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民間介護保険とは?知っておきたいメリットや注意点

高齢化が進むなか、民間介護保険の特徴や加入するメリットについて、知りたい方は多いのではないでしょうか。

民間の保険会社などが提供する介護保険は、公的介護保険とは別に任意で加入する保険です。民間介護保険で支払われる給付金は、介護にまつわるさまざまな費用に使える利点があります。

この記事では、民間介護保険の概要やメリット、注意点を解説したうえで、具体的な選び方、よくある質問に対する回答も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

民間介護保険とは「介護に備えて任意加入する保険」

まずは、民間の介護保険に関する概要や、公的介護保険との違いについて見ていきましょう。

民間介護保険の概要

民間介護保険は、保険会社などの民間企業が提供している保険です。加入義務がある公的介護保険とは別に、個人の意思で加入することが特徴で、給付額は保険会社の商品や払込額に応じて変化します。

内閣府の「令和4年版高齢社会白書」によると、2021年における日本の65歳以上人口は約3,621万人で、高齢化率は28.9%(※)という調査結果も出ています。さらに、2045年には高齢化率が36.8%になるという推測も出ており、ますます高齢化が進むとされているのです。

心置きなく介護サービスを利用するためにも、各世帯における介護費用の備えはこれから重要になるでしょう。

公的介護保険との違い

ここでは、民間介護保険・公的介護保険それぞれの具体的な違いについて、以下の表で見ていきましょう。
項目 公的介護保険 民間介護保険
加入義務 あり(40歳以上) なし(個人の意思で加入)
給付方法 現物支給(介護サービス) 現金支給(受け取り方法は契約内容で変わる)
給付額 要介護・支援の度合いに応じて変わる 任意の設定によって変わる
保険料支払い免除 なし 保険商品によって異なる
手続き先 市区町村 保険会社など
公的介護保険の適用には、要介護・要支援認定を受ける必要があります。また、サービス利用料のうち7~9割は保険適用となりますが、裏を返せば1~3割は自己負担しなければなりません。

一方で民間介護保険の場合、商品ごとに給付要件など内容が異なることが特徴です。

要介護者の増加により民間介護保険のニーズは高まっている

厚生労働省が行なった2020年度の調査(※1)によると、要介護(要支援)認定者数は、同年度末時点で約681万8,000人です。
2000年度(平成12年度)末時点では、同認定者数は約256万2,000人だったため、20年で約2.66倍に増えている計算になります。

生命保険文化センターが行なった2021年度の調査(※2)によると、「今後増やしたい生活保障準備項目」として、「世帯主が要介護状態となった場合の介護資金の準備」と答えた割合は25.6%という結果でした。2012年調査時の20.6%と比べると、5.0ポイントも上昇しています。

これらの調査結果から、民間の介護保険のニーズは向上していることがわかります。

民間介護保険に加入する3つのメリット

次に、民間の介護保険に加入する主なメリットを3つ紹介します。

現金給付のため介護サービス以外の用途での利用も可能

民間介護保険で給付されるものは現金です。給付された後の使途は問われないため、介護サービスの自己負担分に充てる以外に、生活費や交通費、住宅改修費の補填といった目的でも利用可能です。

一方、公的介護保険の場合は、現金ではなくサービス自体が給付されるため、規定の介護サービス以外の用途へは適用できません。日常的な生活費なども含めて、介護全体にかかる費用へ使うことができるのは、民間介護保険ならではの利点といえます。

ニーズに応じて豊富な種類から選べる

一口に民間介護保険といっても、さまざまな種類があります。例えば、認知症介護に特化して備えられる商品や、軽度の介護段階から備えられる商品など、ニーズに応じて選べる点が魅力です。

また、支払いのタイミングに関しても、年金タイプとして一生涯の給付を受けられるものや、一時金タイプとしてまとめて給付を受けられるものがあります。日々の介護費用に充てたい場合は年金タイプ、まとまった費用を受け取りたい場合は一時金タイプが適しています。

生命保険料の控除対象になる

民間の介護保険の保険料は、生命保険料の控除対象となるメリットがあります。生命保険料控除とは、生命保険料や介護医療保険料などを支払った際に、一定額が所得控除となる制度です。
介護保険として将来に備えながら、所得税や住民税の負担を抑えられます。

民間介護保険に入る際の注意点

メリットがある一方、民間の介護保険へ加入する前に知っておきたいポイントもあります。

健康状態によっては加入できないケースがある

民間の介護保険へ加入する際は、保険会社に対して自身の健康状態を告知する必要があります。健康状態によっては、加入できないケースもあり得ます。
健康上の理由で通常の介護保険への加入が難しい場合は、引受基準緩和型の介護保険も選択肢となるでしょう。
  

保険料の支払いが必要になる

民間介護保険に加入した場合、公的介護保険とは別に保険料の支払いが発生します。
無理なく支払い続けられる商品・プランを選ぶことが大切です。

民間介護保険の選び方

ここからは、民間介護保険の選ぶ際の視点を4つ紹介します。これから民間介護保険の加入を検討するうえで、ぜひ参考にしてみてください。

給付金の受け取り方

まずは、給付金の受け取り方について紹介します。

年金タイプ

年金のように、複数回にわたって給付されるタイプです。月々発生する介護サービスの利用料や、生活費などをまかなうことに適しています。

一時金タイプ

給付金を1回でまとめて受け取るタイプです。多くの場合、年金タイプと比べて1回で受け取る給付金額を高めに設定できることが特徴です。施設への入所費や住宅リフォーム費など、ある程度まとまったお金が必要な場面にも備えることができます。

保険期間

次に、保障が継続する期間ごとの特徴について見ていきましょう。

定期タイプ

保障期間が「●●歳まで」「●●年●●月●●日まで」と区切られているタイプで、期間内に給付条件を満たした場合に給付を受けることができます。
保障期間が終身タイプに比べると短いため、多くの場合保険料が抑えられることが特徴です。

終身タイプ

保障が一生涯続くタイプです。介護保障では特に、高齢期になってから必要な場面が多いことが想定されるため、一生涯の保障があると安心です。

給付条件

続いて、給付条件ごとの特徴について解説します。

公的介護保険のみを給付条件としているタイプ

公的介護保険制度での要支援・要介護認定をそのまま給付条件として設定しているタイプです。その以外の条件が設定されていないため、非常にわかりやすいという特徴があります。

保険会社・商品独自の条件があるタイプ

保険会社が独自に定めた条件に合致した場合、給付を受けられるタイプの介護保険です。基準は保険会社の商品ごとに異なるため、加入前にしっかりと内容を確認することが大切です。

その他の特徴で選ぶ

受け取り方法や給付条件以外の特徴としては、保険料払込免除機能の有無などが挙げられます。保険料払込免除機能がある介護保険の場合、条件に合致することで保険料の払込みが不要となります。

保険料の払込みが免除されることで家計への負担が抑えられるというメリットがあります。

民間介護保険は、公的介護保険ではカバーしきれない介護サービス費や生活費の負担を軽減できるものです。給付条件や受け取り方法などは保険商品によって大きく異なるため、ご自身の状況に合わせたものを選ぶことで、より心強いサポートとなるでしょう。

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