「ケアハウス」とは?
ほかの施設との違いや入居条件・利用の流れ


高齢の親や自分自身の将来に備えて、安心して暮らせる施設を探しているものの、「ケアハウスとは何なのか」「ほかの施設との違いがわからない」とお悩みではありませんか。

ケアハウスは、自立した生活を基本としながら、食事や掃除、緊急時対応などの生活支援を受けられる高齢者向けの福祉施設です。

この記事では、ケアハウスの特徴や種類、利用するメリットや注意点、入居までの流れをわかりやすく解説します。

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「ケアハウス」とは

ケアハウスとは、自宅での生活が難しくなった60歳以上の高齢者が、食事や洗濯といった各種生活支援を受けながら安心して暮らせる福祉施設です。低料金で利用でき、社会福祉法人や地方自治体、民間事業者による運営がなされています。

ケアハウスの位置づけ

ケアハウスは、軽費老人ホームの一種で「軽費老人ホームC型」とも呼ばれています。軽費老人ホームにはA型・B型・C型の3種類がありますが、1990年から現在に至るまでA型・B型の新設は認められておらず、ほとんどがC型(ケアハウス)として運営されています。
  • A型:食事提供や介護職員による生活支援がある施設で、所得制限がある
  • B型:食事サービスがなく、自炊ができる方向けの施設であり、A型と同様に所得制限がある
  • C型(ケアハウス):食事などの生活支援を受けながら暮らし、介護サービスが提供される場合もあるバリアフリー構造の住居であり、所得制限はない
また、都市部の住宅事情に対応するため、居室面積や職員配置などの基準を緩和した「都市型軽費老人ホーム」も設けられています。

ケアハウスの種類

ケアハウスは、「一般(自立)型」「介護型」の2つです。

一般(自立)型

一般(自立)型ケアハウスは、60歳以上で家族による援助が難しく、自立した生活に不安のある方を対象とした施設です。食事の提供や掃除・洗濯といった生活支援、緊急時対応などのサービスを受けられます。

介護サービスを受ける際は、外部の訪問介護やデイサービスなどの在宅サービスを利用する形となります。介護度が上がった場合、ほかの施設へ転居が必要になることもあります。

介護型

介護型ケアハウスは、65歳以上で要介護1以上の方が対象の施設です。

「特定施設入居者生活介護」の指定を受けていることが特徴で、食事や生活支援に加えて、入浴・排せつ・機能訓練などの介護サービスを施設内の職員が一体的に提供します。

要介護度が上がっても継続して暮らせる場合が多く、認知症の方の介護や看取りの対応を行っている施設もあります。

入居条件

ケアハウスに入居する際の条件は、「一般(自立)型」と「介護型」で異なります。

<一般(自立)型ケアハウスの入居条件>
  • 年齢:60歳以上(夫婦で2人部屋に入居する場合は、どちらか一方が60歳以上であれば可)
  • 要介護度:自立が基本だが、要支援・要介護でも相談可能な場合あり
  • 所得制限:なし(ただし、所得に応じて利用料が変動)
<介護型ケアハウスの入居条件>
  • 年齢:65歳以上
  • 要介護度:要介護1以上
  • 所得制限:なし(ただし、所得に応じて利用料が変動)
なお、公的介護保険制度では、介護が必要な度合いに応じて「要支援1」から「要介護5」まで7段階に区分されています。以下は、それぞれの区分の目安をまとめた図です。

*行動・心理症状とは、暴力・暴言、徘徊などの行動症状や、幻覚、妄想、うつなどの心理症状のこと

要介護度別の状態はあくまで目安であり、実際に認定を受けた人の状態がこの表に示した状態と一致しないことがあります。
(公財)生命保険文化センター「介護保障ガイド」(2024年10月改訂版)をもとに作成

ケアハウスとほかの介護施設との違い

高齢者向けの施設には、ケアハウス以外にもさまざまな種類があります。以下に、ケアハウスと代表的な介護施設の違いをまとめました。

施設の種類

入居対象

介護サービス

費用感

ポイント

ケアハウス

自立~要介護

介護型は施設内で対応し、一般型は外部業者を利用

比較的安価

生活支援あり

特別養護老人ホーム(特養)

原則要介護3以上

施設内で提供

比較的安価

入居待ち期間が長いことも

グループホーム

要支援2以上で施設と同じ地域の居住者

施設内スタッフが提供

比較的安価

認知症の高齢者が対象

サービス付き高齢者向け住宅

施設により異なる

外部サービスを利用

比較的高め

(敷金・月額の賃料が必要)

バリアフリー住宅

有料老人ホーム

自立~要介護

施設により異なる

比較的高め

設備やサービスが多様

なお、上記はあくまで一般的な傾向であり、実際の条件は施設によって異なる場合があります。

介護施設の費用は以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。

関連記事:介護施設の費用はいくら?利用料の相場・負担軽減の方法

ケアハウスで提供されるサービス

ケアハウスでは、高齢者が安心して暮らせるよう、次のようなサービスを提供しています。
  • 生活支援や生活相談
  • 緊急時対応
  • レクリエーションやアクティビティ
  • 介護サービスや医療的ケア
日々の食事、掃除や洗濯など、高齢者が暮らしに必要な支援を受けられる点が特徴です。栄養バランスのとれた食事が毎日用意されるため、自炊の負担もありません。季節に合わせた特別メニューや、嚥下機能に配慮した食事を提供している施設もあります。

また、職員が24時間常駐しているため、急な体調不良などにもすぐに対応してもらえます。居室には緊急呼び出しボタンが設置されていることが一般的です。

さらに、体操や趣味活動、季節のイベントなど、楽しみながら交流できるレクリエーションやアクティビティを取り入れている施設もあります。こうした活動を通して、生活にメリハリを持たせることができるでしょう。

介護が必要になった場合は、介護型なら施設内で、一般型なら外部の介護サービスを利用して支援を受けることが可能です。医療的なケアは、施設ごとに対応内容が異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。

ケアハウスを利用するメリット

 
ケアハウスの利用にはさまざまなメリットがあります。ここでは、代表的な4つのポイントを紹介します。

生活支援を受けながら自立した暮らしができる

ケアハウスでは、食事の提供・掃除や洗濯などの生活支援サービスを受けながら、自立した生活を続けられます。

日中の過ごし方は利用者に委ねられており、外出や外泊も事前に申請すれば可能な施設が多いなど、自由度の高さも魅力です。季節ごとの行事やレクリエーションが充実している施設もあり、楽しみながら心身の健康維持につなげられます。

費用負担を比較的抑えられる

ケアハウスは、国や自治体からの補助があるため、有料老人ホームと比較して初期費用や月額費用を抑えられる点が特徴です。所得に応じて利用料が変動する仕組みもあり、生活保護受給者などでも利用しやすい施設となっています。

入居一時金(初期費用)は、一般型で0円~数十万円、介護型では0円~数百万円程度が目安です。

月額費用の目安は、居住費や食費、水道光熱費などを含めて5万~30万円程度で、介護サービスを利用する場合は公的介護保険の自己負担分(原則1~3割)が別途必要になります。

家族の介護負担を軽減できる

ケアハウスでは、生活支援や介護サービスを受けられるので、家族による日常的な介護や見守りが不要になります。離れて暮らしている家族の心配も解決できるでしょう。

特に介護型ケアハウスであれば、要介護度が上がっても住み続けられることから、将来的な介護環境への不安も和らぐでしょう。職員による24時間体制の見守りが整っていることも、離れて暮らす家族にとって安心材料の一つです。

プライバシーを保って生活できる

ケアハウスでは、原則として個室が提供されるため、自分だけの空間を大切にしながら生活できます。

住まいはバリアフリー設計で、緊急時対応や見守り体制も整っており、安全性も確保されています。プライバシーを保ちつつ、必要な支援を得られる暮らしが実現できるでしょう。

ケアハウスの3つの注意点

ケアハウスには多くのメリットがある一方で、利用を検討する際に知っておきたい注意点もあります。ここではおもな注意点を3つ紹介します。

入居するまで時間がかかることもある

ケアハウスは、費用を抑えて生活支援を受けられる施設として人気があり、入居希望者が多いのが現状です。そのため、すぐに入居できるとは限らず、待機期間が発生することがあります。

特に介護型ケアハウスは施設数が限られているうえに需要も高いため、1年以上待つケースも珍しくありません。入居を希望する場合は、早めに情報収集を始め、複数の施設を比較・検討しておくことが大切です。

集団生活ならではの制約やルールがある

ケアハウスでは原則として個室が用意されますが、同じ施設内で多くの人と共同生活を送ることになります。食事や入浴の時間が決まっていたり、外出には事前申請が必要だったりと、一定のルールに従う必要があります。

人とのかかわりが苦手な方や、マイペースな生活を重視したい方にとっては、環境に慣れるまでストレスを感じることがあるかもしれません。

要介護度によっては退去を求められる可能性がある

一般型ケアハウスでは、自立した生活を前提としているため、要介護度が上がると退去を求められることがあります。特に要介護3以上になると、介護体制が十分でない施設では、引き続き暮らすことが難しくなるケースも見られます。

将来を見据えて、入居前に介護対応の範囲や、提携するほかの施設があるかどうかなどを確認しておくとよいでしょう。

ケアハウス利用までの流れ

ケアハウスに入居するまでの一般的な流れを、4つの段階に分けて解説します。

情報収集・利用相談を行う

まずは、自分に合ったケアハウスを探すことから始めましょう。居住地の自治体や介護施設のポータルサイト、各施設の公式サイトなどを活用し、希望に合う施設を探しましょう。

候補が見つかったら、施設を見学して、スタッフの対応や設備、生活環境などを自分の目で確かめることが大切です。入居待ちが長い施設もあるため、複数の施設を比較・検討しておくのがおすすめです。

入居申し込みと必要書類の提出を行う

入居したい施設が決まったら、申込書などの必要書類を提出します。必要書類には、入居申請書や本人確認書類、健康診断書などが含まれるのが一般的です。

書類審査は、入居希望者の状況や施設側の受け入れ体制を踏まえて行われます。

面談・入居審査を受ける

書類審査を通過すると、入居希望者と施設側との面談が行われます。

面談では、健康状態や生活状況、入居の意思などが確認され、施設との相性も含めて総合的に審査されます。この面談結果をもとに、施設により最終的な入居可否が判断されます。

契約手続きと入居準備を行う

入居が認められたら、施設と入居者(または家族)との間で契約を交わし、入居日を決定します。契約手続きには2~3時間かかることもあるため、時間に余裕を持っておくと安心です。

家具や日用品などを持ち込む場合は、事前に必要なものをリストアップし、スムーズに入居できるよう準備を進めましょう。

最適な施設を選択するために、ケアハウスへの理解を深めておこう


ケアハウスは、生活支援を受けながら自立した暮らしを続けたい方や、将来的な介護への備えを考える方にとって、有力な選択肢の一つです。費用を比較的抑えられ、プライバシーを保ちつつ支援を受けて暮らせる環境が整っている点が大きな魅力といえるでしょう。

一方で、入居待機が発生する場合や集団生活ならではのルールがあり、要介護度によっては転居が必要になる可能性もあるなど、事前に知っておきたいポイントも存在します。

スムーズに入居先を決めるためには、早めに情報収集を始め、見学や相談を重ねて自分に合った施設を見極めることが大切です。ケアハウスの特徴や利用条件をしっかり把握し、将来の安心につながる最適な選択を目指しましょう。

 
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将来に備えて保険加入をご検討中の場合は、ぜひご活用ください。

社会福祉士 萩原 智洋

有料老人ホームの介護スタッフとして、認知症の方や身体介護が必要な方の生活のサポートを行う。その後、社会福祉士資格を取得。介護老人保健施設の相談員として、入所や通所の相談業務に従事。第二子の出産を機にライターへ転身。現在は、これまでの経験を活かしてウェブコンテンツの執筆業務を行っている。

公開日:2025年6月13日

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