認知症の初期症状
● 数分前や数時間前にあったことをすぐに忘れる
● しまい忘れ・置き忘れが増え、いつも探し物をしている
● 同じものをいくつも購入してくる
● 身だしなみに気を遣わなくなる
● 趣味や好きなことに興味を示さなくなる
認知症の初期症状は身近な家族が気付けることが多く、上記のような症状に気付いたときは受診を検討するタイミングといえるでしょう。
認知症の早期診断は重要
早期に医師の診察を受けて認知症かどうかを診断されることで、気になる症状の原因が認知症以外の病気であった場合でも、適切な治療を受けられます。
例えば、頭部の打撲によって発症した脳内出血が認知症に似た症状を引き起こしているケースでは、早期の処置で症状を改善することも可能です。診断が遅れると適切に治療できない恐れがあります。
また、受診によって認知症であることが確定した場合でも、早期の治療や介護サービスにつながれば、本人の将来的な生活の質は大きく高まるでしょう。
認知症が疑われるときは何科にかかるべき?
ここでは、認知症が疑われるときに何科を受診すれば良いのかを、かかりつけ医がいる場合といない場合に分けて説明します。
まずはかかりつけ医に相談
かかりつけ医は本人の普段の様子やこれまでの病気、身体の状態をよく知っています。認知症が疑われるときでも、普段から信頼を置いているかかりつけ医に相談すれば安心です。
診察の結果、かかりつけ医が認知症の疑いが強いと判断した場合、状況に応じた医師や病院を紹介してくれるでしょう。
かかりつけ医がいない場合
● 脳神経内科
● 脳神経外科
● 精神科
● 心療内科
● 老年科
● 「もの忘れ外来」を開設している病院
認知症の原因によって該当する診療科が異なるため、認知症の受診が可能な診療科は多岐にわたっています。本人や付き添う家族が通いやすい病院を選ぶのがおすすめです。
ただし、初診で紹介状を持たずに受診する場合は、診察までに長い時間がかかる傾向があります。スケジュールには余裕を持たせて受診しましょう。
認知症診断の流れ
1. 診察
医師が認知症の診察で尋ねることの多い質問を以下に挙げます。
● 認知症が疑われる症状が出始めた時期
● 気になる症状の詳細
● 既往歴
● 飲んでいる薬
2. 身体検査
● 血液検査
● 心電図検査
● 感染症検査
● X線撮影
これらの検査によって医師は身体の全体的な健康状態を確認し、今後の医療や介護の方針を検討します。
3. 神経心理学検査
代表的な検査は以下の3つです。
● 改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
● ミニメンタルステート検査(MMSE:Mini Mental State Examination)
● 時計描画テスト
検査の点数が一定基準を下回った場合、「認知症の疑い」と判定されます。
ただし、本人が緊張や不安を感じているときや抵抗を覚えて協力的でないときは、検査で提示される課題に対応できないこともあるでしょう。
点数が基準よりも低いことで自動的に認知症と診断されるわけではないため、リラックスして検査に臨むことが大切です。
4. 脳画像検査
● CT
● MRI
● SPECT
● VSRAD
CTはX線を利用したコンピュータ断層撮影です。MRIでは電磁気によって脳の状態を判定します。
またSPECTとは放射線検査薬を注射し、薬の体内動向によって脳の血流量を確認する検査です。VSRADではMRI画像を統計的に解析します。
脳血管性認知症やレビー小体型認知症など、画像検査は診断や鑑別の一助となることがあります。