「介護事件」の原因は?介護疲れを解消する3つの対策法


近年、おもに養護者の介護疲れが原因となる「介護事件」の発生が深刻化しています。国は高齢者福祉制度の充実化を目指していますが、いまだ問題の解決にはいたっていません。

介護をしている方や将来の介護に備えようとしている方は、「介護事件の原因はなに?」「介護疲れを解決する方法は?」といった疑問を持つこともあるでしょう。

介護事件を防ぐためには、養護者のストレス解消や相談先の確保、介護サービスの利用または見直しなどが効果的です。

この記事では、介護事件の概要や介護事件が発生する原因、そして介護疲れを解消する3つの対策法を解説します。

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「介護事件」とは?

まずは、養護者(高齢者の世話をしている家族、親族や同居人)が関与する介護事件について解説します。

虐待

高齢者虐待防止法では、「高齢者が他者からの不適切な行為や扱いによって権利利益を侵害される状態や生命、健康、生活が損なわれるような状態におかれること」を「高齢者虐待」と定義しています。

高齢者虐待の種類は、以下のとおりです。

種類

内容

心理的虐待

l  脅しや侮辱などの言葉や威圧的な態度、嫌がらせ、無視などによって心理的外傷を与える言動

身体的虐待

l  殴る、蹴る、やけどを負わせる行為など、身体にあざや痛みなどの外傷が生じる、または生じる恐れのある暴力行為

l  ベッドに縛り付ける、意図的に薬を過剰に服用させるなど、外部との接触を意図的、継続的に遮断する行為

性的虐待

l  要介護者との間で合意が形成されていない、あらゆる形態の性的な行為またはその強要

介護・世話の放棄・放任

l  結果的、意図的を問わず、介護を放棄・放任し、要介護者の身体状態・精神状態・生活環境を悪化させる行為

経済的虐待

l  要介護者の財産を不当に処分する、または不当に要介護者から財産上の利益を得る行為

殺人

養護者が要介護者を殺害する行為です。介護虐待がエスカレートすると、殺人にいたることがあります。

厚生労働省の発表によると、市町村が把握した親族を含む養護者による事例のうち、要介護者が65歳以上かつ、虐待等から死亡にいたったケースは、令和3年度で37件報告されています。

また、養護者と要介護者がともに死亡する無理心中や、介護や看病の疲れによる養護者の自殺などの問題も忘れてはなりません。

「介護事件」が発生する原因は?

次に、介護事件が発生する原因について見てみましょう。

介護疲れ

厚生労働省の発表によると、擁護者側の要因として最も多いのが「介護疲れ・介護ストレス8,615件(52.4%)」、要介護者側の要因として最も多いのが「認知症の症状9,038件(55.0%)」※です。

出典:厚生労働省 令和3年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果より、相談・通報件数 37,382 件(令和 2 年度に相談・通報があったもののうち、令和 3 年度中に事実確認を行ったものを含む)のうち、事実確認の結果、市町村が虐待を受けた又は受けたと思われたと判断した事例の件数16,426 件についての実績

※  複数回答を含む

具体的な介護の内容は要介護者の状態によって異なりますが、移動・着替え・食事・入浴などの介助が必要なことが多く、養護者には身体的ストレスがかかります。高齢者が高齢者を介護する「老老介護」の場合は、さらに負担がかかるでしょう。 養護者が介護に多くの時間を割かなければならない場合、1人で問題を抱え込んでしまい社会的に孤立して、精神的な孤独や不安を感じることもあります。 「今の介護はいつまで続くのか」といった先の見えない不安も、ストレスが増大する原因です。 また、配偶者や親の介護では、今までできていたことができなくなるなど、養護者が要介護者の変化を受け入れることができず、落胆・無力感・苛立ちを感じ、精神的なストレスにつながることもあります。

経済的困窮

「介護離職」とは、介護と仕事の両立が困難となり、養護者が仕事を辞めることです。介護離職で養護者の収入が断たれると、養護者が経済的に困窮することもあります。

介護サービスを利用する場合、公的介護保険が適用されたとしても自己負担額は生じるため、ある程度は経済的な負担がかかります。要介護者の収入や預貯金だけでは足りず、養護者が残りの費用を負担する場合は、生活が苦しくなることも考えられるでしょう。

要介護者が健康問題を抱えている場合は、さらに医療費の負担も考えなければなりません。

知識・情報の不足

養護者が十分な知識や情報を持たないまま突然介護をしなければならない状況となった際、忙しさのあまり、必要な知識や情報を得られずに介護することもあるでしょう。養護者の介護に関する知識や情報が不足している場合、以下のような状況に陥ることが考えられます。

● 適切なケアや介護の方法がわからない
● 介護に関する相談先や介護サービス等の知識を知らない

要介護者への適切なかかわり方や、利用可能な公的機関のサポートを知ることで、養護者の負担が軽減される可能性があります。

介護疲れを解消する3つの対策法

介護事件が起こる要因の多くは、養護者の介護疲れによるものです。最後に、介護疲れを解消する3つの対策法について解説します。

ストレス解消に努める

ストレスがたまると、身体の不調以外にも、注意力や集中力が低下する、今まで好きだったことに興味がなくなるなどの症状が現れます。また、ストレスをため続けた結果、介護うつになることも考えられます。

睡眠時間の確保や休養を心がける、好きなものを食べる、趣味に没頭する、自分の時間を作り友人と会うなどの方法で、ストレスを軽減・解消することが大切です。

相談する

介護は1人で抱え込まず、必要なときに助けを求められるようにしておくことが重要です。「他人の助けを借りることは迷惑になる」「自分が介護を担うのは当然である」などとは考えないようにしてください。

養護者の孤立を防ぎ精神的負担を軽減したうえで介護に関する情報を得るためにも、地域包括支援センター・自治体の相談窓口・かかりつけの医療機関など、介護に関する相談先の情報を得ておきましょう。

介護相談では、養護者の不安や悩みなどに対応してくれるだけでなく、介護制度や利用者のニーズに合ったケアプランの作成など、適切な支援や方向性の指示を受けることが可能です。

介護相談には、養護者の負担が軽減され時間の余裕が生まれる、安心感が得られるなどのメリットがあります。

介護サービスの利用・見直し

介護を負担に感じる場合は、デイサービス・ショートステイ・介護施設への入居などの介護サービスを利用しましょう。

また、必要に応じて介護保険外のサービスの検討も介護負担の軽減につながります。介護保険外サービスには、配食・高齢者の見守り・家事代行・通院介助などがあります。

すでに介護サービスを受けているにもかかわらず、養護者の負担が大きい場合は、介護サービスの内容が適切ではないのかもしれません。

要介護者の状態に変化がある場合は、要支援・要介護認定の有効期間の途中であっても変更申請をすることができます。更新申請の有効期間は原則12カ月、新規や変更申請の有効期間は原則6カ月です。状態の変化には個人差があるため、定期的に要介護度・介護負担・介護サービスの内容を見直しましょう。

参考記事:認知症の介護をしている家族を上手にサポートする方法はありますか?

介護疲れを避けるには周りに頼ることが大切


介護事件のおもな発生原因には、養護者の経済的困窮、介護に関する知識や情報の不足などがあり、なかでも大きな割合を占めるのは介護疲れによるものです。

介護は、要介護度や介護期間によっては、養護者に大きな負担がかかります。介護疲れを解消するには、好きなものを食べる、趣味を楽しむなどのストレス解消や介護サービスの利用および見直しなどが重要です。

また、介護事件を避けるためにも、介護は決して1人で抱え込まず、必要な際は周りに相談し、他者に頼ることができる環境を整えましょう。

 
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社会福祉士 萩原 智洋

有料老人ホームの介護スタッフとして、認知症の方や身体介護が必要な方の生活のサポートを行う。その後、社会福祉士資格を取得。介護老人保健施設の相談員として、入所や通所の相談業務に従事。第二子の出産を機にライターへ転身。現在は、これまでの経験を活かしてウェブコンテンツの執筆業務を行っている。

公開日:2023年10月20日

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