訪問リハビリテーションは、施設とは異なり使用できる機器に制限があります。大型の機器を持ち込むことも難しいでしょう。訪問先によっては十分なスペースを確保することが難しい可能性もあるため、施設で行われるリハビリと比較すると、受けられるサービスが限定的なものになる可能性もあります。
また、他人を自宅に招き入れることとなるため、自分のテリトリーに他人がいることで不安やストレスを感じる方もいるでしょう。訪問リハビリテーションを利用する前には、貴重品や、家族以外に見られたくない・触れられたくないものをあらかじめ片づけておく必要があります。
訪問リハビリテーションで知っておくべき3つのポイント
訪問リハビリテーションは、無制限に何度でも利用できるわけではありません。以下では、サービスを利用する際に知っておくと良い3つのポイントについて紹介します。
公的介護保険での訪問リハビリテーションには回数に制限があります。原則は週6回までです。また、1回当たり20分と定められているため、1週間で120分まで訪問リハビリテーションの実施が可能ということになります(例外として、退院から3カ月以内の場合には、週12回まで、1週間240分まで利用できます)。
なお、1回20分は、1日で利用できる時間が20分までというわけではありません。1日のリハビリで40分間(2回分)利用した場合であれば週3回まで、60分間(3回分)の場合には週2日までの利用が可能です。1日で120分実施することもできます。
1回当たりの料金は、地域や事業所によって異なります。
介護報酬は地域ごとに地域区分が設定され、市区町村ごとに「1級地」~「7級地」、1級地~7級地以外の「その他」に分類されます。この地域区分ごとに「地域加算」が適用されるため、地域により1単位当たりの料金が変動します(1単位の単価は、サービス別、地域別に10円~11.40円で設定)。
サービスごとに算定した単位数(訪問リハビリテーションの基本単価は308単位/回)に1単位の単価を乗じた額が1回あたりの料金です。その1割~3割が自己負担分となります。
例)時間が20分の場合で、1単位の単価が10円、1割負担の方の場合
308単位×10円=3,080円
3,080×1割=308円
上記より308円が自己負担分となります。
訪問リハビリテーションでは、公的介護保険のほかに公的医療保険を利用することも可能です。ただし、原則として要介護認定を受けている方の場合には、公的介護保険が優先となります。
65歳未満、または65歳以上で要介護認定を受けていない方の場合には公的医療保険でのサービス利用となり、公的介護保険との併用はできません。また、40歳未満の方の場合には公的介護保険に加入していないため、この場合にも公的医療保険の適用となります。
通所リハビリテーション(デイケア)や訪問看護との違い
訪問リハビリテーションと似たサービスに通所リハビリテーション(デイケア)や訪問看護があります。ここからは訪問リハビリテーションとの違いをそれぞれ解説します。
施設や病院に通ってリハビリを受けるのが通所リハビリテーションです。通所リハビリテーションは、集団で行う機能訓練を受けられたり、機能訓練を受けるための環境や設備が整っていたりする点が特徴です。また、食事や入浴、レクリエーションなどのサービスを受けられる施設もあります。
日常生活の支援、心身機能の維持回復などのサービスを行うという点はどちらも同じです。
訪問看護とは看護師や保健師などの看護専門職員が利用者の自宅を訪問し、その方に応じた療養上の世話や、医師の指示のもと必要な診療の補助を行うことです。利用者の健康状態の維持や回復のサポートを目的としています。
訪問リハビリテーションと訪問看護ではリハビリの指示を出す医師が異なります。訪問リハビリテーションでは、医療機関や施設、介護医療院に所属する医師が指示を出す一方、訪問看護のリハビリでは利用者の主治医が指示を出します。