前章では、公的介護保険を通じて福祉用具を利用する方法には「福祉用具貸与」と「特定福祉用具販売」の2種類があることを解説しました。
以下では、それぞれの対象となる福祉用具について紹介します。
公的介護保険制度を使ってレンタルできる福祉用具は、全13種類あります。
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車いす
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車いす付属品
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介護ベッド(特殊寝台)
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介護ベッド(特殊寝台)付属品
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床ずれ防止用具
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体位変換器
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手すり
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スロープ
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歩行器
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歩行補助つえ
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認知症老人徘徊感知機器
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移動用リフト(つり具の部分を除く)
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自動排泄処理装置
要介護度により、保険範囲内でレンタルできる品目は異なります。
手すりやスロープ、歩行器、歩行補助つえは要支援の方からレンタル可能です。そのほかの用具については、原則として要介護2~5の方が対象となっています。自動排泄処理装置(尿のみを自動的に吸引するものは除く) は、要介護2・3の方も原則として給付の対象外です。
ただし、身体の状態などにより、給付の対象となる場合もあります。これは、要介護認定での基本調査結果に基づく判断や市町村への申請を通じて決定されます。
特定福祉用具販売には、同一年度で10万円(税込)までの支給限度額があります。公的介護保険が適用される特定福祉用具には、以下のものが該当します。
これらの福祉用具は、要支援1から要介護5までの要介護認定を受けた方が、幅広く公的介護保険の対象として利用できます。
公的介護保険を利用して福祉用具を使う際の流れは、次のようになります。
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ケアマネジャーまたは地域包括支援センターに相談する
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ケアプランを作成してもらい福祉用具事業者を選定する
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福祉用具専門相談員が利用者宅を訪れ、用具の選定・提案を行う
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福祉用具事業者と契約を結ぶ
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福祉用具を利用する
福祉用具の貸与・販売にあたり、事業者は利用者の自立促進や介護者の負担軽減を考慮し、適切な福祉用具を選ぶことが必要です。そのため、福祉用具の貸与・販売の前に、各利用者に対して個別サービス計画(福祉用具サービス計画)を作成します。この計画では、利用者の希望や心身の状況、生活環境などが総合的に考慮されます。
福祉用具事業者に在籍している福祉用具の専門家が、「福祉用具専門相談員」です。この相談員が利用者宅を訪問し、身体状況や自宅環境を確認したうえで、利用者に適した福祉用具を提案します。
専門的なアドバイスにより、利用者一人ひとりのニーズに合った福祉用具を選択することが可能です。