の状態の差にあります。

要支援は日常的な動作は1人ででき、一部の動作に支援が必要な状態ですが、要介護は日常生活全般で介護が必要になるほか、認知機能の衰えもみられる状態を指します。

つまり、1日当たりの介護量に差はなくても、ご本人の状態が大きく変化するのが要支援2と要介護1の違いです。

要支援2で受けられる6つの介護サービス

さまざまな種類のある介護サービスですが、要支援2で利用できるサービスはおもに6種類です。ここからは、要支援2で受けられる6つの介護サービスについて解説します。

なお、要支援の方が利用する介護サービスは、介護が必要になるのを予防するための利用として「介護保険の予防給付」という枠組みになります。したがって、要支援の方への介護サービスを「介護予防サービス」と呼びますが、一般的にいう「介護サービス」と同じく公的介護保険制度のもと行なわれている事業です。

訪問型サービス

自宅に訪問したヘルパーや看護師、作業療法士などから、サービスを受ける形態です。

ホームヘルパーが生活援助や家事支援を行なう「介護予防訪問介護」、入浴の介助を実施する「介護予防訪問入浴」、医師の指示のもと看護師や保健師が療養上の世話などを提供する「介護予防訪問看護」、必要なリハビリテーションを行なう「介護予防訪問リハビリテーション」、療養上の管理・指導を行なう「介護予防居宅療養管理指導」という5つのサービスがあります。

通所型サービス

老人デイサービスセンターや介護老人保健施設などの施設で、さまざまなサービスを利用する形態です。

老人デイサービスセンターなどに通い、健康チェックや生活指導、入浴などのサービスを利用できる「介護予防通所介護(デイサービス)」や、介護老人保健施設や病院で機能訓練を受けられる「介護予防通所リハビリテーション(デイケア)」の2つのサービスがあります。

短期入所型サービス

特別養護老人ホームなどの施設に宿泊して、サービスを利用する形態です。

特別養護老人ホームなどで、入浴や排泄、食事などといった日常生活に必要な支援のほか、機能訓練を行なう「介護予防短期入所生活介護(ショートステイ)」と、介護老人保健施設などで、医学的な管理が必要な機能訓練や医療、日常生活支援を行なう「介護予防短期入所療養介護(医療型ショートステイ)」の2つのサービスがあります。

施設入居者が使えるサービス

有料老人ホームや養護老人ホーム、軽費老人ホーム(ケアハウス)に入居している方が、日常生活の支援や機能訓練などを利用できるサービスとして「介護予防特定施設入居者生活介護」があります。このサービスを利用できる施設は、厚生労働省の基準を満たし、都道府県知事の指定を受けたところに限られます。

福祉用具・住宅改修サービス

自宅での暮らしをサポートするサービスです。

車いすやその付属品、特殊寝台など13種類の福祉用具を借りられる「福祉用具貸与」と、貸与が難しい特定福祉用具(入浴・排泄に使う腰掛便座など6種類)を購入できる「特定福祉用具販売」があります。

なお、住宅改修費の支給限度額は一律20万円で、要支援の方も対象です。実際の改修工事でかかった費用の1~3割が自己負担額となります。

その他のサービス

住み慣れた地域で長く生活できるよう、市町村が指定した管理者により提供される「地域密着型サービス」もあります。ただし、要支援では利用できないサービスもあるため、注意が必要です。

要支援の方が利用できるサービスとしては、「介護予防認知症対応型通所介護」「介護予防小規模多機能型居宅介護」などがあります。

要支援2で入れる6つの介護施設

要支援2はまだ介護の段階ではありませんが、実際のところ施設に入居している方はいます。日常生活の動作は自分でできるとしても、一人暮らしによる認知症の進行や、食事などの生活習慣の乱れ、病気治療への対応の遅れといったリスクを回避するため、施設入居を検討するのも一案です。

要支援2で入れる介護施設は、以下の6種類です。
  • 介護付有料老人ホーム
  • 住宅型有料老人ホーム
  • グループホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
  • 軽費老人ホーム(ケアハウス)
  • シニア向け分譲マンション
特に、認知症の診断を受けている方は要支援2になるとグループホームの入居対象になるため、入居を検討するケースもあるようです。

高齢者施設は、形態によってサービスや入居・退去条件が異なるので、事前に把握しておくことが大切です。

要支援2の自己負担額

ここでは要支援2の方が介護サービスを利用する際の自己負担額について解説します。

介護サービスには保険から支給される限度額があり、要介護度によって金額が変わります。要支援2の支給限度額は、1カ月当たり10万5,310円です。支給限度額のうち、所得に応じて1~3割が自己負担額となります。

要介護2の自己負担割合

自己負担額

1

1531

2

21,062

3

31,593

なお、支給限度額を超えて介護サービスを利用した場合、超過分は全額自己負担となります。

要支援2で受けられるケアプラン・費用例

要支援2で介護サービスを利用した場合、どのようなケアを受けられてどのくらいの金額が必要になるのかは、実際に試算してみないとイメージしにくいものです。
ここでは、在宅介護をした場合と施設に入居した場合のケアプランと費用例を紹介します。

在宅の場合

まず、在宅で介護サービスを利用する場合の費用例を試算してみましょう。

介護サービス内容

1カ月当たりの利用回数

利用額

介護予防訪問介護

4

18,000

介護予防訪問リハビリテーション

4

12,800

介護予防居宅療養管理指導

2

7,300

介護予防通所リハビリテーション

1カ月につき

46,610

介護予防福祉用具貸与

1カ月につき

7,260

サービス利用額合計

91,970

サービス利用額の自己負担額(1割の場合)

9,197

要支援2では、介護状態に移行しないためのリハビリの頻度が高くなると予測できます。

なお、自宅にいる要支援2の方が利用できる介護サービスの目安は、以下のとおりです。

介護度

利用できる介護サービスの目安

要支援2

全体で週34回のサービス利用

l  2回の訪問型サービス(ヘルパーなど)

l  通所型サービス(デイサービス、デイケアなど)

l  2回の施設への短期入所(ショートステイ)

l  福祉用具貸与(歩行補助つえや手すりなど)

このような目安を参考に、ご本人に必要なサービスを考えるとよいでしょう。

施設の場合

次に、施設入居している場合の利用額を見てみましょう。

介護サービス内容

1カ月当たりの利用額

介護予防特定施設入居者生活介護

108,450

サービス利用額の自己負担額(1割の場合)

1845

施設入居の場合は、毎月定額での利用になります。上記利用額は要支援2の支給限度額10万5,310円を超えていますので、詳細な費用は利用の際にご確認ください。また、施設入居では別途、食費や日用品の費用、入居費などが発生します。

要支援2の場合ヘルパーは何回利用できる?

要支援2では、日常的な家事などにサポートが必要になります。毎日でも来てほしいという方もいるかもしれませんが、実際はどの程度の頻度で利用できるでしょうか。

要支援2の介護予防訪問介護(ヘルパー)の利用は、一般的に1週間当たり2~3回までとなっています。

2~3回という流動的な数値になっているのは、介護予防訪問看護の管理が市区町村の管理下に置かれており、自治体によって利用回数に差があるためです。

利用の際には、お住まいの自治体で週何回までの利用が可能かをご確認ください。

要支援2でも1人で生活を続けられる?

最後に、要介護認定で要支援2になった方が、一人暮らしを続けられるかどうかを考えてみましょう。

要支援2は、基本的な日常生活動作は自分で行なうことができ、認知機能も大きく低下していない状態なので、1人で生活することは可能です。しかし、実際のところは「買い物に1人で行くのは不安」「誰かに掃除を手伝ってほしい」など、見守りやサポートなど一部支援を必要としている状態ともいえます。

住み慣れた自宅・地域で長く暮らすためには、介護サービスが役立ちます。

介護サービスでは、要支援の方が介護を必要とする状態になるのを予防するため、家事などの生活援助やリハビリテーションを提供しています。安全に一人暮らしを続けられるよう、介護サービスを上手に利用しましょう。

介護予防のために要支援2で受けられるサービスの利用を検討しよう


要支援2の方は、日常生活での能力はある程度維持できており、1人で暮らすことも可能です。しかし一方で、歩行や立ち上がりといった機能面の不安などから、部分的な介助が必要な状態にあります。

ご本人の状態を把握しつつ、介護予防をしながら安全な生活が続けられるよう、介護サービスを上手に活用してみましょう。

 
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将来に備えて保険加入をご検討中の場合は、ぜひご活用ください。

社会福祉士 萩原 智洋

有料老人ホームの介護スタッフとして、認知症の方や身体介護が必要な方の生活のサポートを行う。その後、社会福祉士資格を取得。介護老人保健施設の相談員として、入所や通所の相談業務に従事。第二子の出産を機にライターへ転身。現在は、これまでの経験を活かしてウェブコンテンツの執筆業務を行っている。

公開日:2024年3月29日

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