公的介護保険で車椅子をレンタルできる?
メリットやレンタルの流れ


車椅子は、自力での歩行が困難になった場合に役立つ福祉用具の一つです。車椅子のレンタルを検討するうえで、費用が気になる方は多いのではないでしょうか。介護費用の負担は、公的介護保険を活用して可能な限り軽減させたいものです。

公的介護保険で車椅子はレンタルできますが、利用には条件があります。本記事では、公的介護保険で車椅子をレンタルする際の条件やメリット、レンタルの流れを解説します。

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車椅子のレンタルに公的介護保険を適用できる方

公的介護保険で車椅子をレンタルするには、一定の条件を満たす必要があります。以下では、車椅子のレンタルに公的介護保険を適用できる方の条件を解説します。

要介護2以上と認定された方

公的介護保険制度では、訪問介護や通所介護などの介護サービスのほか、介護が必要となった方が自立した生活を営むために役立つ福祉用具や介護用品のレンタル・購入にかかる費用の補助を受けられます。
車椅子は、福祉用具貸与の対象種目です。

ただし、利用者の身体状況や要介護度を踏まえたうえで、適切なサポートする仕組みであり、無条件に公的介護保険を適用できるわけではありません。

公的介護保険を使って車椅子をレンタルできるのは、原則として要介護2以上と認定された方です。該当する方は、1~3割の自己負担額で車椅子をレンタルできます。

要介護1以下の方が対象になる場合も

厚生労働省では「日常生活範囲における移動の支援が特に必要と認められる」と判断される場合は、要支援や要介護1の方も公的介護保険の対象になると定めています。

車椅子のレンタルは、「日常的に歩行が困難」もしくは「日常生活範囲における移動の支援が特に必要と認められる」場合が対象です。

これらの要件は医師の所見・サービス担当者会議などを通じたケアマネジメントによって、市区町村が要否を判断します。
福祉用具全般のレンタルについて知りたい方は、以下の記事もご参照ください。

公的介護保険で車椅子をレンタルするメリット

ここからは、自費ではなく、公的介護保険で車椅子をレンタルするメリットを3つ紹介します。

費用を抑えられる

公的介護保険で車椅子をレンタルする大きなメリットは、費用を抑えられる点です。

車椅子を購入する場合、製品によって幅はありますが、一般的に自走式は約2万~5万円、電動式であれば約10万~20万円の費用がかかります。レンタルをすれば、購入する場合よりも費用を抑えられ、公的介護保険を使えばさらに1~3割負担で利用可能です。

例えば、車椅子のレンタル料金が5,000円だとすると、公的介護保険を利用した際の具体的な費用は下表のとおりです。

月額レンタル料金

自己負担

5,000

1割負担:500

2割負担:1,000

3割負担:1,500

専門家からアドバイスをもらえる

公的介護保険で車椅子をレンタルすると、ケアマネジャーや福祉用具相談員などの専門家からアドバイスをもらえます。

レンタルする際は、福祉用具専門相談員から、フィッティングや使い方のサポートを受けつつ使用する車椅子を決定します。車椅子を必要とする方の体形や状況、生活環境を踏まえて適した車椅子を提案してもらえるため、初めて車椅子を利用する方でも安心してレンタルできるでしょう。

定期的なメンテナンスが受けられる

車椅子をレンタルすれば、定期的なメンテナンスが受けられます。

例えば、日常生活のなかで車椅子が故障することもあるでしょう。その場合には、無料で修理や交換に対応してくれる事業者もあるので安心です。

ただし、過失によって車椅子が破損もしくは故障した場合は、メンテナンスが受けられないだけでなく、修繕費を請求される可能性があるので注意しましょう。

公的介護保険で車椅子をレンタルする流れ

公的介護保険で車椅子をレンタルするには、いくつかの手順を踏まなくてはなりません。ここからは、公的介護保険で車椅子をレンタルするための流れを解説します。

要介護認定を受ける

公的介護保険で車椅子をレンタルする前に、お住まいの市区町村の窓口で要介護認定の申請をしましょう。申請には、本人確認書類のほかに、申請書類や介護保険被保険者証(40~64歳の方は健康保険被保険者証)などの提出が必要です。

申請後は、各自治体職員の聞き取り調査や主治医意見書の作成が行われ、介護度が決定します。

要介護認定の申請は、基本的に本人もしくは家族が行いますが、難しい場合はケアマネジャー等が代理で行うことも可能です。

要介護認定の流れは、以下の記事でも詳しく解説しています。

ケアマネジャーに相談し、ケアプランを作成してもらう

要介護認定を受けたら、ケアマネジャーに相談してケアプランを作成してもらいましょう。

ケアプランとは、介護を必要とする方とその家族の意見や希望、心身の状態などを踏まえて、必要な支援の方針や介護サービスの種類、具体的な利用方法などをまとめた計画書です。ケアプランを作成することで、介護サービスを利用できるようになります。

レンタル事業者を選ぶ

ケアプランが作成されたら、公的介護保険の事業者指定を受けているレンタル事業者を選びます。

自分で選ぶこともできますが、事業者によってレンタル料金や選べる車椅子の種類が異なるため、迷ったときはケアマネジャーに相談するとよいでしょう。

契約をする

事業者が確定したら、レンタルする車椅子を決めます。

快適に車椅子を使うためにも、乗り心地や身体に合っているか、自宅・外出先での使い勝手に問題無いかなどを、機能性や安全性を踏まえて細かく確認する必要があります。レンタルする際は福祉用具専門相談員が立ち会い、車椅子の使い方の説明や調整をしてくれるため、不明点や不安なことがあれば相談しましょう。

また、契約後も、福祉用具専門相談員によって定期的に使用状況の確認やメンテナンスなどが行われます。

車椅子をレンタルする際の注意点

利用者の身体の状態や日常生活に合った車椅子をレンタルするための、3つの注意点を解説します。

利用者だけでなく介助者の使いやすさも確認する

車椅子をレンタルするにあたって、利用者の乗り心地や使い勝手だけでなく介助者の使いやすさにも留意する必要があります。

車椅子には、自走式車椅子・介助式車椅子・電動車椅子があり、自走式車椅子は利用者本人が後輪外側のハンドリムを使って操作するタイプです。介助式車椅子は、ハンドグリップにブレーキがついていること、ハンドリムがない分軽量で小回りが利くことから、介助者が操作しやすい設計になっています。

電動車椅子は重くて高額ですが、リモコンや操作パネルで動かせるため、長時間の移動も可能です。また、坂道など負荷がある場所を走行する際のみ、駆動補助が入るものもあります。

時と場合によりますが、特に女性が介助をする場合は、介助式車椅子や少ない力でサポートできる電動車椅子が適しているでしょう。

このように、利用者と介助者の状況を踏まえたうえで、日常生活に適した車椅子を選ぶことが大切です。

乗り心地の良さを確認する

車椅子をレンタルする際、どうしても費用が気になるという方は多いでしょう。しかし、費用を重視しすぎると、乗り心地が悪く、日常生活を快適に過ごせないということになりかねません。

快適に車椅子を使うためにも、費用だけでなく乗り心地についても利用者本人がしっかりと確認しましょう。

お試し利用できる業者を選ぶ

車椅子は、実際に試乗してみないと乗り心地や使い勝手がわかりません。カタログだけで選ぶと、あとになって不都合が発生することがあるので注意しましょう。

利用者や介護者に適した車椅子を選ぶためには、お試し利用に対応した業者を選ぶのがおすすめです。自宅やいつも出かける場所など、普段の環境で試乗すると、必要な機能や調整すべきポイントなどが明確になり、安心して車椅子をレンタルできます。

車椅子のレンタルは公的介護保険を活用して費用負担を軽減しよう


車椅子のレンタルは、公的介護保険を活用すると費用を抑えられるほか、福祉用具専門相談員などの専門家からアドバイスをもらえ、安心してレンタルできる点もメリットです。

ただし、公的介護保険で車椅子をレンタルするためには条件があります。まずは、各自治体の担当課に公的介護保険で車椅子をレンタルできるか確認しましょう。

車椅子をレンタルする際は、利用者と介護者の双方が快適に使えるタイプを選ぶことが大切です。

 
朝日生命では、認知症などの介護の経済的負担に備えられる介護保険を提供しています。
将来に備えて保険加入をご検討中の場合は、ぜひご活用ください。

社会福祉士 萩原 智洋

有料老人ホームの介護スタッフとして、認知症の方や身体介護が必要な方の生活のサポートを行う。その後、社会福祉士資格を取得。介護老人保健施設の相談員として、入所や通所の相談業務に従事。第二子の出産を機にライターへ転身。現在は、これまでの経験を活かしてウェブコンテンツの執筆業務を行っている。

公開日:2024年11月11日

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