居宅介護支援とは?
ケアマネジャーの役割や事業所の選び方


介護サービスを利用するにあたり、居宅介護支援事業所がさまざまな調整を行います。居宅介護支援を利用するには、まず要介護認定を受けるなどいくつかのステップ必要です。

本記事では、居宅介護支援の概要や利用方法を詳しく紹介します。併せて、居宅介護支援と関連が深いケアマネジャーの役割や居宅介護支援事業所の選び方も解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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「居宅介護支援」とは

居宅介護支援とは、要介護者が自宅で可能な限り自立して暮らせるよう適切な支援を提供するサービスです。

居宅介護支援事業所(ケアプランセンター)に在籍するケアマネジャー(介護支援専門員)が、要介護者や家族の状況、体調、生活環境などを踏まえ、適切なケアプランを作成し、プランに基づいて介護サービス事業者との調整を図ります。

居宅介護支援は、要介護者やその家族に対して直接的な介護サービスを提供するのではなく、必要なサービスを受けられるようケアマネジャーがサポートをしてくれるサービスです。

居宅介護支援の対象者

居宅介護支援の対象者は、自宅で生活をしている要介護1~5の認定を受けた方です。

なお、要支援1・2の認定を受けた方は、居宅介護支援ではなく介護予防支援が受けられます。介護予防支援の相談窓口は、お住まいの市区町村の地域包括支援センターです。なお、2024年に介護保険法が改正され、指定の居宅介護支援事業所でも介護予防支援を受けられるようになりました。

居宅介護支援にかかる費用

居宅介護支援にかかる費用は、公的介護保険から全額給付されるため利用者の自己負担はありません。

居宅介護支援事業所は、介護サービスを利用するうえで重要な拠点です。利用控えによって、支援が必要な方が介護サービスを受けられないことを防ぐため、全額保険給付となっています。

ただし、居宅介護支援事業所で作成されたケアプランに基づき介護サービスを利用した場合は、原則、サービス利用料の1割を自己負担します。一定以上の所得の場合は、2割もしくは3割負担となります。

ケアマネジャーの3つの役割

居宅介護支援では、利用者のサポートをケアマネジャーが行います。本項では、ケアマネジャーのおもな役割を3つ紹介します。

ケアプラン作成

ケアマネジャーの重要な役割の一つがケアプランの作成です。ケアプランとは、介護サービスの利用者と家族の状況や希望を踏まえて作成する計画書で、介護方針の骨子となります。

なお、ケアプランがないと介護サービスを利用できません。ケアプランの内容に対して利用者や家族の同意がとれれば、介護サービス事業者と契約しサービスの提供が始まります。

利用者と事業者の調整

ケアマネジャーは、利用者が介護サービスをスムーズに受けられるよう、介護サービス事業者との連絡や調整なども行います。

また、利用者と家族の状況やケアプランの内容などを、医師や事業者に伝える「サービス担当者会議」の日程調整も業務の一つです。サービス担当者会議は、担当者間の情報交換の場であり、適切なサポートをするために欠かせません。

そのほか、トラブルや課題が生じた際もケアマネジャーが調整します。ケアマネジャーは、日頃から介護サービス事業者や利用者本人、家族との連携を密にとっており、コミュニケーションの仲介役としても重要な役目です。

モニタリング

介護サービスの利用開始後のモニタリングもケアマネジャーの業務です。居宅介護支援では、ケアマネジャーが月1回以上利用者を訪問し、「ケアプランが適切か」「トラブルはないか」などを確認します。

身体状態や生活環境が変われば、サービス内容を調整する必要があります。このような場合は、モニタリングの内容に合わせて、利用者や家族の意向を聞きながら再度ケアプランの見直しを実施します。

居宅介護支援の利用の流れ

居宅介護支援は、以下の流れで利用ができます。
  1. 要介護認定を受ける
  2. 居宅介護支援事業所を選定・契約をする
  3. ケアマネジャーを決める
  4. ケアプランを作成する
  5. 介護サービス開始・モニタリングを行う
次では、利用の流れを一つずつ詳しく解説します。

要介護認定を受ける

居宅介護支援を利用して介護サービスを受けるには、まず、要介護認定を受ける必要があります。要介護認定とは、日常生活で必要としている介護の度合いを判断し数値化する仕組みです。

要介護認定の申請は、お住まいの市区町村窓口で行います。ただし、本人の申請が難しい場合は、家族や居宅介護支援事業所、地域包括支援センターに代行で申請してもらうことも可能です。

関連記事:要介護認定・認定区分とは?8区分の違いや認定の流れ・受けられるサービス

居宅介護支援事業所を選定・契約する

要介護認定を受けたあとは、居宅介護支援事業所リストのなかから事業所を選定します。どの事業所が良いか悩んだ場合は、お住まいの市区町村窓口や地域包括支援センターに相談しましょう。

居宅介護支援事業所を選定したら契約を交わし、居宅介護支援サービスが始まります。なお、契約した事業所が合わない場合は、サービスを受けている途中でも変更することが可能です。

ケアマネジャーを決める

ケアマネジャーは、居宅介護支援事業所が利用者や家族の状況、希望を踏まえて選定します。希望があれば、利用者自身で選ぶことも可能です。

ただし、ケアマネジャーが担当できる人数の上限は法律で決まっています。多くの人を担当しているケアマネジャーは選任できない場合があるため、事前に確認しましょう。

ケアプランを作成する

選任されたケアマネジャーによって、ケアプランが作成されます。ケアプランは、ケアマネジャーが直接自宅を訪ねて、心身の状況や生活環境を確認したうえで作成します。介護サービスに関する希望や要望があれば、この段階で明確に伝えることが大切です。

介護サービス開始・モニタリングを行う

ケアプランがまとまり利用者と家族の同意が得られれば、介護サービス事業者と契約し、介護サービスの利用開始となります。

サービスを受けている間も、ケアマネジャーが定期的に自宅を訪問しモニタリングを行い、変化や課題があれば、その都度ケアプランを見直します。

関連記事:ケアプラン(介護サービス計画書)とは?作成の流れと3つのポイント

居宅介護支援事業所を選ぶ3つのポイント

居宅介護支援事業所は、各自治体に複数あるため、ポイントを押さえて適した事業所を選ぶことが大切です。本項では、居宅介護支援事業所を選ぶポイントを3つ紹介します。

自宅からの距離

適切な介護サービスを受けるには、ケアマネジャーとの密な連携が欠かせません。そのため、自宅からの距離がなるべく近い居宅介護支援事業所を選ぶのがおすすめです。

自宅近くであれば、地域の介護や福祉に関する情報に詳しい可能性が高く、近隣の介護サービス事業者とも連携しやすいでしょう。これにより、利用者の状況に合わせた柔軟な対応が期待できます。

ケアマネジャーとの相性

介護サービスの利用が始まると、ケアマネジャーと密に連携する必要があります。そのため、利用者や家族と相性の良いケアマネジャーが在籍している居宅介護支援事業所を選ぶことが大切です。
連絡がつきやすいか、守秘義務を守れるか、わかりやすい説明をしてくれるかなど、複数の視点で判断しましょう。

介護中は、予想外の困りごとが発生することも少なくありません。ケアマネジャーとの相性が良ければ、小さな悩みでも相談しやすく、いざというときもスムーズに対応してもらえます。

特定事業所加算を取得した事業所

特定事業所加算とは、良質なサービスを提供する事業所を評価する制度です。

居宅介護支援事業所に関しては、常勤かつ専従の主任介護支援専門員の配置人数などが算定要件として設けられており、加算要件を満たしている事業所には要件の達成区分に応じて介護報酬が支払われます。

24時間連絡のとれる体制の整備なども徹底しているため、安心して任せられるでしょう。

ケアマネジャーと連携して適切な介護サービスを受けよう


居宅介護支援とは、要介護者が自宅で可能な限り自立して暮らせるよう適切な支援を提供するサービスです。介護サービスを受けるうえで欠かせないケアプランの作成や、介護サービス事業者への連絡・調整がおもな業務で、ケアマネジャーがその役目を担います。

なお、居宅介護支援を利用するには要介護認定を受けるなどの準備が必要です。介護サービスの利用を検討している方は、要介護認定の取得と併せてお住いの自治体に確認するとよいでしょう。

 
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社会福祉士 萩原 智洋

有料老人ホームの介護スタッフとして、認知症の方や身体介護が必要な方の生活のサポートを行う。その後、社会福祉士資格を取得。介護老人保健施設の相談員として、入所や通所の相談業務に従事。第二子の出産を機にライターへ転身。現在は、これまでの経験を活かしてウェブコンテンツの執筆業務を行っている。

公開日:2025年4月8日

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