介護で大変なことランキングTOP10
介護の負担を和らげるポイントは?


在宅介護を始める予定の方など、介護の何が大変なのか具体的に知っておきたいと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。あるいは、すでに在宅介護を行なっている方であれば、介護の負担を軽減する方法を知りたいと思うこともあるでしょう。

在宅介護は家族のための行動である反面、介護者にとっては苦労をともなうことも少なからずあるものです。

この記事では、介護で大変なことをランキング形式で紹介し、なぜ大変なのかという点や介護負担が続くとどうなるのかを解説します。また、介護の負担を軽減するポイントもお伝えするので、ぜひ参考にしてください。

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介護で大変なことランキングTOP10

介護施設での現場経験や相談員としての経験を持つ監修者が選ぶ、「介護で大変なことランキングTOP10」を紹介します。

1位:排せつの介助

排せつの介助は要介護者の状態によって異なり、大変さを感じる介護者が多い介助です。例えば、紙おむつの交換が必要な方もいれば、ポータブルトイレを使用するサポートが必要な方もいます。

また、介助者のなかには排せつ介助のにおいや汚物処理に抵抗がある方も少なくありません。消臭スプレーや汚物のにおいを密閉する処理袋など、入手できる介護用品を上手に活用して、汚物処理をできるだけ簡潔に行なうことが大切です。

排せつ物の漏れに悩んでいる場合は、紙おむつやパッドの種類やサイズを見直したり、防水シーツをベッドや椅子に敷いたりして、対策してみてください。

2位:要介護者とのコミュニケーション

介護者と要介護者の価値観や感覚の違いが大きいと、特に大変さを感じるのがコミュニケーションです。

要介護者のこれまでの生活スタイルや希望を尊重することは大切です。しかし、衛生面で問題のあるものを捨てたいときなど、意見の食い違いが生じた際には話し合いが大変になります。

在宅介護は夫婦間や実の親子間だけでなく、義理の親子間でも行なわれるものです。

実の親子でも介護に関する内容を伝えることが難しいなか、義理の親子間ではさらに気遣いしながらの対応を要します。コミュニケーションの難しさから、ストレスやフラストレーションがたまりやすいといえるでしょう。

また、認知症を患っている方のなかには、暴言や暴力のある方もいます。認知症の要介護者とコミュニケーションをとる際は、できるだけ相手の目線に立ち、肯定しながら接することが大切です。

3位:経済的な負担

子が親の介護を行なう場合、単に親の身体的な世話をするだけでなく、介護に必要な経済的な支援も含まれることがあります。

そこで、介護サービスの利用を増やしたくても経済的な事情で実現できないケースや、福祉用具の購入に費用がかかり金銭面で大変さを感じるケースも少なくありません。

こうした場合には、自治体の補助金制度を活用したり、遠方で介護に協力できない親族がいる場合は、話し合いのうえ金銭的なサポートをお願いしたりして、経済的な大変さを少しでも軽減するとよいでしょう。

4位:仕事や育児、家事との両立

要介護度が重くなると転倒や徘徊のリスクも高まり、本人を24時間見守る必要が生じます。そのため、要介護者から目が離せなくなり、介護者の時間的な余裕はなくなることもあるでしょう

親の介護をする世代は働き盛りや子育て中の方もいることから、介護との両立が難しいと感じる場合も多く、睡眠時間の確保すら困難になるかもしれません。

介護には身体的なケアだけでなく、準備やあと片付けなども含まれます。例えば、トイレ介助にはベッドからの起き上がりや椅子からの立ち上がりなどのサポートも求められ、手間と時間を要します。

介護者にも自分の生活があり、介護のために自分の生活を維持できなくなることのないよう注意すべきです。

介護者は介護サービスや勤務先の制度、介護に参加していない親族など頼れる部分はフル活用し、自身の負担を減らしましょう。

5位:徘徊への対応

徘徊とは認知症の進行にともなう症状で、要介護者が自宅を飛び出してしまうことです。危険に遭遇する可能性や行方不明になるリスクがあり、社会問題にも発展しています。

徘徊のおそれがある要介護者を、介護者だけで常時見守ることには限界があります。徘徊への対応の負担を少しでも軽くするため、自治体の見守りサービスの利用などがおすすめです。

また、要介護者が適度な運動や趣味活動に取り組むと、徘徊に必要なエネルギーが消費され徘徊の予防につながります。

6位:入浴の介助

入浴の介助は、必要に応じて要介護者の身体を抱きかかえるなど、介助行為のなかでも体力を要するものです。

また、入浴では要介護者が羞恥心を感じやすいため、本人が介助を拒否することもあります。拒否された場合、介護者にとっては精神的な負担も加わるでしょう。

加えて、要介護者が溺れたりヒートショックを起こしたりしないよう、細心の注意を払う必要があります。

在宅介護のなかでも特に大変な介助だからこそ、入浴の頻度を週2~3回程度に減らしたり、訪問入浴・デイサービスでの入浴などを利用したりするとよいでしょう。

浴室の手すりや滑り止めマットなどを用意して安全性を高めることも、介護負担の軽減につながります。

7位:移乗の介助

移乗とは、ベッドから車いす、車いすからベッドなどさまざまな場面で行なう乗り移りの動作を指します。

移乗の介助は、要介護者・介護者の双方にとって身体的な負担が大きい介助といえるでしょう。無理な体勢や環境で移乗を行なうと、介護者の腰痛や要介護者のけがにつながりかねません。

自治体が開催する家族介護教室などに参加すると、負担の少ない介助方法を身に付けられるためおすすめです。

8位:食事の介助

一般的に、食事の介助は要介護度が重くなるほど大変になります。介護が必要な度合いが高くなると、食べさせる介助だけでなく食材をミキサーで細かくしたりトロミを付けたりする手間もかかります。

介護者が食事介助で感じる負担を軽減するために、ホームヘルパーに調理や介助を頼んだり、要介護者が自分で食べられるようにできる自助具を使用したりすることが重要です。

介護用スプーンやストローキャップなど、食事の介助に使えるグッズは100円ショップでも販売されているので、試してみるとよいでしょう。

9位:服薬の管理

要介護者のなかには多くの薬を服用している方も少なくないため、服薬を管理する介護者側も大変です。

薬の飲み忘れがないよう気を付けたり、注意事項を守って飲ませたりする苦労があるでしょう。要介護者が認知症を患っている場合は、薬を飲むことを拒否する場合もあります。

こうした状況では、医師や薬剤師に相談し、無理のない服薬管理を行える方法を検討するのがおすすめです。薬の剤形の変更や一包化、食前・食後・食間などの服薬方法をできるだけまとめるといった対応で、服薬管理の大変さを軽減できるでしょう。

また、服薬ケースや服薬カレンダーを活用すると薬の飲み忘れを防げます。

10位:通院の介助

高齢になると受診や通院で病院とのかかわりが増えます。病院への移動において身体的な不安がある方や、医師からの説明の理解に不安がある方に対しては、通院の介助が必要です。

しかし、高い頻度で病院への付き添いが必要だと、介護者が予定を調整するのも大変です。

また、通院時の要介護者の服装や持ち物、出先での排せつに関することなど、さまざまなことに気を配る必要もあります。

家族に協力をお願いしたりホームヘルパーに通院介助を依頼したりすることにより、介護者の負担を軽減していきましょう。

在宅介護を大変に感じる理由

在宅介護で大変さを感じる理由を、3点にまとめて解説します。

身体面の負担感

在宅介護では食事や排せつ、入浴の介助などを行なうため、介護者は身体面の負担を感じやすくなりがちです。

要介護度が重くなるにつれて、寝たきりの方を起こしたり移動をサポートしたりするなど、介助の内容は変化します。自然と、介護者の足腰にかかる負担も増加しやすくなります。

これらに加え、夜間の介助や徘徊への対応による睡眠不足も、介護者の身体的な負担につながるでしょう。

心理面の負担感

在宅介護では、介護者の時間が限られ、休息が取りにくい生活になることが多い側面があります。そのような状況では、ストレスがたまりやすくなり心理的な負担につながるのが一般的です。

特に、認知症を発症している方とのコミュニケーションは難しい傾向があり、苦痛に感じる場合もあるでしょう。

なかには、ケアマネジャーや介護サービス事業所の職員などとの新たな人間関係にストレスを感じるケースもあります。

経済面の負担感

介護施設に入所している場合に比べれば経済的な負担は少ないとはいえ、在宅介護にも一定の費用が生じます。

介護サービスの利用者負担割合は、所得によって1~3割となるためかなり抑えられる一方、公的介護保険が適用されない費用もあります。例えば、食事代や紙おむつ代などは公的介護保険の適用外です。

介護用品や自宅の介護リフォームの費用も考慮すると、経済面の負担は決して少なくないといえるでしょう。

介護負担が継続する場合の4つの懸念

在宅介護における負担が解消されない場合に生じる懸念について、おもなものを紹介します。

健康への影響

長時間の介護や体力的な負担は、介護者の健康に影響を与えるおそれがあります。心身の疲労が取れないことで、体調を崩し倒れてしまうことも考えられるでしょう。

また、責任感が強く真面目な介護者が負担を感じながら無理をしすぎると、介護うつの発症にもつながりかねません。

介護者と要介護者の共倒れリスクは、「老老介護」のケースに限らず、介護者の年齢が若い場合でも存在します。

経済的な制約

介護者が親の世話に専念するために介護離職をしたり、介護が理由で労働時間を減らしたりする場合、収入が減少し経済的な負担が増加する可能性があります。

また、離職期間が長引くと介護者が年齢を重ね、再就職が難しくなるケースもあるかもしれません。

介護による経済的な制約を防ぐには、勤務先の介護休暇や介護休業の制度の利用をおすすめします。できるだけ仕事を続けられるよう、制度を最大限に活用してください。

社会的な活動の制限

在宅介護が原因で外出がしにくくなり、友人との交流や地域の催しなど、社会的な活動を制限される可能性もあります。

社会的な活動の制限は、孤立感を抱いたりストレスがたまったりする事態につながるおそれがあるため、介護負担への対策を早期に行なうことが必要です。

家族関係への影響

無理な在宅介護が続くと、要介護者と介護者の双方にストレスがたまります。介護の問題がきっかけで、親子関係が悪化することもあるかもしれません。

また、兄弟や姉妹がいるケースでは、親の介護に関するお金の問題や介護の役割分担でもめる場合もあります。

このように、介護負担の継続は家族関係へも影響をおよぼすおそれがあるのです。

介護負担を軽減するポイント

最後に、在宅介護で大変さを感じている場合に負担を軽減するポイントをいくつか紹介します。

専門的なサポートを受ける

介護に悩んでいる場合は、問題をできるだけ一人で抱え込まないことが大切です。

ケアマネジャーや地域包括支援センターへ早めに相談して、専門的なサポートを受けるとよいでしょう。相談やサポートは無料で、専門家のアドバイスや情報を得られるため、状況の改善につながります。

介護サービスを利用する

在宅介護の大変さを軽減するには、介護サービスの利用が有効です。訪問介護やデイサービス、ショートステイなど、さまざまな介護サービスがあります。

これらの介護サービスを利用すれば、介護者がリフレッシュする時間を作ることも可能です。

利用には要介護認定を受ける必要があるため、まずは自治体や地域包括支援センターの窓口に相談しましょう。

介護の悩みを共有する

自分と同じように介護で悩んでいる人と、悩みを共有するのもおすすめです。地域の介護者の会や、インターネットのコミュニティサイト、SNSなどを活用するとよいでしょう。

また、家族や親族に介護についての悩みを打ち明けることも大切です。状況を伝えることが、介護の協力体制を築くきっかけになるかもしれません。

ケアプランを調整する

すでに介護サービスを利用している場合は、ケアマネジャーに相談してケアプランを見直すのも方法の一つです。適切なケアプランに沿って介護サービスを利用することは、要介護者本人と介護者の両方にとってメリットとなります。

本人に必要な介護を行なってくれ、かつ介護者の生活スタイルにも合ったサービスを利用することが重要なポイントです。

介護施設への入所を検討する

介護負担が増加したり、認知症の発症や進行によって介護を続けることが難しくなったりした場合は、介護施設へ入所することも解決策の一つです。

介護施設には特別養護老人ホームや介護老人保健施設、グループホームなどさまざまな選択肢があります。

入所には要介護度や本人の状態などに関していくつか条件があるため、希望する場合はケアマネジャーや地域包括支援センターに相談するとよいでしょう。

介護で大変なポイントを把握して負担軽減に繋げよう


在宅介護には排せつの介助や要介護者とのコミュニケーションをはじめ、さまざまな困難が存在します。介護者の身体・心理・経済面の介護負担が継続すると、健康や家族関係などに問題が生じる可能性もあるため、早期の対応が必要です。

悩みは一人で抱えることなく、専門的なサポートを受けたり介護サービスを利用したりして、介護負担を軽減しましょう。

 
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社会福祉士 萩原 智洋

有料老人ホームの介護スタッフとして、認知症の方や身体介護が必要な方の生活のサポートを行う。その後、社会福祉士資格を取得。介護老人保健施設の相談員として、入所や通所の相談業務に従事。第二子の出産を機にライターへ転身。現在は、これまでの経験を活かしてウェブコンテンツの執筆業務を行っている。

公開日:2024年1月25日

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