認知症かどうかを診断するための一般的な流れを解説します。総合的な診断によって、認知症かどうかだけでなく、認知症の種類や進行度を明らかにすることが可能です。
診察では医師が本人や家族に対し、現在の状態やこれまでにかかった病気などについて尋ねます。本人が受診に乗り気でない場合は何も答えない可能性があるため、家族が状況をある程度把握しておくことが必要です。
医師が認知症の診察で尋ねることの多い質問を以下に挙げます。
● 認知症が疑われる症状が出始めた時期
● 気になる症状の詳細
● 既往歴
● 飲んでいる薬
認知症の診断では認知症以外の病気である可能性の有無を調べるため、一般的な身体検査が実施されます。おもな身体検査は以下のとおりです。
● 血液検査
● 心電図検査
● 感染症検査
● X線撮影
これらの検査によって医師は身体の全体的な健康状態を確認し、今後の医療や介護の方針を検討します。
認知機能を測定するため、日時や場所の認識、簡単な計算、文字を読むなどの検査が行なわれます。
代表的な検査は以下の3つです。
● 改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
● ミニメンタルステート検査(MMSE:Mini Mental State Examination)
● 時計描画テスト
検査の点数が一定基準を下回った場合、「認知症の疑い」と判定されます。
ただし、本人が緊張や不安を感じているときや抵抗を覚えて協力的でないときは、検査で提示される課題に対応できないこともあるでしょう。
点数が基準よりも低いことで自動的に認知症と診断されるわけではないため、リラックスして検査に臨むことが大切です。
認知症の検査では、画像をもとに脳の萎縮度合いや脳内の血流の低下を調べる脳画像検査も行なわれることがあります。おもな検査は以下の4つです。
● CT
● MRI
● SPECT
● VSRAD
CTはX線を利用したコンピュータ断層撮影です。MRIでは電磁気によって脳の状態を判定します。
またSPECTとは放射線検査薬を注射し、薬の体内動向によって脳の血流量を確認する検査です。VSRADではMRI画像を統計的に解析します。
脳血管性認知症やレビー小体型認知症など、画像検査は診断や鑑別の一助となることがあります。