交通費や通信費、介護サービス費など、遠距離介護にかかる費用をあらかじめ調べておきましょう。離れた場所に住んでいる場合は、特に交通費の負担が大きくなります。
「親の貯金額や生命保険の種類を把握する」の項目でもお伝えしたとおり、基本的に介護費用は、親の年金や貯金でまかなわれます。
しかし、本人以外が負担しなければならない可能性もゼロではありません。そのため、「万が一のときは誰がどのぐらい負担するか」を家族間で話し合っておくことが重要です。
遠距離介護が成り立つのは、あくまで親本人が1人で生活できるほど自立している場合に限ります。容態が悪化した場合や、認知症が進行した場合などには、介護サービスの利用、もしくは介護施設への入所・入居を検討する必要があります。
そのときに備えて、今のうちから介護サービスや施設に関する情報を集めておきましょう。特に介護施設は、それぞれ入所や入居の条件があり、かかる費用やサービス内容も異なります。
なお、「まだ介護は必要ないけれど、介護に関することを相談したい」という方は、地域包括支援センターを利用するのも一つの方法です。介護サービスの利用方法や遠距離介護での心配事など、さまざまな相談に乗ってもらえます。
兄弟姉妹がいる場合は、介護の役割分担についてよく話し合っておきましょう。遠距離介護は精神的・肉体的負担が大きいため、負担が1人に集中しないよう協力する姿勢で取り組むことが重要です。
話し合いの際は、一人ひとりの生活状況や能力からできること・できないことを明確にし、それぞれの役割を決めておきます。例えば、「なかなか帰省できないから資金援助をする」「お金の確保が難しいから生活のサポートをする」などです。
このときに、ケアマネジャーや介護サービス事業者などと連絡を取り合う代表者を決めておくことも大切です。
親の自宅に、ICT機器を設置するのも一つの方法です。
ICT機器とは、冷蔵庫や照明といった家電に通信機器を設置し、一定時間使用が確認できないと家族に通知が送られてくるというものです。監視カメラとは違って、緊急時のみ通知されるため、プライバシーに配慮しつつ親を見守れます。
そのほか、トラブルが起こった際にボタンを押すと、警備会社が駆け付けてくれる「緊急通報システム」を利用するのもよいでしょう。自治体によっては無料で設置してもらえる場合もあります。
また、「親の自宅がケガをしやすい構造になっている」「親自身が暮らしにくさを感じている」といった場合は、住宅のリフォームが必要になるかもしれません。
要介護認定を受けている場合は、高齢者1人につき、20万円まで助成金が支給されます。詳しく知りたい方は、ケアマネジャーへ相談してみましょう。