訪問介護(ホームヘルプ)の利用料金はどれくらい?料金の目安と費用負担軽減制度


自宅での介護で利用できる介護サービスの一つに、訪問介護(ホームヘルプ)があります。訪問介護(ホームヘルプ)を利用すると、食事や排せつ、入浴などの身体介護や、掃除・洗濯などの生活援助を受けられます。

では、訪問介護(ホームヘルプ)の利用には、どの程度費用がかかるのでしょうか。

訪問介護(ホームヘルプ)の利用に伴う自己負担額は、居住する地域や利用時間などによって異なりますが、1回当たり数百円程度です。在宅介護の負担を減らすためにも、適宜利用しましょう。

今回は、訪問介護(ホームヘルプ)の利用料金の目安を紹介し、介護費用負担の軽減制度および訪問介護(ホームヘルプ)を利用する際の注意点を解説します。在宅介護の費用負担でお悩みの方はぜひ参考にしてください。

訪問介護(ホームヘルプ)とは?

訪問介護(ホームヘルプ)とは、要介護者の日常生活を支援するサービスです。介護福祉士や介護職員初任者研修修了者などの訪問介護員(ホームヘルパー)が自宅を訪問し、要介護者の状態に合わせてサービスを提供します。

サービス内容は、身体介護、生活援助、通院時の乗車・降車等介助の3つに大別されます。サービス内容が支援してほしい内容と合っているなら、利用を検討してみましょう。

● 身体介護:食事介助、更衣(着替え)介助、入浴介助、排せつ介助、体位変換 など
● 生活援助:掃除、洗濯、食事準備、生活必需品の買い物 など
● 通院時の乗車・降車等介助:乗車・移送・降車の介助、通院先での移動介助 など

なお、訪問介護(ホームヘルプ)は、要介護度1以上の方が対象です。要支援1および要支援2の認定を受けた方は「介護予防訪問介護」という形でサービスを受けられますが、利用回数等に制限があるため注意してください。

訪問介護(ホームヘルプ)利用料金の目安

訪問介護(ホームヘルプ)の利用料金はどのくらいなのでしょうか。ここでは利用料金の目安を解説します。

訪問介護(ホームヘルプ)の利用料金目安

訪問介護(ホームヘルプ)の基本的な利用料金は、サービスの内容や利用時間、住んでいる地域が属する地域区分(1級地~7級地、その他)などによって異なります。

また、サービスには公的介護保険が適用されるため、利用者負担は、介護サービスにかかった利用料金の1割(一定以上所得者の場合は2割または3割)となります。実際の負担割合は、市区町村が交付している負担割合証で確認しましょう。

サービスの基本的な利用料金の目安は、以下の表のとおりです。利用料金はサービスごとに設定された単位に、1単位当たりの単価を乗じて算出されます。1単位当たりの単価は地域によって異なるため、ここでは1単位10円として利用料金を算出しています。

提示した利用料金はあくまで目安のため、実際にかかる利用料金は訪問介護(ホームヘルプ)の事業所などにお問い合わせください。
 
  単位 利用料金 自己負担額
1割 2割 3割
身体介護 20分未満 167 1,670円 167円 334円 501円
20分以上30分未満 250 2,500円 250円 500円 750円
30分以上1時間未満 396 3,960円 396円 792円 1,188円
1時間以上1時間半未満 579 5,790円 579円 1,158円 1,737円
生活援助 20分以上45分未満 183 1,830円 183円 366円 549円
45分以上 255 2,550円 255円 510円 765円
通院等乗降介助 1回あたり 99 990円 99円 198円 297円

1単位=10円として算出

※参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造」

状況によって加算される料金

先述の基本的な利用料金に加えて、利用状況によっては料金が加算される場合があります。料金加算の例として、初回加算、夜間もしくは早朝の場合の加算、深夜の場合の加算、緊急時訪問介護加算を紹介します。

● 初回加算
初めて訪問介護(ホームヘルプ)を利用する際に加算される料金。1カ月につき200単位(1単位10円の場合、1割負担で200円)。

● 夜間もしくは早朝の場合の加算
夜間(18時から22時まで)または早朝(6時から8時まで)に訪問介護(ホームヘルプ)を利用する際に加算される料金。1回につき基本料金の25%。

● 深夜の場合の加算
深夜(22時から翌6時まで)に訪問介護(ホームヘルプ)を利用する際に加算される料金。1回につき基本料金の50%。

● 緊急時訪問介護加算
緊急で訪問介護(ホームヘルプ)を利用する際に加算される料金。1回につき100単位(1単位10円の場合、1割負担で100円)。

訪問介護(ホームヘルプ)費用負担軽減に使える3つの制度

訪問介護(ホームヘルプ)には公的介護保険制度が適用されるため、利用者負担額は利用料金の1~3割程度に抑えられます。しかし、公的な経済支援があるとはいえ、何度もサービスを利用するうちに利用者負担額が積み重なれば、家計へ大きく影響を与えてしまう可能性も否定できません。

そこで、訪問介護(ホームヘルプ)利用者の費用負担を軽減する制度として、高額介護サービス費、高額医療・高額介護合算制度、社会福祉法人等による低所得者に対する利用者負担軽減制度などがあります。それぞれの制度内容を簡単に解説しますので、利用できる制度がないか確認しましょう。

高額介護サービス費

高額介護サービス費は、月々の利用者負担額の合計額が、所得に応じて区分された上限額を超えた場合、超えた分を公的介護保険から支給してもらえる制度です。設定区分によって負担上限額が異なります。支給には市区町村への申請が必要です。
 

設定区分

対象者

負担上限額(月額)

1段階

生活保護を受給している方等

15,000円(個人)

2段階

市区町村民税非課税世帯で、公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下の方

24,600円(世帯)

15,000円(個人)

3段階

市区町村民税非課税世帯で、第1段階および第2段階に該当しない方

24,600円(世帯)

4段階

①市区町村民税課税世帯で、課税所得380万円(年収約770万円)未満

 

②市区町村民税課税世帯で、課税所得380万円(年収約770万円)以上690万円(年収約1,160万円)未満

 

③市区町村民税課税世帯で、課税所得690万円(年収約1,160万円)以上

44,400円(世帯)

93,000円(世帯)

140,100円(世帯)

「世帯」とは、住民基本台帳上の世帯員で、介護サービスを利用した方全員の負担合計の上限額を指します。

「個人」とは、介護サービスを利用した本人の負担上限額を指します。

第4段階における課税所得による判定は、同一世帯内の65歳以上の方の課税所得により判定します。

参照:厚生労働省「サービスにかかる利用料」

高額医療・高額介護合算制度

高額医療・高額介護合算制度は、同じ公的医療保険の世帯内で、公的医療保険と公的介護保険の両方に自己負担が生じた場合、合算後の負担額が軽減される制度です。決められた負担上限額(年額)を500円以上超えた場合、超えた分が支給されます。なお、負担上限額は世帯年収によって異なります。
 負担上限額(世帯単位)

 

75歳以上

7074

70歳未満

公的介護保険+後期高齢者医療制度

公的介護保険+被用者保険または国民健康保険

年収約1,160万円以上

212万円

年収約770万円以上約1,160万円未満

141万円

年収約370万円以上約770万円未満

67万円

年収約370万円未満

56万円

60万円

市区町村民税非課税世帯等

31万円

34万円

市区町村民税非課税世帯かつ年金収入80万円以下等

本人のみ

19万円

介護利用者が複数

31万円

 

社会福祉法人等による低所得者に対する利用者負担軽減制度

社会福祉法人等による低所得者に対する利用者負担軽減制度は、低所得で特に生計が困難である方向けの費用負担軽減制度で、利用者負担の4分の1(老齢福祉年金受給者は2分の1)が減額されます。

制度の対象となるのは、年間収入が単身世帯で150万円、世帯員が1人増えるごとに50万円を加算した額以下であること、などの要件をすべて満たす方です。

制度を利用する際は、利用者が居住する市区町村に申請し、軽減確認証を交付してもらう必要があります。自治体によって手続き方法が異なる場合があるため、まずは居住する市区町村の窓口へお問い合わせください。

訪問介護(ホームヘルプ)を利用する際の注意点

訪問介護(ホームヘルプ)を利用する際は、以下の2点に注意しましょう。

支給限度額を超えた分は全額自己負担

居宅サービスを利用する際、利用できるサービスの量(支給限度額)は要介護度別に定められています。限度額を超えた分は全額自己負担となるため、自身の限度額を知り、可能な限り、限度額以内に利用料金を抑えるようにしましょう。

ただし、サービスの利用に際してはケアマネジャーが限度額を超えないようにケアプランを作成するため、限度額を超過することはほとんどありません。
 居宅サービスの1カ月当たりの支給限度額

要介護度

1カ月当たりの限度額

要支援1

50,320

要支援2

105,310

要介護1

167,650

要介護2

197,050

要介護3

270,480

要介護4

309,380

要介護5

362,170

訪問介護(ホームヘルプ)で受けられないサービスがある

直接利用者の援助に該当しない以下のようなサービスは、訪問介護(ホームヘルプ)の対象となりません。

● 利用者家族のための来客対応
● 利用者家族の分の食事提供
● 日常生活の援助の範囲を超えるサービス(ペットの世話、草むしり、窓拭きなど)
● 医療行為に該当するもの(点滴、インスリンの注射など)

訪問介護(ホームヘルプ)を利用して介護負担を減らそう


訪問介護(ホームヘルプ)は、要介護1~5の認定を受けた方が利用できるサービスです。身体介護や生活援助などの支援を、1回数百円程度の自己負担額で利用できます。

介護者と要介護者がより良い環境で過ごすためにも、適切に訪問介護(ホームヘルプ)を利用しましょう。

訪問介護(ホームヘルプ)は公的介護保険の対象ですが、サービスの利用には一部自己負担が発生します。介護による経済的負担を抑えたいなら、公的な介護費用負担軽減制度を利用するか、民間介護保険への加入を検討するのがおすすめです。

 
朝日生命では、認知症などの介護の経済的負担に備えられる介護保険を提供しています。
将来に備えて保険加入をご検討中の場合は、ぜひご活用ください。

社会福祉士 萩原 智洋

有料老人ホームの介護スタッフとして、認知症の方や身体介護が必要な方の生活のサポートを行う。その後、社会福祉士資格を取得。介護老人保健施設の相談員として、入所や通所の相談業務に従事。第二子の出産を機にライターへ転身。現在は、これまでの経験を活かしてウェブコンテンツの執筆業務を行っている。

公開日:2023年10月2日

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