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介護保険料を支払っていて、「介護保険料はどのように計算されているのだろう?」といった疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
介護保険料の計算方法は、公的介護保険の被保険者の区分や、加入している医療保険の種類によって異なります。介護への備えをしておくためにも、介護保険料の正しい知識を身に付け、滞納せずに払い続けることが大切です。
この記事では、公的介護保険の被保険者の区分、介護保険料の計算方法や年齢別・世帯別のシミュレーション、納付方法、滞納した場合の措置などについて解説します。
公的介護保険制度の被保険者は2つに区分される
所得段階 |
対象者 |
保険料額 |
|
第1段階 |
・生活保護受給者など ・世帯全員が住民税非課税の老齢福祉年金受給者 ・世帯全員が住民税非課税かつ本人年金収入など80万円以下 |
基準額×0.285 |
|
第2段階 |
世帯全員が住民税非課税 |
本人年金収入など 80万円超 120万円以下 |
基準額×0.485 |
第3段階 |
本人年金収入など120万円超 |
基準額×0.685 |
|
第4段階 |
本人が住民税非課税 (世帯に課税者がいる) |
本人年金収入など80万円以下 |
基準額×0.9 |
第5段階 |
本人年金収入など80万円超 |
基準額×1.0 |
|
第6段階 |
本人が住民税課税 |
合計所得金額が120万円未満 |
基準額×1.2 |
第7段階 |
合計所得金額が 120万円以上210万円未満 |
基準額×1.3 |
|
第8段階 |
合計所得金額が 210万円以上320万円未満 |
基準額×1.5 |
|
第9段階 |
合計所得金額が 320万円以上420万円未満 |
基準額×1.7 |
|
第10段階 |
合計所得金額が 420万円以上520万円未満 |
基準額×1.9 |
|
第11段階 |
合計所得金額が 520万円以上620万円未満 |
基準額×2.1 |
|
第12段階 |
合計所得金額が 620万円以上720万円未満 |
基準額×2.3 |
|
第13段階 |
合計所得金額が720万円以上 |
基準額×2.4 |
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) |
給与所得控除額 (令和2年分以降) |
162万5,000円まで |
55万円 |
162万5,001円から180万円まで |
収入金額×40%-10万円 |
180万1円から360万円まで |
収入金額×30%+8万円 |
360万1円から660万円まで |
収入金額×20%+44万円 |
660万1円から850万円まで |
収入金額×10%+110万円 |
850万1円以上 |
195万円(上限) |
65歳以上の公的年金等に係る雑所得の速算表(令和2年分以後) 公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円以下の場合 |
|
公的年金等の収入金額の合計額 |
公的年金等に係る雑所得の金額 |
110万円以下 |
0円 |
110万円超330万円未満 |
収入金額の合計額-110万円 |
330万円以上410万円未満 |
収入金額の合計額×0.75-27万5,000円 |
410万円以上770万円未満 |
収入金額の合計額×0.85-68万5,000円 |
770万円以上1,000万円未満 |
収入金額の合計額×0.95-145万5,000円 |
1,000万円以上 |
収入金額の合計額-195万5,000円 |
出典:厚生労働省「第9期計画期間における介護保険の第1号保険料について」「令和6年度 介護納付金の算定について(報告)」
所得段階 |
住民税 課税状況 |
区分 |
保険料額 |
第1段階 |
個人:非 世帯:非 |
生活保護・老齢福祉年金受給者 課税年金収入額+ 合計所得金額80万円以下 |
基準額×0.285 |
第2段階 |
個人:非 世帯:非 |
課税年金収入額+ 合計所得金額80万円超120万円以下 |
基準額×0.4 |
第3段階 |
個人:非 世帯:非 |
課税年金収入額+ 合計所得金額120万円超 |
基準額×0.685 |
第4段階 |
個人:非 世帯:課 |
課税年金収入額+ 合計所得金額80万円以下 |
基準額×0.9 |
第5段階 |
個人:非 世帯:課 |
課税年金収入額+ 合計所得金額80万円超 |
基準額 |
第6段階 |
個人:課 世帯:課 |
合計所得金額120万円未満 |
基準額×1.1 |
※第7~15段階は省略
出典:さいたま市「国民健康保険税の計算」
出典:全国健康保険協会「令和6年度保険料額表」
年齢 |
収入など |
介護保険料(月額) |
|
国民健康保険 |
協会けんぽ |
||
40歳 |
年収500万円 (給与35万円+賞与80万円) |
6,958円 |
2,880円 (賞与発生時は +6,400円) |
50歳 |
|||
60歳 |
|||
70歳以上 |
公的年金を年間60万円受給 |
1,826円 |
|
公的年金を年間160万円受給 |
7,047円 |
年齢 |
収入など |
介護保険料(月額) |
|
国民健康保険 |
協会けんぽ |
||
40歳 |
夫:年収500万円 (給与35万円+賞与80万円) 妻:年収100万円 |
6,958円 |
2,880円 (賞与発生時は+6,400円) |
50歳 |
|||
60歳 |
|||
70歳以上 |
夫・妻ともに 公的年金を年間60万円受給 |
3,652円 |
|
夫:公的年金を年間160万円受給 妻:公的年金を年間60万円受給 |
1万2,812円 |
未納期間 |
措置の内容 |
1年未満 |
l 納付期限から20日以内に督促状が発送される l 延滞金や督促手数料が加算されることがある |
1年以上 |
l 介護サービスを利用する場合、いったん全額自己負担になる l 後日、給付の申請をすると、本来の自己負担額を除く費用が払い戻される |
1年6カ月以上 |
l 介護サービスの利用の際の介護サービス費が全額自己負担になる l 給付の申請をしても、保険給付費の全額または一部が一時的に差し止められる |
2年以上 |
l 「未納」と見なされ、本来の介護サービス費の自己負担割合(1~3割)が3割~4割に引き上げられる l 特定入所者介護サービス費や高額介護サービス費が利用できなくなる |
公的介護保険制度は、65歳以上の第1号被保険者と、40歳以上64歳以下の第2号被保険者に区分されます。
第1号被保険者の介護保険料は、市町村ごとの条例で定められた基準をもとに、前年の本人や世帯の所得に応じて算出されます。算出された介護保険料は、特別徴収または普通徴収のいずれかの方法で納付しなければなりません。
第2号被保険者の介護保険料の算出方法は、加入する医療保険によって異なり、医療保険と合わせて徴収されます。
夫婦世帯では、介護保険料を支払っていなかった妻も、65歳を境に別途支払う必要が出てきます。ご自身の家族構成の場合、介護保険料がいくらになるのか、目安の金額を把握しておくとよいでしょう。
第1号被保険者または第2号被保険者のいずれも、介護保険料を滞納した場合は、介護サービスを受ける際にサービス内容や給付の制限を受けます。
介護サービスを受ける際に困ることがないように、正しい知識を身に付け、介護保険料を滞納することなく支払い続けることが大切です。
公開日:2024年12月20日