介護について知る

介護認定調査とは?調査項目・準備・当日のポイント

家族の介護が必要になったり、自分の老後について調べたりしていくと、「介護認定調査」について耳にすることがあると思います。

介護認定調査とは、対象者の要介護度を判断するために、市区町村の認定調査員が実施する聞き取り調査のことです。認定調査員が自宅などを訪問し、対象者の身体機能や生活の状況、認知機能などを幅広く調べます。

この記事では、介護認定調査の概要やおもな調査項目を解説するとともに、介護認定調査前に準備すべきことや、調査当日のポイントも紹介します。

介護認定調査について詳しく知りたい方はもちろん、すでに介護認定調査を受けることが決まっている方も、ぜひ参考にしてください。


介護認定調査とは?

介護認定調査とは、市区町村に要介護認定(要支援認定を含む)を申請した際、後日実施される聞き取り調査のことです。市区町村や委託先の認定調査員が、要介護認定の対象者本人や家族に聞き取りを行ない、要介護度の判定に用いる情報を収集します。

訪問による調査後は、コンピュータでの一次判定、介護認定審査会の二次判定によって、次のいずれかの要介護度が決まります。

• 非該当
• 要支援1・2(日常生活において、多少の支援が必要な状態を指す)
• 要介護1・2・3・4・5(日常生活全般において、介護が必要な状態を指す)

なお、要介護度の判定には、主治医の意見書の内容も考慮されることを覚えておきましょう。

介護認定調査の基本調査項目

介護認定調査では、「概況調査」と「基本調査」が行なわれます。概況調査では、現在利用中の介護サービスや家族の状況、居住環境、日常的に使用する機器などを確認します。

一方の基本調査は、全国共通で定められた項目を一つずつ確認するのが特徴です。具体的には、次のような項目を調査します。
分類 調査項目の内容例
身体機能・起居動作 • 麻痺があるか
• 関節が動く範囲はどれくらいか
• 寝返り・起き上がりができるか
• 座位・立位(片足/両足)を保てるか
• 立ち上がり・歩行ができるか
• 体を洗えるか
• 視力・聴力はどれくらいか
生活機能 • 移動・移乗できるか
• 食べ物を飲み込めるか
• 排せつできるか
• 歯磨き・洗顔・整髪ができるか
• 衣類の着脱ができるか
• 外出の頻度はどれくらいか
認知機能 • 意思の伝達ができるか
• 生年月日・年齢・名前を答えられるか
• 直前に何をしていたか思い出せるか
• 今の季節を理解しているか
• 今いる場所を理解しているか
• 徘徊があるか
精神・行動障害 • 被害妄想・作り話をするか
• 感情が不安定になるか
• 昼夜が逆転しているか
• しつこく同じ話をするか
• 大声を出すか
• 介護に抵抗するか
• ひどい物忘れがあるか
• 独り言・独り笑いをするか
• 自分勝手な行動があるか
社会生活への適応 • 薬を内服できるか
• 金銭管理ができるか
• 意思決定できるか
• 集団行動ができるか
• 買い物ができるか
• 簡単な調理ができるか
その他 • 過去14日間に受けた医療について
(点滴の管理・中心静脈栄養・透析・モニター測定など)
上記のとおり、調査項目は大きく6つに分けられ、細かく見ていくと全部で74項目です。安全を考慮したうえで、座る・立つ・歩くなど、実際の動作確認を行なうこともあります。
基本調査では把握できない状況や判断に迷った事象があれば「特記事項」に記載し、より正確に対象者を審査できるようにします。

介護認定調査に向けた3つの準備

ここでは、介護認定調査当日までに準備すべきことを解説します。

家族が同席できる日程を調整する

要介護認定の対象者本人が「できる/できない」と思っていることと、家族から見て「できる/できない」と判断されることには差があるかもしれません。特に、認知機能が低下傾向にある方は、注意が必要です。

適切な認定を受けるためには、本人が問題なく会話できる状態でも、家族が同席して客観的な状態を伝えることが大切です。介護認定調査を受けることになったら、家族が同席できる都合の良い日程を決めましょう。

認定調査票に目を通す

基本調査の調査項目は、前章「介護認定調査の基本調査項目」で例示したとおりです。

一方、「概況調査では具体的にどのようなことを聞かれるのか」と不安に感じる方もいるでしょう。概況調査で認定調査員が用いる「認定調査票(概況調査)」は、以下のページで確認可能です。

認定調査票(概況調査)

あらかじめ認定調査票に目を通しておくと、事前に情報収集すべきこと・考えを整理すべきことがわかりやすいでしょう。調査当日にスムーズかつ漏れなく回答を伝えられれば、要介護認定の正確な判定につながります。

普段の介護内容をまとめる

介護認定調査の所要時間は、長くても1時間程度であり、伝えたいことを伝えきれなかったり、伝えるのを忘れてしまったりする可能性があります。また、要介護認定の対象者の症状に波がある場合、介護認定調査当日にいつものような症状が出ないかもしれません。

そのため、通常はどのような症状があるのか、食事や入浴の際にどのような介護が発生しているのかなど、介護者の目線で普段の様子をメモにまとめておくとよいでしょう。

介護認定調査当日のポイント

介護認定調査当日、要介護認定の対象者本人や家族は、次の点に気を付けましょう。

質問に正直に・正確に答える

例えば、「介護サービスをできるだけ多く利用したい」という気持ちが先走り、介護状況などを実際よりも誇張して答えたくなる方もいるかもしれません。

しかし、認定調査員からの質問に対して誇張または控えめに回答すると、適切な認定を受けられないだけでなく、矛盾が生じて再調査となってしまうこともあります。また、誤った認定に基づき過度な介護サービスを受けることになれば、かえって要介護度が進行しやすくなるリスクもあるでしょう。

したがって、質問には正直に・正確に答えることを心がけてください。

困っていることは遠慮なく伝える

定められた質問事項とは別に、本人や家族の困りごとがあれば、遠慮なく伝えて問題ありません。それらは特記事項として、要介護度を審査する際の判断材料となります。
本人の前で伝えにくい場合は、メモにまとめて認定調査員に渡すのもおすすめです。

認定の有効期間に注意!

介護認定調査による要介護度の認定結果には、次のとおり有効期間があります。

• 初めての認定の場合:原則として6カ月(3~12カ月の範囲内で設定されるケースもある)
• 更新の場合:原則として12カ月(要介護、要支援状態区分が更新の前後で同じ場合3~48カ月、異なる場合3~36カ月の範囲内で設定されるケースもある)

有効期間満了後も介護サービスを継続して利用したい場合は、更新認定の申請が必要です。市区町村から更新認定申請の通知が届くため、有効期間満了の60日前から満了日までに手続きを行ないましょう。

なお、要介護認定申請については以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。

「認知症の家族の介護認定はどうすればいい?申請方法と利用できる介護サービス」

正確な要介護度判定は適切な調査から

介護認定調査は、要介護認定を受けるうえで欠かせない調査です。市区町村や委託先の認定調査員が自宅などを訪問し、聞き取りによる概況調査と基本調査を行ないます。認定調査員から質問される大まかな内容は、本記事や認定調査票を参考にあらかじめ把握するとよいでしょう。

介護認定調査には家族も同席したうえで、質問に正直に・正確に答えることや、困っていることは遠慮なく伝えることが大切です。適切な認定を受け、本人・家族がより良い生活を送れるようにしましょう。


 

朝日生命では、認知症などの介護の経済的負担に備えられる介護保険を提供しています。
将来に備えて保険加入をご検討中の場合は、ぜひご活用ください。

赤上 直紀

元銀行員。住宅ローンを通じて、多くのお客様のライフプランニングに携わる。住宅ローンは人生で一番の買い物と言われているため、慎重に契約すべきだと考える。現在は、編集者として金融機関を中心に、ウェブコンテンツの編集・執筆業務を行う。

資格:1級ファイナンシャル・プランニング技能士

公開日:2023年7月24日

介護について知る

介護を予防する

介護について考える

公的制度・支援サービス

介護の費用

介護が始まったら

認知症について知る

認知症とは

認知症の予防

もの忘れ・認知症の専門家の
特別コンテンツ

生活習慣病について知る

生活習慣病とは

生活習慣病の予防

年代別老後の備え方

年代別アドバイス