介護疲れしやすい人には、以下のような特徴があるといわれています。特徴に当てはまる場合は、介護疲れを避けられるよう、より一層対策していきましょう。
介護疲れしやすい人の特徴
● 責任感が強い
● 完璧主義
● 我慢しすぎてしまう
● 身体が弱い
● 経済的に余裕がない
次の章では介護疲れを防ぐ方法を具体的に紹介します。
介護疲れを避けるには、適切なレスパイトケアを受けたり、より介護しやすい環境を整えたりすることが必要です。レスパイトケアとは、介護者が心身ともにリフレッシュできるよう支援することを指します。
ここでは、介護疲れを避ける方法を6つ紹介します。現在の介護環境に合った方法を取り入れてみてください。
国の介護保険制度によって、65歳以上の方や40歳から64歳の特定疾病のある方は、介護が必要と認められた場合に公的な介護サービスを受けられます。おもな公的介護サービスには、以下のようなものが挙げられます。
サービス名
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内容
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訪問介護
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ホームヘルパーが自宅を訪問し、要介護者の身体介護や生活支援を行なう。事業所によっては通院などを介助するサービスを提供している場合もある
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訪問入浴介護
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看護職員と介護職員が浴槽を持参して自宅を訪問し、入浴の介護を行なう
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デイサービス
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デイサービスセンターなどの通所介護施設に通うことで、日常生活支援や機能訓練などを日帰りで受けられる
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ショートステイ
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特別養護老人ホームなどに短期間入所することで、日常生活支援や機能訓練などを受けられる
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介護サービスを受けたい場合は、お住まいの市町村で要介護認定を受ける必要があります。まずは自治体の介護担当窓口で、要介護認定の申請を行ないましょう。
また、公的介護保険制度の対象外のサービスや行政サービスとして、企業や市区町村が要介護者・介護者を支援する仕組みもあります。介護が始まったら、利用できる制度がないか、自治体などに確認してみましょう。
● 公的介護保険制度の対象外のサービス
配食サービス、家事代行サービス、送迎サービス など
● 行政サービス
緊急通報サービス、理美容サービス、おむつサービス など
仕事をしながら介護を続ける方のために、介護休業制度があります。介護休業制度は、要介護状態にある対象家族を介護するために休業できる制度で、制度を利用すると、対象家族1人につき3回まで、通算93日まで休業できます。
また、介護休業期間中、一定の要件を満たす場合は給付金が支給されます。給付金額は休業開始時賃金月額の約67%で、給付を受けるにはハローワークへの申請手続きが必要です。
介護休業制度と似た制度に、介護休暇制度というものもあります。介護休暇制度も介護休業制度と同様に、要介護状態にある対象家族を介護する際に利用できる制度ですが、介護休業制度より取得できる休暇の日数が少なく、取得単位も1日または時間単位と短くなっています。
介護休業制度と介護休暇制度の違いをふまえながら、状況に合った制度を選択しましょう。
専門家のアドバイスを受け、介護技術を学ぶと介護負担が減る場合もあります。移動介助や排せつ介助などのコツを知っておくと、介護がスムーズにできるようになり、介護の身体的負担を軽減できるでしょう。症状への理解を深めると、要介護者への対処法がわかるようになることもあります。
介護のスキルは、自治体が介護者向けに開催している介護教室などで身に付けられます。参加できる教室がないか、お住まいの自治体に問い合わせてみてください。
悩みを相談すると、介護のストレスが減ったり、介護負担を軽減できる手段が見つかったりするかもしれません。
家族や知り合い、地域のケアマネジャー、地域包括支援センターの職員など、介護の話ができる相手を見つけ、ストレスがたまるまえに相談しましょう。全国には介護者同士が集まる会などもあります。同じ介護者同士だからこそ話せることもあるため、積極的に活用しましょう。
介護だけに集中していると、心身が疲労しやすくなります。自分の時間を作って介護から離れ、ストレスをためないような工夫が必要です。ストレスを発散させ、ふたたび介護に取り組めるよう心身の調子を整えましょう。
また、介護の状況を他人の状況と比較しない、一人で頑張りすぎない、気負いすぎずにできることをやるといった姿勢も大切です。介護サービスや周囲の人の力を借りながら、介護負担を抱え込まないよう努めましょう。
自宅で介護するのではなく、介護施設を利用するのも一つの方法です。
「家族だからこそ、できるだけ自宅で介護したい」と思っていても、介護者に負担がかかり続けると、介護者と要介護者の共倒れになりかねません。介護のプロがいる施設を利用すれば、要介護者は安心して介護を受けられ、介護者は介護から離れてリラックスして過ごせます。介護施設のメリットもふまえて、介護施設利用を検討してみてください。
おもな介護施設には以下のようなものがあります。
施設名
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概要
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特別養護老人ホーム
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要介護者の生活支援や機能訓練などを行なう施設。24時間介護の提供を目的としており、認知症の方も利用できる
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グループホーム
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認知症の方を対象に専門的なケアを行なう施設。介護スタッフとともに少人数の利用者が共同生活を送り、日常生活上の支援や機能訓練などを受けられる
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サービス付き高齢者向け住宅
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バリアフリー構造を持ち、介護や医療と連携して高齢者を支援するサービスを提供する施設。一般型と介護型に分かれており、ほかの介護施設と比べて生活の自由度が高いのが特徴
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有料老人ホーム
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介護、食事、家事、健康管理などの生活サポートを受けられる施設。介護付き、住宅型、健康型の3種類がある
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介護施設を利用するなら、介護の限界を迎えるまえに早めに情報収集しておくことが大切です。施設の種類やケア体制、費用、立地などをふまえて、最適な施設を選択しましょう。