場所の見当識とは、現在地や目的地の方角、道順などに見当をつける能力のことです。場所の見当識を失っていくと、徘徊などのリスクにつながります。例えば、帰る場所までの道がわからなくなって行方不明になったり、通い慣れているはずの目的地に行けなくなったりする可能性があるでしょう。
徘徊行動の症状が出現した場合、命にかかわる危険がないとも限りません。そのため、常に連絡先や名前がわかるものを持ち歩くなどの対策を講じることが大切です。また、家族に見当識障害の症状が出現した際は、可能な限り目を離さないように注意しましょう。
認知症の記憶を忘れる順番に規則性があるのか、気になる方もいるでしょう。ここでは、記憶を忘れる順番を、記憶障害と見当識障害に分けて解説します。
記憶障害の場合は、近い記憶から忘れていく傾向にあるといわれています。そのため、即時記憶や近時記憶に該当するものは、比較的早く忘れる可能性が高いでしょう。
手続き記憶や意味記憶など、体験した記憶やインパクトのある記憶は残りやすいと考えられます。ただし、ひとくちに認知症といっても、症状や進行度合いは人によって異なります。同様に、記憶障害によって忘れる順番にも個人差があるため、症状をしっかり確認することが大切です。
見当識が障害された場合、時間、場所、人物の順番で忘れる傾向にあります。具体的には、「今は何時なのか」「ここはどこなのか」「目の前の人物は誰なのか」といった順番で症状が出現するでしょう。ただし、記憶障害と同様、見当識障害の忘れる順番にも個人差があります。
見当識が正常であれば、時間や場所などから総合的に物事を判断できます。しかし、見当識障害が発生することで記憶障害との負の連鎖が生じ、さまざまな周辺症状を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
認知症の進行を抑えるためには、何が原因となって進行してしまうのかを理解しておくことが大切です。原因を把握したうえで、自身で行なえる対策を実践していきましょう。
認知症が進行してしまう原因としては、以下のようなものが挙げられます。
・ ストレス過多
・ 脳への刺激が少なくなる
・ 強い指摘を受けて落ち込む
ストレスが溜まることで脳への血流が減少し、神経細胞に悪影響をおよぼす可能性があります。ストレスを溜め込まないよう、適度に発散させていくことが重要です。
また、家事を行なう機会が減少するなど、脳への刺激が減少することも、認知症の進行を早める原因となる可能性があります。自身で脳を刺激し、考えて判断する機会を減らさないように注意しましょう。
症状が進行するなかで何かミスをすると、周囲に行動を制限されたり、強く指摘されたりすることがあります。それが原因で当人が委縮してしまい、自発的な行動をためらうようになってしまうかもしれません。このような状況も症状を進行させる原因になりうるため、周囲の理解を得られる環境を整えることが理想的です。
認知症の進行を抑える方法としては、以下のようなことが挙げられます。
・適度な運動
・バランスの取れた食生活
・クイズやトランプなどのゲーム
・薬の服用
適度な運動やバランスの取れた食生活は、脳への血流を促進する効果が期待できます。クイズやトランプなどの頭を使うゲームをしたり、周囲とコミュニケーションを取ったりすることも脳の活性化につながります。
また、医師の診断を受けて早い段階で薬を服用すれば、症状の進行を緩やかにできるでしょう。認知症は早期の対応によって進行を抑えることが可能なため、早めに受診することが大切です。