三大認知症の一つである「アルツハイマー型認知症」は、「孤発性アルツハイマー型認知症」と「家族性アルツハイマー型認知症」の2種類に分類できます。このうち、「家族性アルツハイマー型認知症」には遺伝が関係するとされているのです。
家族性アルツハイマー型認知症は、発症年齢が40~50代と比較的若い年齢で発症し、症状の進行も速い傾向にあります。また、両親のいずれか、もしくは兄弟姉妹が発症していると発症リスクが高まる点も特徴です。
ただし、アルツハイマー型認知症自体の発症割合は孤発性のほうが高く、認知症全体で見ても家族性の発症割合は数%程度とされています。また、遺伝という要因一つだけではリスクが大きく高まるともいえないため、過度に不安になる必要はないと考えられるでしょう。
認知症が遺伝している可能性を調べる方法
家族性アルツハイマー型認知症の遺伝の有無を調べる代表的な検査には、「APOE遺伝子検査」が挙げられます。
この検査では、家族性アルツハイマー型認知症の要因となる「アポリポタンパクE(APOE)」と呼ばれる遺伝子の型を調べます。この遺伝子には、「ε2」「ε3」「ε4」などのサブタイプがあり、このなかで「ε4」のサブタイプを持っていると、持っていない方に比べ比較的発症リスクが高いとされます。
ただし、上記のサブタイプの遺伝子を持つからといって、必ずしも発症するとは限りません。遺伝以外にも、生活習慣をはじめ認知症の要因となるものは幅広いためです。遺伝の有無と併せて、発症リスクを高めるほかの要因を知り対処することで、認知症の予防につながります。
遺伝以外の認知症を発症する要因
認知症の症状を引き起こすおもな原因疾患
また、認知症ではない別の病気でも、認知症のような症状が出る場合があるため注意が必要です。例えば、「慢性硬膜下血腫」や「正常圧水頭症」、「甲状腺機能低下症」などが該当します。
これらの疾患は前述の認知症とは異なり早期発見・早期治療により症状の改善が見込める可能性がある点が特徴です。
生活習慣の乱れ
肥満
例えば、動脈硬化や高血圧は、血管に大きな影響を与えかねません。脳の血管まで影響がおよぶと、認知症だけでなく脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患のリスクを高めます。
また、糖尿病もアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症を発症する要因となり得るため注意が必要です。糖尿病になると、アルツハイマー型認知症の原因物質とされるアミロイドβが正常に分解されず、これが脳に蓄積すると認知症の症状が出る可能性が高まると考えられているのです。
飲酒・喫煙
ストレス
また、ストレスによって分泌されるホルモンの一種である「コルチゾール」は、前述したアルツハイマー型認知症の原因物資であるアミロイドβの蓄積を引き起こすとされています。そのため、ストレスは脳の働きの低下を招くだけでなく、認知症の発症リスクを高める可能性もあるのです。