介護保険の申請にマイナンバーは必要?
提出メリットと安全対策


「公的介護保険を利用する際にマイナンバーは必要?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。とりわけ、介護保険を初めて申請する方やマイナンバー(個人番号)カードをまだ作っていない方などは、不安に感じることもあるかもしれません。

公的介護保険を申請する際には、原則としてマイナンバー(個人番号)の記入が求められています。しかし、マイナンバーカードをまだ作っていなくても、自治体によっては書類をそろえることで申請は可能です。

本記事では、公的介護保険申請でマイナンバーが必要な場面や、提出するメリット、2026年から予定されている介護保険証とマイナンバーカードの一体化についてわかりやすく解説します。

また、マイナンバーカードがない場合の手続きについても併せて紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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介護保険申請には「マイナンバー」が必要

公的介護保険の申請ではマイナンバーの記入や確認が必要です。これは不正防止や公平な負担判定、手続きの効率化に役立つ大切な仕組みです。

介護保険申請とマイナンバーの関係

公的介護保険は高齢社会における暮らしを支える大切な社会保障制度の一部です。介護サービスを利用するためには市区町村への申請が必要となりますが、その際に必要なのがマイナンバーの記入と確認です。

申請時には本人確認書類の提示も併せて義務付けられています。これはなりすましや不正な申請を防ぎ、本人の権利を守るためです。

また、マイナンバーを利用することで行政機関は所得情報や年金情報など、ほかの制度の情報と効率的に照合でき、介護保険料や自己負担割合を正確に判定できます。これにより一人ひとりの状況に応じた公平な負担が実現します。

このように、公的介護保険の申請におけるマイナンバーは、不正防止と本人確認、公平で正確な負担割合の判定、そして手続きの簡略化といった重要な役割を果たしています。

介護保険の手続きでマイナンバーが必要になる場面

公的介護保険の手続きでは、さまざまな場面でマイナンバーの提示や確認が求められます。
  • 要介護・要支援認定の申請
    申請書にマイナンバーを記入する欄が設けられており、併せて本人確認書類の提示も必要です。これにより所得情報や年金情報と照合でき、介護保険料や自己負担割合を正確に判断することが可能になります。

  • 介護保険料の賦課・徴収
    市区町村が介護保険料を計算する際にもマイナンバーは重要な役割を果たします。税務データと照合することで所得情報を正確に把握し、適正な保険料を算出できます。

  • 高額介護サービス費などの給付申請
    高額介護サービス費など、利用者の自己負担が一定額を超えた際に払い戻しや軽減を受けられる制度を申請する場合にもマイナンバーが必要です。これにより、所得やほかの社会保障制度の情報と照合し、正しい給付が行えます。

  • 介護保険被保険者証の再交付や更新
    介護保険被保険者証を紛失した場合の再交付や有効期限の更新手続きの際にも、本人確認のためにマイナンバーが活用されます。

  • 転居・転入出などの異動届
    転居や転入出といった住所の異動があり、ほかの自治体に移動する際には、介護保険の資格情報を正確に引き継ぐため、マイナンバーを用いた情報連携が行われます。
このように、マイナンバーは介護保険制度の運用において、申請や給付、保険料の算定から資格情報の引き継ぎに至るまで幅広く活用されています。

介護保険証とマイナンバーカードの一体化

2026年度(2026年4月以降)からは、準備が整った自治体から順次、介護保険証とマイナンバーカードの一体化が進められる予定となっています。

これにより、従来は別々に管理されていた証明書類が一本化され、利用者にとってわかりやすくなることが期待されています。ただし、高齢者を中心にマイナンバーカードの普及率がまだ十分とはいえない現状もあるため、当面は紙の介護保険証との併用を認める運用も検討されています。

一体化が進むことで、公的介護保険に関する申請や通知がオンラインで可能となり、窓口に足を運ぶ手間が減るなど、利便性の向上が期待されます。こうした仕組みは、高齢社会における行政手続きの効率化と利用者の負担軽減の両面に寄与するものといえるでしょう。

マイナンバーを提出するメリット

 
公的介護保険の申請では、マイナンバーを提出することで申請者にとって多くのメリットが生まれます。従来の手続きでは、介護サービス利用時の本人確認に、複数の書類を取りそろえる必要がありました。

しかし、マイナンバーを提出すれば、行政機関同士が情報を直接照会できるため、こうした書類集めの手間が省けます。

また、マイナンバーによって情報の連携が効率化されることで、提出書類の不備や不足によって手続きが長引くといったケースも減少することが期待されています。これにより申請から要介護認定、そして介護サービスの利用開始までの流れがスムーズになり、必要なサービスを早く受けられるようになるでしょう。

さらに、介護情報が一元的に管理されることで、サービス提供者側も利用者の状況を正確に把握しやすくなり、より適切かつ迅速なサポートを提供することにつながります。

加えて、マイナポータルを利用したオンライン申請の仕組みも普及してきており、自宅から手続きを行えるようになってきました。外出が難しい高齢者や遠方に住む家族でも、自宅のパソコンやスマートフォンから簡単に申請できるため、利便性は高いでしょう。

マイナンバーを提出することは単なる行政手続きの効率化にとどまらず、申請者にとって負担を減らし、適切に介護サービスを利用できる環境を整える点でも大きなメリットがあるといえます。

マイナンバーカードがない場合の手続き方法

公的介護保険の申請にあたっては、マイナンバーカードがなくても原則手続きを進めることが可能です。ただしその場合は、本人確認とマイナンバー(個人番号)の確認をそれぞれ別の書類で行う必要があります。

おもに必要となる書類は以下のとおりです。
  • マイナンバー(個人番号)確認書類
    ・通知カード
    ・マイナンバー入り住民票

  • 本人確認書類
    ・写真付き:運転免許証、パスポートなど(1点)
    ・写真なし:健康保険証、年金手帳、介護被保険者証など(2点)
    ※写真付きの本人確認書類があれば、写真なしの書類2点は不要です。
つまり、マイナンバーを確認できる書類と、本人であることを証明できる書類をそろえれば、マイナンバーカードを所持していなくても公的介護保険の申請は原則行えます。

また、申請者本人が高齢や病気などの理由で窓口に行けない場合は、家族や成年後見人などの代理人による申請も可能です。その際に必要となるのは、おもに次の書類です。
  1. 代理人の本人確認書類
  2. 代理人の委任状(申請者の署名または押印入り)、もしくは本人の介護保険証
  3. 申請者のマイナンバー確認書類(通知カードやマイナンバー入り住民票)

プライバシーは守られる?定められている安全管理措置は

 
公的介護保険の申請にあたりマイナンバーを提出する際、多くの方が心配されるのがプライバシーの保護に関することではないでしょうか。

マイナンバーは「マイナンバー法」によって利用目的が厳しく制限されており、社会保障・税・防災に関する特定の事務以外での使用は認められていません。公的介護保険の手続きにおいても、申請や給付確認など必要最小限の範囲に限定して使用され、第三者に勝手に提供することは禁止されています(マイナンバー法第19条)。

また、自治体や事業者はマイナンバーを適切に扱うための厳格な管理体制を整えています。専用のシステムを用いて番号を取り扱うほか、郵送や窓口で提出された紙の書類についても施錠管理やアクセス制限を徹底しています。

さらに、利用者は提出時に「誰が」「どのような目的で」マイナンバーを使用するのかを確認できる仕組みが設けられているのです。

このように、マイナンバーの利用は法的に制限され、実務上もセキュリティー対策が講じられています。絶対的な安全性を保証するものではありませんが、一定の仕組みに基づいてプライバシー保護が図られていることは確かです。

マイナンバーで各種申請を円滑に進められる


公的介護保険の申請にはマイナンバーが必要です。このマイナンバーは、要介護認定や給付の申請などさまざまな場面で使われます。マイナンバーを提出することで、複数の書類を集める手間が減り、手続きもスムーズに進むようになります。

今後は介護保険証とマイナンバーカードの一体化も予定されており、利便性はさらに広がっていくでしょう。

マイナンバーカードがなくても原則申請はでき、本人が申請に行けない場合には、家族などによる代理人申請も可能です。プライバシー保護の仕組みも整っているため、不安を減らしながら申請を進められるでしょう。

 
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将来に備えて保険加入をご検討中の場合は、ぜひご活用ください。

赤上 直紀

元銀行員。保険商品を通じて、多くのお客様のライフプランニングに携わる。保険は「安心」と「時間」を買う商品であるため、自分に合ったものを選ぶことが大切だと考える。現在は、編集者として金融機関を中心に、ウェブコンテンツの編集・執筆業務を行う。

資格:1級ファイナンシャル・プランニング技能士

公開日:2025年10月15日

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