認知症が疑われたらどこに相談する?
知っておきたい相談先と気を付けたいポイント


親や家族、自分自身が認知症になって、不安や悩みを抱えている方は少なくないでしょう。そしてその不安や悩みをどうにかしたいと思っていても、どこに相談したらよいのかわからないという方もいるかもしれません。

「認知症かも」という疑いの段階での相談なら、かかりつけ医や地域包括支援センターに相談し、実際に親や家族、自分自身が認知症で不安を抱えているなら、認知症カフェや認知症の人と家族の会などに相談することがおすすめです。相続やお金の問題は、法律の専門家に相談できます。

この記事では、親や家族、自分自身が認知症になった際にどこに相談したらよいのかわからない方のため、悩み別におすすめの相談先を紹介します。

朝日生命では認知症介護などの経済的負担に備えられる介護・認知症保険をご提供しています。
詳しい資料はこちら

親や家族、自分自身が「認知症かもしれない」と思ったときの相談先

 
認知症は、早期に発見し適切な治療を受けることで、症状の進行を抑えられる可能性があります。「最近もの忘れが増えた」「様子が少し変わった」と感じたときこそ、早めの診断・治療が重要です。

親や兄弟の変化に最初に気付ける可能性が高いのは、身近な家族です。小さな違和感を見逃さず、早い段階で相談につなげましょう。

以下では、認知症が疑われたときの相談先を4つ紹介します。

かかりつけ医を受診する

「認知症かもしれない」と不安を感じたら、まずは普段お世話になっているかかりつけ医に相談しましょう。常日頃から、体や健康のことについて相談できる「かかりつけ医」を見つけておくことで、ささいな不安もすぐに相談できます。

かかりつけ医の場合、これまでの健康状態も把握しているため、わずかな変化に気付いてもらえることもあります。かかりつけ医が認知症の診断をできなくても問題ありません。必要に応じて専門の医師・医療機関を紹介してくれます。

もの忘れ外来を受診する

「もの忘れ外来(メモリークリニック・認知症外来)」では、「すぐに忘れてしまう」という症状が加齢によるものか、認知症によるものかを調べられます。

認知症の専門医が、認知機能の検査や画像診断を行い、原因を明らかにしたうえで適切な治療へつなげてくれます。

受診する際は、かかりつけ医に紹介してもらうのが一般的ですが、かかりつけ医がいない場合は、後述する地域包括支援センターや自治体の福祉課に相談するとよいでしょう。

全国のもの忘れ外来は、公益社団法人認知症の人と家族の会「全国もの忘れ外来一覧」から検索できます。

認知症疾患医療センターを受診する

認知症疾患医療センターは都道府県が指定する認知症専門の医療機関です。もの忘れの相談や診断・治療だけでなく、介護の相談保険申請のサポートまでワンストップで支援を受けられます。

地域包括支援センターと連携しているため、まずは地域の地域包括支援センターから案内を受けるのがスムーズです。

なお、受診にはかかりつけ医による紹介状や事前予約が必要な場合もあります。受診前に確認しておきましょう。

地域包括支援センターなどでアドバイスを受ける

認知症かもしれないと思っても、「年のせいかも」と受診をしない方もいらっしゃいます。そのような方は、まず地域包括支援センターに相談することをおすすめします。

地域包括支援センターとは、高齢者の生活や介護などのさまざまな相談に対応する機関です。必要な援助と結びつける、保健師や社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門スタッフがさまざまなサービス機関と連携をとり、多角的なサポートを行っています。

本人が病院の受診を嫌がっている場合は、家族のみで相談することも可能です。かかりつけ医がいない場合にも、地域包括支援センターに相談するとよいでしょう。

厚生労働省「介護サービス情報公表システム」からお住いの地域の支援センターを簡単に検索できます。

親や家族、自分自身が「認知症になったとき」の相談先

 
親や家族、自分自身が認知症になったら、一体誰に相談すればよいのでしょうか。不安な気持ちのまま過ごさないためにも、相談先をいくつか知っておくとよいでしょう。

認知症カフェ

認知症カフェとは、認知症の方やその家族だけでなく、認知症について詳しく知りたい方や地域住民の方、介護や福祉の専門職の方など誰もが利用でき、交流したり情報の交換を行ったりできる場所です。

公民館や地域のコミュニティーセンターなどを利用して開かれており、全国で6,000カ所以上のカフェが存在しています。おおむねどの地域にもあり、現在もその数を増やしています。

介護施設や介護事業所、地域包括支援センターが運営していることが多く、NPO法人や地域のボランティア、介護や福祉の専門職の方が運営しているケースもあります。

活動内容はカフェによって異なりますが、多くのカフェで共通して行われていることは、以下のとおりです。
  • 参加者同士の自由な交流、コミュニケーション
  • 認知症や介護についての講演会やセミナー
  • 専門家による相談会
  • レクリエーション(介護予防体操、脳トレ、カラオケ、ゲーム)
なお、「認知症カフェ」という名称以外に「オレンジカフェ」などの名称で運営されている地域もありますが、実施している内容はどちらも同じです。

認知症カフェの概要は、厚生労働省のパンフレット「私たちの認知症カフェ」でわかりやすく紹介されています。

認知症の人と家族の会

全国47都道府県すべてに支部がある「認知症の人と家族の会」は、認知症の方やその家族の方が、悩みや介護体験などの情報を交換・共有し、互いに励まし合い、助け合うことを目的に設立された団体です。

各地で開催されている「つどい」では、同じ立場の人が集まり、介護の悩みや日常の工夫を話し合えます。

直接参加するのが不安な方は、まず電話相談から始めてみるとよいでしょう。

「認知症の人と家族の会」では、フリーダイヤルによる電話相談を受け付けており、認知症に関する知識や介護の方法などを経験者に気軽に相談できます。各支部でも電話相談を受け付けているため、住まいの地域に合わせて利用してみましょう。

詳細は公益社団法人認知症の人と家族の会「電話相談」をご覧ください。

若年性認知症コールセンター

認知症と聞くと「高齢者が発症するもの」と考える方も多いかもしれませんが、若くても認知症を発症することがあり、65歳未満で発症すると「若年性認知症」と診断されます。

若年性認知症は、働き盛りの方で発症することが多く、本人や家族の生活に与える影響も大きくなりがちです。違和感を覚えてからも受診に踏み切れず、発覚までに時間がかかるというケースも少なくありません。

こうした状況に対応するために設けられているのが、「若年性認知症コールセンター」です。これは、若年性認知症支援センターが実施している事業であり、若年性認知症に関する電話相談を受け付けています。専門的な研修を受けた相談員が対応しているほか、電話が苦手な方のためにメールでの相談も受け付けています。

詳細は厚生労働省「若年性認知症の電話無料相談」をご覧ください。認知症に関する悩みは一人で抱え込まず、早めに相談することが大切です。

「認知症の家族の介護」に関する相談先

続いて、「介護」に関する悩みの相談先を紹介します。

自治体の福祉課

介護について悩んだときの相談先の一つに、自治体の福祉課があります。自治体の福祉課では、特に公的介護保険や福祉・介護サービスの申請・相談が可能です。

例えば、「生活援助」「通所介護」「福祉用具の利用」など、要介護度に合わせた介護サービスを受けたい場合、まずは自治体の福祉課で、要介護認定の申請を行いましょう。

介護サービスを利用すると、所得に応じて1~3割の自己負担でさまざまな支援を受けられます。

制度の仕組みや対象者、受けられる介護サービスは、下記の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

公的介護保険制度とは? 仕組みや対象者・受けられるサービス

また、自治体では、認知症の相談会や介護者の交流会などを主催していることもあります。相談会では、認知症に関する悩みの緩和や気持ちの整理のために、専門家が相談に応じます。交流会では、介護を行う同じ立場の方と話せるため、自身が抱える悩みを共有しやすいでしょう。

こうした取り組みを活用することで、家族だけで負担を抱え込まず、安心して介護に向き合えるでしょう。

社会福祉協議会

社会福祉協議会は、全都道府県に設置されている民間団体で、介護や認知症に関する総合的な悩みの相談が可能です。

例えば、介護サービスの申請方法や介護の相談のほか、高齢者の日常生活や金銭管理に対する不安、認知症に対する不安なども相談対象となります。

また、都道府県社会福祉協議会では、訪問介護や配食サービスなどを行う市区町村社会福祉協議会と連携し、自分の判断能力に不安のある認知症の方などを対象として「日常生活自立支援事業」を実施しています。具体的には、福祉サービスの利用援助や行政手続きの援助、日常生活費の管理、定期的な訪問などです。

「相続や税金などのお金」に関する相談先

 
親や家族、自分自身が認知症になったとき、相続や税金のことなど、お金に関する不安も感じるでしょう。こうした不安や悩みは、なるべく早めに信頼できる専門家に相談することが大切です。

なぜなら、認知症になり「判断能力がない」とみなされると、法律行為や契約行為ができなくなり、資産が凍結される恐れがあるためです。認知症の進行状況にもよりますが、認知症かもしれないと思ったタイミングで専門家に相談することを推奨します。

ただし、専門家によって対応できる分野は異なるため、以下では相続や税金にかかわる専門家を紹介します。

司法書士

司法書士は、法務局や裁判所などに提出する書類の作成や、それらに関連する手続きの相談に応じる専門家です。相続などのお金に関する分野としては、家族信託、遺言書、任意後見制度、生前贈与などの手続きが該当します。相続や財産に関しての相談先がわからないという場合は、まずは司法書士に相談しましょう。

弁護士

弁護士は、社会生活上の事件や紛争について、法律相談や法律事務、弁護活動を担う専門家です。相続などのお金に関する分野としては、相続人間でのトラブル解決のほか、調停・裁判の代理人や、それらの手続きが該当します。依頼にかかる費用がほかの専門家と比較して高い傾向があるため注意しましょう。

税理士

税理士は、税務に関する専門家です。相続税や贈与税などの税金に関する書類の作成や、申告手続きのほか、節税の相談などに対応しています。ただし、認知症の発症後では相続税対策は難しくなるため、事前の相談が必要です。

行政書士

行政書士は、官公署に提出する申請書類や事実証明、契約書の作成のほか、提出手続きなどを行う専門家です。相続などのお金に関する分野としては、遺言書の作成支援や、家族信託における信託契約書の作成、銀行預金の相続手続き、相続人・財産調査、遺産目録の作成などが該当します。

「認知症かも……」と思ったときに気を付けたいポイント

認知症を疑って受診や相談をしても、本人が症状をうまく説明できなかったり、内容を忘れてしまったりすることがあります。

相談時に慌てないように、日頃から気になる言動や日常生活の変化をメモしておくとよいでしょう。具体的には、次のような内容です。
  • 夕食を摂ったことを忘れた
  • いつもの散歩道で道に迷った
  • 季節外れの服を着ることが増えた
「いつ」「どこで」「どのように困ったのか」を具体的に書き留めておくことで、医師や専門家が判断しやすくなります。

また、本人が気付けない変化を家族が先に感じ取ることもあります。「口数が減った」「同じ質問を何度もする」などの様子が見られた場合は、家族がその情報を代わりに伝えることが大切です。

本人と家族、双方の視点を整理して伝えることで、より正確な診断や早期対応につながります。

認知症で困ったり不安を感じたりしたら、まずは相談を


親や家族、自分自身が認知症かもしれないと不安に感じたときは、一人で抱え込まず、早めに周囲に相談することが大切です。まずはかかりつけ医に相談し、場合によっては地域包括支援センターに相談するとよいでしょう。

気になる症状や日常生活の変化をメモしておくと、相談時に慌てず、正確な情報を伝えられます。

実際に認知症になってしまった場合の不安や悩みは、認知症カフェや、認知症の人と家族の会、若年性認知症コールセンターなどがおもな相談先です。また、介護やお金に関する悩みがある場合も、自治体の福祉課や社会福祉協議会、司法書士などの専門家に相談することで解決につながるでしょう。

 
朝日生命では、認知症などの介護の経済的負担に備えられる介護保険を提供しています。
将来に備えて保険加入をご検討中の場合は、ぜひご活用ください。

介護について知る

介護を予防する

介護について考える

公的制度・支援サービス

介護の費用

介護が始まったら

認知症について知る

認知症とは

認知症の予防

もの忘れ・認知症の専門家の
特別コンテンツ

生活習慣病について知る

生活習慣病とは

生活習慣病の予防

老後の備え方

年代別アドバイス