「生活習慣病」を予防しよう

日々の好ましくない習慣や環境の積み重ねによって発症する病気、「生活習慣病」。
適切な生活習慣によって、予防することができるものです。
原因と予防法を知り、ご自身やご家族を生活習慣病から守りましょう。

生活習慣病とは

生活習慣病とは、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」のことを指します。

日本人の死因の上位を占めるがん・心臓病・脳卒中のほか、糖尿病、肥満、高脂血症(家族性のものを除く)、高血圧症等 などが含まれます。

介護のきっかけ「生活習慣病」

生活習慣病である脳血管疾患(脳卒中)は、認知症に次ぐ介護のきっかけ・主な原因となっています。

出典:厚生労働省「国民生活基礎調査」(2019年)

生活習慣病の原因とは?

不適切な食習慣、運動不足、喫煙、過度な飲酒、またストレスなどが生活習慣病の原因になることがあります。

あなたは大丈夫?生活習慣チェックリスト

偏った食習慣

  • 炭水化物をよく食べる
  • 脂っこい料理をよく食べる
  • 濃い味付けの料理をよく食べる
  • 甘いジュースをよく飲む
  • 間食が多い
  • 深夜の飲食が多い
  • 野菜をあまり食べない

運動不足

  • 移動は車が多い
  • 運動をする習慣がない
  • 一日の歩数は7,000歩未満が多い

ストレス

⼼筋梗塞の発症理由のひとつとして、ストレスや抑うつの関わりがあることが明らかになっています。

喫煙

  • たばこを吸う

過度な飲酒

厚生労働省「健康日本21(第二次)」によると、生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している方とは、1日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上の方とされています。

厚生労働省「e-ヘルスネット」より

  • (男性)1日当たりアルコール量40g以上に相当するお酒を飲む
  • (女性)1日当たりアルコール量20g以上に相当するお酒を飲む

<アルコール量20gの目安>

  • ビール(アルコール度数5%)中ビン1本(500ml)
  • チューハイ(アルコール度数7%)レギュラー缶1本(350ml)
  • ワイン(アルコール度数12%)グラス2杯(200ml)
  • 日本酒(アルコール度数15%)1合(180ml)
  • 焼酎(アルコール度数25%)ロック1杯(100ml)
  • ウイスキー(アルコール度数40%)ダブル1杯(60ml)

生活習慣病は高齢者にも急増

年齢別の高血圧、糖尿病、脂質異常症の罹患率をみると、加齢に伴い一定の増加がみられます。

<高血圧>※1
<糖尿病>※2
<脂質異常症>※3

※120歳以上2,601人の割合(血圧を下げる薬の使用者含む)。Ⅰ度・Ⅱ度・Ⅲ度高血圧の合算。

※220歳以上2,412人のうち、「糖尿病の指摘がある者」の割合を示した。

※320歳以上2,406人のうち、「脂質異常症が疑われる者」の割合を示した。

出典:厚生労働省「国民健康・栄養調査」(2019年)

生活習慣病予防のためのポイント

運動

中高年になると筋力が低下し、身体を動かすことが億劫に感じやすくなります。しかし、運動は血圧や血糖値を改善し生活習慣病を予防する有効な方法です。
転倒や関節疾患を予防する効果もあるので、毎日60分程度身体を動かす習慣をつけましょう。

特に以下のような有酸素運動が有効です。無理のない範囲で実践しましょう。
  • ウォーキング
  • サイクリング
  • エアロビクス
  • スイミング
  • 水中歩行
  • ストレッチ運動

食事

高血圧の予防に重要な塩分の制限などをはじめとして、食事は生活習慣病予防に非常に重要です。

以下のようなポイントを意識して食生活を改善しましょう。
  • 体にいいものをバランスよく
    • 野菜を多く摂る
    • 1日30品目を目安に
    • 肉よりも魚を
  • 食塩摂取量を少なめに
    • ラーメンやうどんの汁を残す
    • 漬物類は控えめに
    • 味噌汁は具沢山に
  • 食べ過ぎ・外食しすぎに気を付ける
    • ゆっくり食べる
    • 腹8分目
    • できるだけ外食は控え、外食時はなるべく品目の多いメニューを選択
    • 忙しくても食事は抜かない
    • 間食は控えめに

たばこ

喫煙者は非喫煙者と比べて、がん・心臓病・脳卒中・肺気腫・喘息など、特定の重要な疾病の罹患率や死亡率などが高い傾向にあります。

がんなどの生活習慣病を予防するためには禁煙が大切です。自分ひとりではなかなか難しい場合、禁煙外来なども検討しましょう。

飲酒

飲酒は肝疾患、脳卒中、がんといった生活習慣病と関連があるとされます。

お酒を飲まれる方は、「節度ある適度な飲酒」を心がけましょう。

睡眠

厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」において、睡眠不足が肥満・高血圧・循環器疾患・メタボリックシンドロームを発症させる危険性を高めるとされ、睡眠時間を7時間前後とすることで生活習慣病のリスク軽減につながるとされています。
寝室の環境を整えるなど、しっかり睡眠時間を確保する工夫を心がけましょう。うまく眠れない日が続いている、など睡眠に不安があるときには、専門家に相談することも検討しましょう。

また、睡眠時無呼吸症候群も生活習慣病の原因とされており、いわゆる「いびき」は高血圧・糖尿病・脳卒中・虚血性心疾患などの危険因子であるとされています。
いびきは禁煙・節酒により改善できる可能性があるとされます。

生活習慣病に備えよう

正しい生活習慣を、今日から全て取り入れるのは難しいかもしれません。
無理のない範囲で、一つずつ始めてみましょう。
日々の生活習慣を見直すとともに、リスクが気になる方は生活習慣病保険などもご検討ください。

荒巻医院 院長 井林 雄太

2008年大分大学医学部卒業後、福岡の国立総合病院を中心に初期研修を終了。内分泌代謝/糖尿病の臨床、健康長寿に関連するミトコンドリア基礎研究に従事しつつ、内分泌代謝内科専門医や糖尿病専門医等の資格を取得。

最近では、内科学/糖尿病学/内分泌代謝学に加え栄養学/アンチエイジング学にも専門を広げ、予防医学の一環として内分泌・糖尿病教育に力を入れながら複数企業のメディアにおいて情報発信を行っている。

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