子が親の介護を行なう場合、単に親の身体的な世話をするだけでなく、介護に必要な経済的な支援も含まれることがあります。
そこで、介護サービスの利用を増やしたくても経済的な事情で実現できないケースや、福祉用具の購入に費用がかかり金銭面で大変さを感じるケースも少なくありません。
こうした場合には、自治体の補助金制度を活用したり、遠方で介護に協力できない親族がいる場合は、話し合いのうえ金銭的なサポートをお願いしたりして、経済的な大変さを少しでも軽減するとよいでしょう。
要介護度が重くなると転倒や徘徊のリスクも高まり、本人を24時間見守る必要が生じます。そのため、要介護者から目が離せなくなり、介護者の時間的な余裕はなくなることもあるでしょう
親の介護をする世代は働き盛りや子育て中の方もいることから、介護との両立が難しいと感じる場合も多く、睡眠時間の確保すら困難になるかもしれません。
介護には身体的なケアだけでなく、準備やあと片付けなども含まれます。例えば、トイレ介助にはベッドからの起き上がりや椅子からの立ち上がりなどのサポートも求められ、手間と時間を要します。
介護者にも自分の生活があり、介護のために自分の生活を維持できなくなることのないよう注意すべきです。
介護者は介護サービスや勤務先の制度、介護に参加していない親族など頼れる部分はフル活用し、自身の負担を減らしましょう。
徘徊とは認知症の進行にともなう症状で、要介護者が自宅を飛び出してしまうことです。危険に遭遇する可能性や行方不明になるリスクがあり、社会問題にも発展しています。
徘徊のおそれがある要介護者を、介護者だけで常時見守ることには限界があります。徘徊への対応の負担を少しでも軽くするため、自治体の見守りサービスの利用などがおすすめです。
また、要介護者が適度な運動や趣味活動に取り組むと、徘徊に必要なエネルギーが消費され徘徊の予防につながります。
入浴の介助は、必要に応じて要介護者の身体を抱きかかえるなど、介助行為のなかでも体力を要するものです。
また、入浴では要介護者が羞恥心を感じやすいため、本人が介助を拒否することもあります。拒否された場合、介護者にとっては精神的な負担も加わるでしょう。
加えて、要介護者が溺れたりヒートショックを起こしたりしないよう、細心の注意を払う必要があります。
在宅介護のなかでも特に大変な介助だからこそ、入浴の頻度を週2~3回程度に減らしたり、訪問入浴・デイサービスでの入浴などを利用したりするとよいでしょう。
浴室の手すりや滑り止めマットなどを用意して安全性を高めることも、介護負担の軽減につながります。
移乗とは、ベッドから車いす、車いすからベッドなどさまざまな場面で行なう乗り移りの動作を指します。
移乗の介助は、要介護者・介護者の双方にとって身体的な負担が大きい介助といえるでしょう。無理な体勢や環境で移乗を行なうと、介護者の腰痛や要介護者のけがにつながりかねません。
自治体が開催する家族介護教室などに参加すると、負担の少ない介助方法を身に付けられるためおすすめです。
一般的に、食事の介助は要介護度が重くなるほど大変になります。介護が必要な度合いが高くなると、食べさせる介助だけでなく食材をミキサーで細かくしたりトロミを付けたりする手間もかかります。
介護者が食事介助で感じる負担を軽減するために、ホームヘルパーに調理や介助を頼んだり、要介護者が自分で食べられるようにできる自助具を使用したりすることが重要です。
介護用スプーンやストローキャップなど、食事の介助に使えるグッズは100円ショップでも販売されているので、試してみるとよいでしょう。
要介護者のなかには多くの薬を服用している方も少なくないため、服薬を管理する介護者側も大変です。
薬の飲み忘れがないよう気を付けたり、注意事項を守って飲ませたりする苦労があるでしょう。要介護者が認知症を患っている場合は、薬を飲むことを拒否する場合もあります。
こうした状況では、医師や薬剤師に相談し、無理のない服薬管理を行える方法を検討するのがおすすめです。薬の剤形の変更や一包化、食前・食後・食間などの服薬方法をできるだけまとめるといった対応で、服薬管理の大変さを軽減できるでしょう。
また、服薬ケースや服薬カレンダーを活用すると薬の飲み忘れを防げます。
高齢になると受診や通院で病院とのかかわりが増えます。病院への移動において身体的な不安がある方や、医師からの説明の理解に不安がある方に対しては、通院の介助が必要です。
しかし、高い頻度で病院への付き添いが必要だと、介護者が予定を調整するのも大変です。
また、通院時の要介護者の服装や持ち物、出先での排せつに関することなど、さまざまなことに気を配る必要もあります。
家族に協力をお願いしたりホームヘルパーに通院介助を依頼したりすることにより、介護者の負担を軽減していきましょう。