夫の介護に疲れたと感じたら
原因や限界のサイン、負担を軽くするための対処法


夫の介護を続けるなかで、「疲れた」「もう無理かも」と感じる場面は少なくありません。

毎日の介助や見守りが続くことで疲れが積み重なり、気付かないうちに心身の余裕を失ってしまいがちです。

本記事では、「夫の介護に疲れた」と感じる原因や限界のサイン、無理をしないための対処法を中心にお伝えします。

「夫の介護に疲れた」と感じるのは珍しいことではない

 
夫の介護に疲れを感じるのは、決して珍しいことではありません。まずは、介護を取り巻く現状について見ていきましょう。

配偶者が担うことが多い介護の現実

介護は家族が担うケースが多く、特に配偶者(女性)が中心となる場面は少なくありません。

内閣府「令和7年版高齢社会白書(全体版)」によると、おもな介護者は「同居している人」が45.9%で、そのうち約7割が女性です。続柄別では「配偶者」が22.9%と最も多くなっています。

介護に要する時間を見ると「ほとんど終日介護している」という方が一定数おり、日常的に介護に多くの時間を取られている実態がうかがえます。

また、介護する側・される側の双方が高齢の「老老介護」も増えており、体力的な負担も大きくなりやすい状況です。

介護疲れに罪悪感を持つ必要はない

「夫だから自分が介護しなければ」と一人で背負い込み、疲れを感じる自分を責めてしまう方もいるかもしれません。

「少し休みたい」「もう限界かもしれない」と感じるのは、自然な反応です。自分を責めることはありません。

無理を続けると、心身の不調につながる可能性もあるため、まずは自分が疲れていることを認めてあげるのが大切です。

夫の介護に疲れを感じる原因

 
夫の介護に疲れを感じる背景には、さまざまな要因があります。ここでは、おもな原因を紹介します。

身体的に負担がかかる

介護では、ベッドから車いすへの移動や体位変換、入浴や排泄の介助など、体力を使う場面が少なくありません。

特に夫の介護では、自分より体格の大きい相手を支えることも多く、腰やひざに負担が蓄積しやすいでしょう。年齢を重ねて体力が低下した状態で介助を続けると、介助する側が転倒したり、ケガをしたりするリスクも高まります。

また、夜間のトイレ介助や見守りが必要になると、まとまった十分な睡眠が取れず、睡眠不足や慢性的な疲労につながりやすくなります。

精神的ストレスがある

配偶者という近い関係だからこそ、精神的な疲れを感じやすい側面もあります。

何気ない言葉に傷ついたり、夫の「介護してもらって当たり前」という態度につらさを感じたりすることもあるかもしれません。

また、夫が認知症になるとコミュニケーションが難しくなり、思うように介助が進まない場面が増え、強いストレスを感じやすくなります。

介護は終わりを見通しにくいため、「この生活がいつまで続くのか」「状態が悪化したらどうなるのか」といった将来への不安も重なり、精神的な疲れが大きくなりがちです。

介護と仕事・家事に追われて余裕がなくなる

仕事や家事に加えて介護が必要になると、生活のバランスが崩れることもあります。

時間に追われ、思うように働けなくなるケースも少なくありません。こうした状況が続くと、心にも時間にも余裕がなくなり、疲れやストレスが解消されにくくなります。

社会的に孤立する

「夫の介護は自分がやるべき」と考え、一人で抱え込んでしまう方も少なくありません。

介護に多くの時間を取られることで外出の機会が減り、友人と会う時間も取りづらくなります。また、場合によっては仕事を辞めざるを得なくなり、社会との接点が減ったり、孤立感が深まったりすることもあるでしょう。

介護の経済的不安がある

介護には継続的な費用がかかる点も見逃せません。

介護に必要な費用の月額平均は約9万円※1、総額平均は約542万円※2となっています。

※1:(公財)生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」より当社試算

※2:(公財)生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査

さらに、認知症の介護では専門的なケアが必要になるため、費用がかさむ傾向があります。

加えて、介護のために仕事を辞めたり、勤務時間を減らしたりすると収入が減少し、家計に影響が出ます。こうした経済的な不安も、介護疲れにつながる要因の一つです。

夫の介護に疲れたときの対処法

 
夫の介護に疲れを感じたときは、一人で抱え込まず、環境やかかわり方を見直すことが大切です。負担を軽減するための方法を知り、無理のない範囲で取り入れていきましょう。

介護サービスを利用する

まだ介護サービスを利用していない場合は、まず申請を検討してみましょう。要介護度に応じて、訪問介護や訪問入浴などのサービスを少ない自己負担で利用できるため、日々の負担軽減につながります。

申請方法がわからない場合は、自治体から委託を受けた地域包括支援センターに相談すると、手続きの流れや利用できるサービスの案内を受けられます。

すでに利用している場合でも、状況に応じてプランを見直すことが大切です。介護を負担に感じるときは、ケアマネジャーに相談し、ケアプランの調整を検討してみましょう。

公的介護保険で受けられる介護サービスの詳細は、以下の記事で解説しています。
日常生活の自立を支援するサービス

休息の時間をつくる

介護を続けるためには、意識的に休息を取ることも重要です。自分の時間を持つことで心身のリフレッシュができ、介護にも向き合いやすくなります。

具体的には、レスパイトケアを目的としたデイサービスやショートステイの利用が挙げられます。一定時間介護から離れることができ、身体や気持ちを整える時間を確保しやすくなります。

また、民間サービスで通院の付き添いなどをお願いし、自分の時間を確保する方法もあります。

介護サービスを利用し休息をとることで介護する側に余裕が生まれると、結果的に介護を受ける夫も安心して過ごせるでしょう。
レスパイトケアの効果や注意点は以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
レスパイトケアとはどのようなサービス?利用効果や注意点

自宅の環境を整える

妻が夫を介護する場合は、体格差による負担が大きくなりやすいため、無理なく介助できる環境づくりが重要です。

手すりの設置や介護用ベッドの導入など、住宅改修や福祉用具を活用することで身体的な負担を軽減できます。介護サービスを利用すれば、福祉用具のレンタルや購入に対する支援を受けられる場合もあります。

公的介護保険で購入・レンタルできる福祉用具や利用の流れは、以下の記事で解説しています。併せてご覧ください。
公的介護保険の福祉用具購入・レンタルとは?利用の流れや選び方のポイント

家族・親族で役割分担をする

家族や親族と話し合い、できる範囲で役割を分担するのも大切です。例えば、通院の付き添いや買い物、各種手続きなど、分担できることは少なくありません。

すべてを一人で抱え込まずに、周囲に頼ることも介護を続けていくためには大切です。無理のない体制を整えることで、心身の余裕を保ちやすくなります。

つらいときは施設入居も選択肢の一つ

限界を感じたまま夫の介護を続けていると、疲れやストレスがたまり、共倒れにつながる可能性もあります。

「施設に入れるのは申し訳ない」と罪悪感を抱く方もいるかもしれませんが、介護は愛情や責任感だけで続けられるものではありません。必要に応じて専門的な支援を取り入れながら、継続できる体制を整えることも大切です。

介護施設では、専門スタッフが交代でケアを行うため、安定した介護を受けられます。夜間の見守りや医療的なケアなど、自宅では難しいケアにも対応しやすくなります。無理をせず、施設入居も一つの選択肢として検討してみてください。

公的介護保険で利用できる施設サービスは、以下の記事で解説しています。
公的介護保険の施設サービスとは?種類や費用の目安

また、サ高住と有料老人ホームの違いは、以下の記事をご覧ください。
サ高住と有料老人ホームの違い 提供される介護サービスや入居条件を比較

介護をしているときの限界サインを見逃さないで

無理なく介護を続けるためには、自分の心身の変化に気付くことが大切です。限界サインを見逃すと、知らないうちに疲れやストレスがたまっていることがあります。

身体の限界サイン

夜間の見守りやトイレ介助への不安から眠れなくなり、慢性的な睡眠不足に陥ることがあります。また、長期間の介護で疲労感や倦怠感が抜けず、休んでも疲れが取れない状態が続く場合は、注意が必要です。

心の限界サイン

「夫の介護がつらい」「いなくなってほしい」と感じたり、イライラや無気力、涙が止まらなくなったりすることがあるかもしれません。こうした感情は、介護による負担が積み重なることで起こる、自然な心の反応です。

実際に、同居家族を介護している女性の約7割が悩みやストレスを抱えているとされています。その約8割が家族の病気や介護に関する内容であり、介護が大きな精神的負担となっている実態がうかがえます。

出典:e-Stat(政府統計の総合窓口)「令和4年 国民生活基礎調査

我慢し続けることのリスク

限界サインに気付かず無理を続けると、介護うつや共倒れにつながる恐れがあります。余裕がなくなることで、きつい言葉をかけてしまったり、十分なケアが行き届かなくなったりする可能性もあるでしょう。

さらに、負担が限界を超えると、虐待やネグレクト(介護放棄)につながるリスクも否定できません。

無理を重ねる前に、自分の状態に目を向け、早めに周囲や専門機関へ相談することが大切です。

夫の介護は妻の負担が大きくなりやすいからこそ、頼ることが重要


夫の介護に疲れを感じるのは、決して特別なことではありません。また、無理を続けると、心身の不調や共倒れにつながる恐れもあります。

介護サービスの活用や休息の確保、周囲への相談などを通じて、一人で抱え込まないことが大切です。自分自身の心や身体も大切にしながら、無理のない形で介護と向き合いましょう。

 
朝日生命では、認知症などの介護の経済的負担に備えられる介護保険を提供しています。
将来に備えて保険加入をご検討中の場合は、ぜひご活用ください。

小玉 有紀[介護福祉士]

1986年生まれ。福祉系専門学校にて介護福祉士・介護事務士を取得。介護業務を経験。その後、生活相談員・ケアマネジャーとしても勤務。全国展開する有料老人ホームにてアセスメントツールの開発事業に携わる。また系列施設で社員研修の講師となる。現在も、ケアマネジャーとして勤務するかたわら、ライターとして活動中。

資格:介護福祉士・介護事務士・介護支援専門員

公開日:2026年6月19日

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