在宅介護の1日の流れは?
スケジュール例や負担を軽減する方法


近年、仕事や家事との両立だけでなく、親や親族の介護や育児を同時に担う「ダブルケアラー」が増加傾向にあると考えられ、社会問題化しつつあります。ダブルケアでなくとも在宅介護の負担は大きく、1日のほとんどが介護で終わってしまうと感じている介護者も一定数います。これから在宅介護を始める方のなかには「自分にできるだろうか」「生活はどう変わるのだろう」といった不安を感じている方もいるでしょう。

在宅介護の1日の流れは、要介護者の要介護度や家族の働き方、利用する介護サービスによってさまざまです。しかし、あらかじめいくつかのケースを知っておくことで、具体的なイメージを持てるようになり、今後の対策が立てやすくなります。

この記事では、要介護度別に在宅介護の1日のスケジュール例を紹介するとともに、在宅介護の負担を軽減する方法について解説します。無理なく続けられる環境づくりに向けて、ぜひ参考にしてください。

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在宅介護の1日はケース・バイ・ケース

 
在宅介護の1日には、基準となる決まった流れや形はありません。要介護者の状態や、介護者の居住地・働き方・家族構成・協力者の有無、さらに介護サービスをどの程度利用しているかなど、様々な条件によって、介護にかかる時間や内容は大きく変わります。

一般的に、要介護度が重くなるほど1日に必要な介護時間は長くなる傾向があり、介護する側の負担は増加します。

多くの在宅介護において共通して発生する介護内容は以下のとおりです。
  • 日常生活の介護:食事介助、排泄介助、入浴介助、口腔ケア、着替えの補助、水分補給など
  • 健康管理:服薬管理、体温や血圧測定、体調変化の観察
  • 体位交換:寝たきりの場合、床ずれ防止のため定期的に体勢を変える
  • 医療的ケア:痰の吸引、インスリン注射、経管栄養など、医師の指示に基づく処置
これらの直接的な介護に加えて、ケアマネジャーとの連携、介護サービス事業者との連絡や手配、介護用品や日用品の購入および管理、病院への付き添いなど、周辺業務も多岐にわたります。

こうした時間的にも体力的にも大きな負荷のかかる業務のすべてを家庭で担うためには、無理なく続けるための体制づくりが欠かせません。

在宅介護の1日の流れ

 
在宅介護の1日は家庭の状況によって大きく異なり、1つのモデルケースにまとめることはできません。しかし、さまざまなケースを知ることは、実際の介護生活を想定するためや、状況改善のヒントを得るためなど、きっと役に立つことでしょう。

ここでは、要介護者の要介護度・介護者の働き方で異なる事例を紹介します。どのように1日のスケジュールが変わるのかを一例としてご参照ください。

要介護1:介護者がフルタイムと介護を両立するケース

要介護1の場合、生活動作の多くは自立していても、食事や服薬、移動などの部分的な支援が必要です。以下の表では、介護者がフルタイムと介護を両立した場合の1日のスケジュール例をまとめました。

時間帯

介護者の行動

要介護者の行動

・利用サービス

朝(6:009:00

朝食の準備、朝食

要介護者の服薬

デイサービスへの送り出し

起床

朝食、服薬

身支度

デイサービスへ出発

日中(9:0017:00

仕事

デイサービスもしくはネットカメラでの見守り

デイサービスで入浴・昼食・体操・レクリエーションなど

夕方(17:0019:00

買い物・帰宅

要介護者の出迎え、様子の聞き取り

夕食準備・食事、要介護者の服薬

明日の準備

デイサービスから帰宅

夕食

 

夜(19:00〜)

自身・家族の食事

家事

口腔ケア

就寝準備

就寝


要介護2:介護者がパートと介護を両立するケース

要介護2の状態では、日常生活の動作に部分的な介助が必要であり、排泄や移動、口腔ケアといった介助が増える傾向があります。パート勤務と在宅介護を両立する場合は、在宅時間帯に行う介助量が多くなるため、時間の使い方とサービス活用の効率化が重要です。

以下は、代表的な1日のスケジュール例をまとめました。

時間帯

介護者の行動

要介護者の行動

・利用サービス

朝(6:009:00

自身・家族の朝食準備、朝食

要介護者の口腔ケアやリハビリパンツ着用・トイレの誘導・出勤など

起床

朝食

身支度

デイサービスへ出発

日中(9:0017:00

仕事

デイサービスもしくはネットカメラでの見守り

デイサービスで入浴・機能訓練・レクリエーションなど

夕方(17:0019:00

買い物・帰宅

夕食の準備・介助

口腔ケアやトイレなどの介助

デイサービスから帰宅

夕食

口腔ケア

夜(19:0022:00

自身・家族の食事

家事

就寝

就寝準備

就寝

夜間(22:00〜)

トイレの誘導・介助など

必要時介助


要介護4:介護者が専業で介護を行うケース

要介護4では、日常生活のほとんどの動作に全面的な介助が必要となるため、多くの介護者は1日の大半を介護に費やす生活となります。食事介助や排泄のサポートだけでなく、体位交換・経管栄養・痰の吸引などの医療的ケアが加わり、訪問看護や訪問介護などで有資格者によるこまめなサポートも必要です。

以下は、代表的な1日の流れの例をまとめました。

時間帯

介護者の行動

要介護者の行動

・利用サービス

朝(6:009:00

自身の準備

要介護者の起床介助・バイタルチェック、服薬など

起床

体調確認

服薬

午前中(9:0012:00

体位交換・清拭などの合間に家事

訪問看護、または訪問介護の受け入れなど

訪問看護、または訪問介護(該当日)

午後(12:0018:00

要介護者の服薬、昼寝の見守り、おむつ・体位交換や会話など

自身の昼食や買い物・休憩など

訪問リハビリ(該当日)

服薬

休息

夕方(18:0019:00

要介護者の服薬

自身・家族の夕食準備など

服薬

夜(19:0022:00

自身・家族の夕食

要介護者の口腔ケア、就寝準備など

口腔ケア

就寝準備

就寝

夜間(22:00〜)

数時間おきの体位交換など

 


在宅介護に限界を感じてしまう3つの要因

 
在宅介護は要介護者にとって、住み慣れた自宅で過ごせる・家族とともに過ごせるという大きなメリットがあります。一方で、介護を担う方にとっては、長時間にわたる身体的・精神的負担が生じる可能性がある点に注意が必要です。特に、仕事や家事、育児との両立を図りながら介護を続ける場合、負担の大きさは深刻です。

ここでは、在宅介護を続けるなかで介護者が限界を感じてしまうおもな原因について解説します。以下の内容に思い当たる点がある場合は、後述の負担を軽減する方法を参考に、日々の負担をいかに軽くするか考えてみてください。

1日の介護時間が長く休息が取れない

要介護者の要介護度によっては、食事、排泄、移動、服薬、見守りなど、1日中、付きっきりで介護することが必要なケースがあります。その場合、介護者は、自分の時間を確保することや、休息を取ることが困難になり、介護の限界を感じやすくなります。

また、介護者が、仕事や趣味、友人との付き合いを諦めざるを得ない状況に陥った場合も、心のゆとりが失われることで「もう在宅介護を続けるのは難しい」と感じてしまう可能性が高まります。

日常生活の介護や夜間のケアで体力の消耗が大きい

在宅介護では、起き上がりや立ち上がりの補助、ベッドから車いすへの移乗、歩行の補助、入浴介助など、体力を必要とする場面が少なくありません。

これらの介助は、生活のなかで繰り返し行う必要があり、場合によっては夜間の対応も必要になります。夜間の介護は特に体への負荷が大きく、介護者に慢性的な疲労や睡眠不足が生じる恐れがあります。

また、無理な姿勢での介助を行うことによって、腰痛や肩こり、手首の痛みなど体の不調につながる場合があります。

こうした体の不調も「もう続けられない」と感じてしまう大きな原因となります。

介護がいつまで続くかわからないと不安を感じる

在宅介護で限界を感じる理由の一つとして、終わりの見えない不安があります。将来の見通しが立てられない状況は、大きなストレスにつながるでしょう。加えて、生活の多くを介護に費やすことによる束縛感、社会から孤立しているような感覚に陥ることでも、さらなる精神的負担が生じます。

また、介護に関する知識不足について、自己嫌悪や罪悪感を抱えるケースも珍しくありません。そうしたケースでは、心の負担がより大きく、精神的に追い込まれてしまう可能性があり注意が必要です。

以上のような精神状況に、介護用品費や医療費、サービス利用料などの経済的負担による不安が重なることも、在宅介護の継続に限界を感じる要因になり得ます。

在宅介護の負担を軽減する5つの方法

在宅介護では心身の負担が大きく、限界を感じてしまう人が少なくありません。先の見えない状況だからこそ、一人で抱え込まず、負担をやわらげる効果的な方法を知り、活用することがとても大切です。

ここからは、在宅介護を続けるうえで役に立つ、介護者の負担を軽減する具体的な方法を解説します。

ケアマネジャーや支援センターに相談する

自治体には介護に関する相談窓口があり、ケアマネジャーなどの専門職による介護サービスの調整や利用方法の提案を受けられる体制が整っています。また、介護・医療・福祉の観点から総合的な助言や情報提供を行う地域包括支援センターも、介護中の不安や悩みを整理する手助けとなる存在です。

こうした相談先を確保しておくことは、とても大切です。介護者の心の負担を軽減し、限界を感じる前に支援を受けやすくする環境づくりにつながります。早い段階で地域包括支援センターなどを訪れ、相談できる状況を整えておくと安心です。

介護サービスや自治体の支援を活用する

在宅介護の負担を軽減するには、訪問介護やデイサービスなどの介護サービスを積極的に利用することが重要です。自治体独自の支援制度も、介護者が自分の時間を確保することに役立ち、仕事も継続しやすい環境を構築できます。

また、介護の専門職であれば、要介護者を安心して任せられ、さらに、要介護者にとっても家族以外の人との交流ができる点で良い刺激となります。

介護サービスを利用することに罪悪感を抱く方もいますが、まったくその必要はありません。介護者が休息を取り、心身の余裕を保つことは、要介護者にとっても大きなメリットとなります。在宅介護を長く続けるためにも不可欠といえるでしょう。

家族・親族と協力する

在宅介護を一人で担うのは容易ではありません。家族や親族と協力し、できるだけ役割を分担することが必要です。

しかし、それぞれの仕事や生活、居住地はさまざまです。現在の状況を踏まえたうえで、何ができるのか、何が難しいのかを丁寧に整理しながら、役割を決めるとよいでしょう。

直接介護にかかわれない家族であっても、日頃から状況を共有しておくと、いざという際の心の支えとなります。また、話す相手は家族や親族だけに限りません。介護経験のある友人、家族会、オンラインコミュニティーなどの存在も大きな助けとなるでしょう。

職場に状況を伝えておく

仕事と介護を両立している場合、職場の理解も不可欠です。

現在の状況を共有し、必要になった場合の業務量の調整や勤務時間の見直しを早めに相談しておくと、急な体調変化やトラブル発生時にも協力を得やすくなります。周囲のサポートを受けやすい環境を整えることは、大きな負担軽減になります。

状況によっては、介護休暇や介護休業といった制度の利用も検討するとよいでしょう。

頑張りすぎるのをやめる

責任感が強い人ほど、介護に全力を注いでしまい、無理を抱え込みやすい傾向にあります。在宅介護の負担を軽減するためにも、完璧を目指すのではなく、上手に力を抜く意識が大切です。

限界に達する前に休息を取ったり、短い時間でも気分転換したりすることで、気持ちに余裕が生まれ、介護を続けやすくなります。

周囲に頼る姿勢を持ち、自身の心と体を守ることを忘れないようにしましょう。

無理なく在宅介護をするために、介護サービスの活用や介護の相談ができる環境づくりをしよう


在宅介護は、仕事や家事と並行して行う必要があり、心身ともに負担が大きいという現実があります。要介護者や家庭の状況によって望まれる介護は大きく異なるため、自分の家庭に合った介護体制の確立が大切です。

在宅介護に限界を感じてしまう背景には、長時間の介護による休養不足や体の不調、終わりの見えない不安など、さまざまな要因が挙げられます。

在宅介護を無理なく続けるには、一人で完璧にこなすのではなく、介護サービスや自治体の支援を活用し、家族や職場の協力も得るなど、負担をいかに分散させるかといった工夫が欠かせません。小さなことでも相談できる環境を早期のうちに整え、できる限り無理の少ない介護を目指しましょう。

 
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小玉 有紀[介護福祉士]

1986年生まれ。福祉系専門学校にて介護福祉士・介護事務士を取得。介護業務を経験。その後、生活相談員・ケアマネジャーとしても勤務。全国展開する有料老人ホームにてアセスメントツールの開発事業に携わる。また系列施設で社員研修の講師となる。現在も、ケアマネジャーとして勤務するかたわら、ライターとして活動中。

資格:介護福祉士・介護事務士・介護支援専門員

公開日:2026年1月15日

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