認知症について知る

診断と予防

診断と治療について

不穏が強い、受診拒否があるなど状況によっては、暫定的に臨床診断で診断することもありますが、本人及び本人をよく知る情報提供者から得られる客観的状況や症状と画像検査、認知機能検査などを組み合わせて診断していきます。他の疾患と同様に、認知症についても、早期受診、早期診断、早期治療はとても大切です。早期ほど薬で進行を遅らせることも可能です。しかし、認知症の診断は初期ほど難しいため、専門の医療機関を受診するのが望ましいです。また、症状の変化や進行を確認するため、定期的な受診に意味があります。
認知症の治療薬は、現在どれも認知症の進行抑制効果にとどまりますが、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、メマンチンの4種類が存在します。
早期受診のメリットは、①治療可能な認知症の可能性がある ②薬やリハビリなどにより早期から進行を遅らせる介入ができる ③自分の理解や判断力が十分にあるうちに将来のことや自分らしい選択が考えられる(進行後に介護をしてもらう場所や相手を自分で選択したり、その相手との関係を築き、自分がどうしてもらいたいかという意思を伝える時間が持てるなど) ④家族や周囲が認知症に対して理解を深める十分な時間を確保できるなどがあります。

予防

高血圧、脂質異常、糖尿病などの生活習慣病の改善は認知症予防につながります。また、バランスの良い食事を心がけましょう。塩分は控えめに、飲酒はほどほどに。炭水化物を主とする高カロリー食、低たんぱく食、低脂肪食は認知症のリスクを高めます。魚や肉、野菜もバランスよく摂り、ゆっくりよく噛み、腹八分目としましょう。ウォーキングなどの適度な有酸素運動もおすすめです。喫煙も認知症のリスクが上がります。質の良い睡眠をとり、心身を疲労やストレスから回復させましょう。生きがいや人とのお付き合いは大切。家族のようにスムーズな意思疎通がいかない人との交流は脳への良い刺激になります。余暇活動も、楽しめること、夢中になれること、少しだけチャレンジすることなどをいくつか取り入れるのがおすすめです。

もしものときのために

知らないことや予測の立たないことに人は不安を感じます。まずは知識を集めること、そして起こりうることを想定して対策を練ることが重要です。
症状進行の予測が大まかに立つと、症状出現に先立って各種の対策や工夫ができます。例えば、勤めや仕事、要職についている場合はその引き時の検討、危険を回避するため自動車運転や移動手段の再検討、転倒防止や物品紛失予防、幻覚妄想予防に屋内整理や生活環境のシンプル化、処方薬や通院先の整理、目や耳の感覚器の機能維持、鮮度の高い食事が得られる体制作り、杖や手すり、転動ベッドなどの福祉器具の必要時期の検討、日中の活動や運動、生きがいの維持検討、資産の整理、意思の残し方の検討などがあります。
もしものときのために、早めに自分の意思を家族に伝えておくことは大切です。
将来認知症で判断能力が低下したときに備えて、あらかじめ後見人を決めておく任意後見制度を利用するのも一つの方法です。この契約は、公証人が作成した公正証書という文書を家庭裁判所に申し立て、家庭裁判所が決定して初めて効力をもちます。


さちはなクリニック
副院長 岡 瑞紀

琉球大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部精神神経科学教室にて研修。国家公務員共済組合連合会立川病院、桜ケ丘記念病院勤務後、慶應義塾大学病院メモリークリニック外来、一般内科医院での認知症診療、各種老人入居施設への訪問診療、保健所の専門医相談、地域研究、家族会など各種講演会での啓発活動を通して、様々なステージや状況下の認知症診療を経験。慶應義塾大学大学院医学研究科にて学位取得。2015年より、さちはなクリニック副院長として、もの忘れ、認知症の診療を担当。
免許・資格:医師/精神保健指定医/精神科専門医/日本老年精神医学会認定専門医/医学博士
所属学会:日本精神神経学会/日本老年精神医学会

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