これまで、公的介護保険の所得控除について解説してきました。
ここからは、民間の介護保険の所得控除について、公的介護保険と異なる点を中心に解説します。民間の介護保険は一般的に生命保険料控除のうちの「介護医療保険」に該当し、所得税、住民税の負担が軽減されます 。
公的介護保険の保険料は社会保険料控除の対象ですが、民間の介護保険料は生命保険料控除の対象となり、一定の金額の所得控除を受けることができます 。
公的介護保険は、納めた保険料の全額が控除の対象です。一方、民間の介護保険の場合は、控除の対象となる金額の上限が定められています。
生命保険料控除は、2012年1月以降に結んだ契約を対象とする新制度と、それ以前の契約を対象とする旧制度があります。
新制度は一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除の3つに分けられ、所得税はそれぞれ4万円(合計12万円)まで、住民税はそれぞれ2.8万円(合計7万円)まで控除できます。
支払った介護保険料と控除される金額の関係は、下記のとおりです。
新制度での生命保険料控除額
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所得税
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住民税
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区分
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年間払込保険料額
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控除される金額
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年間払込保険料額
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控除される金額
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一般生命保険料
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介護医療保険料
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個人年金保険料
(税制適格特約付加)
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20,000円以下
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払込保険料全額
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12,000円以下
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払込保険料全額
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20,000円超 40,000円以下
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払込保険料×1/2+10,000円
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12,000円超
32,000円以下
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払込保険料×1/2+6,000円
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40,000円超 80,000円以下
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払込保険料×1/4+20,000円
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32,000円超
56,000円以下
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払込保険料×1/4+14,000円
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80,000円超
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一律40,000円
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56,000円超
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一律28,000円
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公的介護保険の保険料控除手続きでは、保険料を支払ったことを示す証明書類の提出は不要です。一方で民間の介護保険の場合、控除を受けるには保険会社から送付される「生命保険料控除証明書」が必要となります。
「生命保険料控除証明書」は、保険会社から毎年10月~11月頃に送付されます。会社員で年末調整をする場合や、自営業などで確定申告をする場合も、この「生命保険料控除証明書」を添えて手続きを行ってください。