音楽療法は認知症の治療でも活用されますが、いくつか注意点もあります。以下では音楽療法を行う際の注意点を4つ解説します。
年齢を重ねると、認知症に関係なく一般的に聴力が低下します。これは加齢による耳の老化がおもな原因です。
聴力が低下すると、音量が小さいと聴き取りにくくなる、高音領域が聞こえにくくなる、本来と異なる音に聞こえるといったことがあります。その結果、好きな音楽でも不快に感じ、楽しめなくなることがあります。
事前に普段のテレビの音量などをチェックして、聴力に問題がないかを確認することが重要です。必要に応じて補聴器を使用するのもよいでしょう。
音楽療法を行う際は、体力に配慮する必要があります。
認知症により脳の機能が低下し、疲れやすくなるため、健康な人が負担を感じない何気ない動作でも疲れを感じることがあります。また、注意力が散漫になったり、集中力が続かなかったりすることもあるでしょう。
そのため、長時間の音楽療法は負担になる可能性があります。適度な休憩を挟みながら短時間に留めることが重要です。体力的に無理がないかを確認しながら、リラックスして楽しめるように工夫しましょう。
音楽の好みや、音楽によって呼び起こされる記憶は人それぞれです。
時代背景や過去の出来事によっては、つらい記憶がよみがえる可能性もあります。リラックスできて、楽しいと感じる音楽を選択することが大切です。
また、複数人で音楽療法を行う場合は、個人レベルで配慮する必要があります。
同じ認知症でも記憶障害の程度や身体機能、音楽の好みや記憶は異なります。個々の状況に合わせて様子を見ながら進めましょう。
音楽療法は、家族や介護者など周りの人が一緒に楽しむことも重要なポイントです。
周りの人の楽しい気持ちは、笑顔や声色から本人にも伝わります。それにより、本人もポジティブな気持ちになり、そのときの楽しさや喜びが心に残ります。一緒に穏やかな時間を過ごせるでしょう。
また、一緒に歌ったり演奏したりすることで一体感を覚え、孤独感の軽減にもつながります。