何歳から介護が必要になる?
介護が必要となる平均年齢と事前に行なっておきたい5つのこと


親や身近な人の年齢が上がるにつれて、「今は元気にしているけれど、そろそろ介護に備えたほうが良いかもしれない」と考えることもあるでしょう。

今は元気に過ごしていても、何かのきっかけである日突然介護が必要になる可能性は十分にあります。介護が必要となる平均的な年齢が何歳くらいなのかを把握しておけば、いざというときに備えやすく安心です。

この記事では介護が必要となる平均年齢やきっかけ、期間について解説します。また、介護予防のためにできることや介護が始まる前に行なっておきたいことも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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介護が必要となる平均年齢は?

厚生労働省の調査結果によると、介護が必要になる親の平均年齢は75歳です。

また、厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、要介護者等の年齢階級別構成割合は以下のようになっています。
 
また、内閣府「令和4年版 高齢社会白書(全体版)」の「第1章 高齢化の状況(第2節 2)」では、65~74歳と75歳以上の被保険者について、要支援・要介護の認定を受けた人の割合を以下のように示しています。

1226 要介護等認定の状況

単位:千人、( )内は%

6574

75歳以上

要支援

要介護

要支援

要介護

241

1.4

517

3.0

1,638

8.9

4,293

23.4

資料:厚生労働省「介護保険事業状況報告(年報)」(令和2年度)より算出

(注1)経過的要介護の者を除く。

(注2)( )内は、6574歳、75歳以上それぞれの被保険者に占める割合

 

上のデータから、75歳以上になると要介護の認定を受ける人の割合が大きく上がることがわかります。

介護が必要となるきっかけは?

厚生労働省の調査「現在の要介護度別にみた介護が必要となった主な原因(上位3位)」を参考に、介護が必要となったきっかけを見てみましょう。

介護が必要となったきっかけは、要支援者では関節疾患が19.3%で最も多く、次いで高齢による衰弱が17.4%、骨折・転倒が16.1%となっています。
一方、要介護者では認知症が23.6%で最も多く、続いて脳血管疾患(脳卒中)が19.0%、骨折・転倒が13.0%です。
常時の介護が必要となるきっかけとして、認知症・脳血管疾患(脳卒中)・骨折や転倒が主要なものとなっている点には、注目しておく必要があるでしょう。

介護が必要な状態とは?

介護が必要な状態とはどのような状態を指すのかについて、詳しく解説します。

要支援・要介護

公的介護保険制度では、介護が必要な状態を「要支援」「要介護」という用語を用いて表現しています。

要支援とは、家事や身支度などの日常生活に支援が必要で、介護予防サービスが効果を発揮する状態です。一方、要介護とは、寝たきりや認知症などで常時介護を必要とする状態を指します。

介護を必要としている人が、どのような介護をどれくらい必要とするのかを判定するために、公的介護保険制度で行なっているのが「要介護認定」です。

要介護認定で要支援1・2、要介護1~5と認定されると、介護予防サービスや介護サービスが受けられます。

要介護度の状態の目安

要介護認定で要支援1・2、要介護1~5の要介護度が判定された場合、それぞれどのような状態を表すのでしょうか。大まかな目安を紹介します。
 

要支援1

立ち上がり・歩行といった動作に支えが必要です。また、掃除などの日常生活の一部に、見守りや手助けを要します。

要支援2

立ち上がり・歩行などが少し不安定です。食事・排せつなどはほとんど自分で行えますが、助けが必要なときもあります。

要介護1

食事や排せつにときどき助けが必要な状態で、もの忘れなどの理解の低下が見られることがあります。立ち上がり・歩行は安定していません。

要介護2

食事や排せつにしばしば助けが必要です。混乱やもの忘れなどの理解の低下が見られます。立ち上がり・歩行時には支えが必要です。

要介護3

食事や排せつに一部助けを要し、入浴や更衣には介助が必要です。一人では立ち上がりや歩行ができないことがあり、全般的な理解の低下が見られます。

要介護4

排せつ・入浴・更衣に介助が必要で、全体的な理解の低下があります。立ち上がり・歩行は不安定で、一人で行なうことができません。

要介護5

食事や排せつなどの生活行動が著しく低下しています。立ち上がり・歩行や意思伝達が難しい状態です。

上記はあくまでも状態の目安です。実際は複数の条件から総合的に要介護度が判定されます。

介護をする人(介護者)は誰?

実際に介護を担う介護者は、どのような立場の人が多いのでしょうか。

厚生労働省の調査によると、誰が介護しているのかについては以下の割合となっています。
 

配偶者

事業者

別居の家族等

子の配偶者

その他の親族

父母

不詳

その他

22.9

16.2

15.7

11.8

5.4

1.2

0.1%

26.0%

0.6%

また、介護をしている人の性別は、要介護者等と同居している場合と別居している場合で以下の割合となっています。
 

 

男性

女性

不詳

同居

31.1

68.9

0.0%

別居

26.0

71.1

3.0%

なお、同居している介護者の年齢は以下のとおりです。

 

40歳未満

40

50

60

70

80歳以上

男性

1.3

6.0

17.6

26.9

22.8

25.3

女性

1.6

5.0

17.0

30.1

31.1

15.3

以上の内容から、介護をしているのは本人の配偶者が最も多く、次いで子が介護者となっていることや、同居・別居ともに男性よりも女性が介護を多く行っていることがわかります。

年齢で見ると、男女ともに50代以降に介護を行なうケースが多くなっていることも注目したいポイントです。

介護が必要な期間はどれくらい?

平均寿命と健康寿命の差から、介護が必要な期間を考えましょう。健康寿命とは、健康に関する問題で制限されることなく日常生活を送れる期間を指します。

厚生労働省によると、2019(令和元)年の日本の平均寿命は男性が81.41歳、女性が87.45歳でした。一方、同じ年の健康寿命は男性が72.68歳、女性が75.38歳です。

上記の平均寿命から健康寿命を差し引くと、介護が必要と考えられる期間は男性が8.73年、女性が12.07年となります。
そのため、介護が必要な期間はある程度の長さであると把握しておいたほうがよいでしょう。

介護予防のためにできること

介護が必要な状態になることを防ぐために、取り組みやすい3つのポイントを紹介します。

生活習慣を整える

生活習慣を整えるのは、介護予防において重要なポイントの一つです。

まずは、夜間に十分な睡眠を取ることを意識しましょう。十分な睡眠は心身の疲労回復効果だけではなく、老化防止効果も期待できます。

栄養バランスの良い食事を心がけることも大切です。栄養バランスに気を配ることで、筋力や体力の低下を防ぎ、感染症や骨折のリスクを軽減できます。

また、誤嚥性肺炎を防ぐために口腔ケアや口腔体操を取り入れ、口腔内を清潔に保つことも大切です。

運動習慣を取り入れる

一般的に、運動不足で体を動かさないでいる場合、骨や筋肉の働きが低下して骨折や転倒のリスクが高まります。介護予防のため、生活のなかに運動習慣を取り入れましょう。

ウォーキングなどの有酸素運動や近所のスーパーへの買い物、家事の合間のストレッチなど、日頃から体を動かす習慣を取り入れることが大切です。

今よりも体を動かす機会を少しでも増やして継続できれば、立派な運動習慣といえます。

他者との交流や趣味を楽しむ

趣味やスポーツを楽しんだり、他者との交流を持ったりすることは生きがいにつながり、脳を若々しく保つ効果が期待できます。

新聞や本を読んだり、将棋やマージャンなどのゲームをしたりして脳に刺激を与え、認知症予防につなげるとよいでしょう。

また、地域のサークルやボランティアなどの活動に参加することもおすすめです。社会の一員として日々を過ごすことで、うつや認知症のリスクを下げられます。

身近な人の介護に備えて行なっておきたい5つのこと

積極的な介護予防に取り組んでいても、介護が必要になる可能性は十分にあります。

ここでは、身近な人に介護が必要になったときのために、事前に行なっておきたいことを5つ紹介します。

相談できる機関を把握する

身近な人の介護が始まる前に、相談できる公共機関を把握しておくことが大切です。

例えば、各市区町村に設置されている地域包括支援センターでは、介護の全般的な相談や要介護認定の申請代行も行なっています。必要なときにすぐに動けるよう、地域包括支援センターの場所や連絡先などを把握しておくと安心です。

介護サービスについて知っておく

身近な人の介護を自分一人で行なおうとすることは、心身の大きな負担になります。

日本では介護を支援するための公的介護保険制度が整っているため、要介護認定の流れや介護サービスについての情報を知っておくとよいでしょう。

例えば、公的介護保険が適用される介護サービスには以下のようなものがあります。

● デイサービス
● デイケア(通所リハビリテーション)
● 訪問介護サービス
● ショートステイ

介護が必要になる前に、介護サービスの基本的な内容だけでも確認しておくことをおすすめします。

本人の意向を聞いておく

本人の話を落ち着いて聞けるうちに、介護についての意向を聞いておくと安心できます。

特に、排せつや入浴の手助けは家族と事業者のどちらが良いのか、介護サービス利用時の費用はどのお金を使うかなどは、明確にしておきたいポイントです。

意向を聞きにくい場合は、雑談のなかで少しずつ聞いたり、周囲の介護経験者の話をしたりしながら確認するとよいでしょう。

頼れる相手を確認しておく

身近な人の介護が必要になった場合に頼れる相手を確認しておけば、負担を1人で抱え込むことを防げます。家族や兄弟、親戚や近所の人など、周囲の人のサポートをうまく活用するとよいでしょう。

特に兄弟や親族などのサポートは、心身の負担だけでなく、経済的な負担も軽減できる可能性があります。

兄弟や親族とはあらかじめコミュニケーションを取っておくことで、介護をきっかけとしたトラブルを防げるでしょう。

勤務先の制度を確認しておく

介護をする側が仕事をしている場合、要介護者の通院の付き添いや体調の変化などで仕事を休まなければならないケースがあります。

介護と仕事を両立するために、介護に関するどのような制度を設けているのかを勤務先に確認しておくとよいでしょう。

要介護状態にある家族を介護する労働者のための制度としては、一般的に介護休暇と介護休業があります。

介護が始まってからでは申請方法などを詳しく確認する余裕がない恐れもあるため、あらかじめ勤務先の制度を把握しておくことが大切です。

介護が必要になる平均年齢を把握して身近な人の介護に備えよう


介護が必要になる親の平均年齢は75歳で、介護が必要となるおもなきっかけは、認知症・脳血管疾患(脳卒中)・骨折や転倒となっています。

要介護状態になることを予防するには、生活習慣・運動習慣の見直しや趣味の活動、他者との交流が効果的です。

介護に関する情報収集や協力してもらえる人のリストアップをあらかじめ行ない、身近な人の介護に備えましょう。

 
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将来に備えて保険加入をご検討中の場合は、ぜひご活用ください。

社会福祉士 萩原 智洋

有料老人ホームの介護スタッフとして、認知症の方や身体介護が必要な方の生活のサポートを行う。その後、社会福祉士資格を取得。介護老人保健施設の相談員として、入所や通所の相談業務に従事。第二子の出産を機にライターへ転身。現在は、これまでの経験を活かしてウェブコンテンツの執筆業務を行っている。

公開日:2023年11月28日

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