引っ越し時の介護保険の手続きは?
住所変更の必要な手続きと注意点


引っ越しで住所が変わる場合、公的介護保険の住所変更が必要になるのか気になる方も多いでしょう。

公的介護保険の住所変更は、転居先、および要介護・要支援認定を受けているかどうかで手続きが異なります。特に、ほかの市区町村に転居する方、介護保険施設に入居する方は事前に手続き内容を把握しておきましょう。

本記事では、転居先における公的介護保険の住所変更、介護施設などの入居に必要な手続き、住所変更に関する注意点を解説します。

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転居先によって異なる公的介護保険の住所変更方法

介護保険被保険者証の住所変更は、引っ越し先や、要介護・要支援認定を受けているかによって手続きが異なります。ここでは、転居先別に介護保険の住所変更の手続きを解説します。

同じ市区町村内で転居する場合の住所変更方法

同じ市区町村内で転居する場合、転居届を提出して住民票を変更します。転居届の提出と同時に、介護保険の担当窓口で介護保険被保険者証と本人確認書類を提出し、住所を書き換える手続きが必要です。ただし、転居届と介護保険被保険者証を一緒に提出するだけで、住所変更の申請や手続きが不要な自治体もあります。

新住所が記載された介護保険被保険者証は、後日に郵送で交付されることが一般的です。当日に窓口で受け取れるケースもあるため、お住まいの自治体の対応を事前に確認しておくと安心です。

なお、要介護・要支援認定を受けている方は、同じ市区町村内なら要支援・要介護認定の内容も引き継がれます。新住所が記載された介護保険被保険者証により、今までどおりの介護サービスを受けることが可能です。

別の市区町村に転居する場合の住所変更方法

公的介護保険を提供する保険者は、住民票のある市区町村です。被保険者は市区町村の公的介護保険に加入するため、引っ越しで市区町村が変わるときは所定の手続きが必要です。

現在とは別の市区町村に転居する場合、転出元と転入先の両方で手続きを行います。
まずは転出元の介護保険担当の窓口で、介護保険被保険者証の返納と介護保険被保険者資格喪失届を提出します。要支援・要介護認定を受けている方は「介護保険受給資格証明書」を役所から受け取ります。転入先の市区町村に提出するものなので大切に保管しましょう。

次に、転入日から14日以内に、転入先の市区町村の窓口に転入届を提出しましょう。要支援・要介護認定を受けている方は「介護保険受給資格証明書」も提出します。転入日から14日を過ぎると、再び要支援・要介護認定を申請する必要があるため注意が必要です。

なお、介護保険料を多く納めていた場合、転出時に月割りで精算するケースもあります。

介護施設などに入居する場合に必要な手続き

現在の住まいから転出する際、自宅ではなく介護施設に入居するケースもあるでしょう。公的介護保険の施設は住所地特例対象施設といい、自宅に住む場合と住所変更の手続きが異なります。

以下に、住所地特例対象施設の概要、住所変更と入居の手続きを解説します。

住所地特例対象施設とは

「住所地特例」とは、介護施設などに入居する際に住民票を変更したとしても、以前の市区町村が保険者になる仕組みをいいます。

公的介護保険では、住民票のある市区町村が被保険者となるのが原則です。しかし、介護保険施設が多い地域ほど、給付費の負担がかかります。介護保険施設のある市区町村が異なっても今までの住所に住民票を残すことで、財政のバランスを保つ目的があります。

住所地特例が適用される対象の施設は、以下のとおりです。
 

 

住所地特例対象施設の種類

介護保険施設

l  特別養護老人ホーム

l  介護老人保健施設

l  介護療養型医療施設

特定施設

※地域密着型特定施設を除く

l  有料老人ホーム

※ただし、有料老人ホームであって、特定施設入居者生活介護の指定を受けていない賃貸借方式のサービス付き高齢者向け住宅は対象外。

l  軽費老人ホーム(ケアハウスなど)

l  養護老人ホーム

住所地特例対象施設の入居に関する手続き

住所地特例対象施設に該当する施設に入居する場合、転居前の市区町村に申請が必要です。転出届の提出に加え、公的介護保険の「住所地特例適用届」も併せて提出しましょう。

住所地特例が適用されると、保険者となる自治体は今までと変わりません。本人の住所や介護認定など、今までの内容がそのまま引き継がれます。ただし、施設によっては、住所地特例施設の対象外になるケースもあるので事前に確認しておきましょう。

なお、公的介護保険の利用者本人による手続きが困難な場合、家族などの代理人が申請手続きすることも可能です。代理人が申請する際は、身分証明書と委任状の提出が必要になります。

公的介護保険の住所変更に注意すべきポイント3つ

公的介護保険の住所変更を行う場合、以下3つのポイントに注意しましょう。

転入から14日経過すると介護認定の再申請が必要

要支援・要介護認定を受けている方がほかの市区町村に転入する場合、14日以内に住所変更の手続きを済ませなければなりません。転入から14日を経過すると転出前の介護認定が引き継がれず、再度申請が必要になります。

要介護の申請から認定を受けるまで、おおむね1ヵ月かかることが一般的です。ただし、認定調査の状況によっては、1ヵ月を超える可能性もあります。

転居後もすぐに介護サービスを受けたい場合、14日以内に手続きを完了させましょう。

以前の住所地の地域密着型サービスが受けられなくなる

公的介護保険における地域密着型サービスとは、認知症や要介護状態にある方が、住み慣れた地域で生活を続けられるようサポートするサービスのことです。

デイサービスや訪問介護を取り入れた小規模多機能型居宅介護、24時間365日対応の定期巡回、少人数制のデイサービスである地域密着型通所介護など、サービスの内容は多岐にわたります。

これらの地域密着型サービスは、該当する市区町村に住む方のみが受けられるものです。転入先の市区町村によっては、以前の住所地と同じ地域密着型サービスを提供していない可能性もあります。利用したい地域密着型サービスがある方は、転入先の市区町村でサービスを提供しているか確認が必要です。

介護施設に入居する際、住民票を移す義務はありません。しかし、地域密着型サービスは、住民票のある市区町村の住民が対象になるので注意が必要です。

なお、本人の手続きが困難なときは、代理人による申請も可能です。

ケアマネジャーとケアプランが変更になる

ほかの市区町村に転入した場合、ケアマネジャーと介護のケアプラン(介護サービスなどの提供に関する計画 )も変更になります。

転出する旨をケアマネジャーに報告したうえで、転出前に引き継ぎの資料を作成してもらうことをおすすめします。引き継ぎの資料を参考に、新たなケアマネジャーが新規でケアプランを作成してくれます。

なお、引き継ぎの書類を依頼するときは、気になる点や介護の希望も伝えておくと安心です。

転居先によって住所変更手続きは異なるためしっかり確認しよう


公的介護保険被保険者証を持っている方や公的介護保険で介護サービスを受けている方は、引っ越しよる住所変更の手続きが必要です。

同一の市区町村の場合、介護保険被保険者証の住所を書き換える手続きだけで済みます。

しかし、要支援・要介護の方がほかの市区町村に転居する場合、転入から14日以内に住所変更を手続きしなければなりません。介護保険施設に入居する場合、お住まいの自治体への申請と所定の手続きが必要です。転居先でも介護サービスを受けたい方は、事前に住所変更の手続きを把握しておきましょう。

 
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社会福祉士 萩原 智洋

有料老人ホームの介護スタッフとして、認知症の方や身体介護が必要な方の生活のサポートを行う。その後、社会福祉士資格を取得。介護老人保健施設の相談員として、入所や通所の相談業務に従事。第二子の出産を機にライターへ転身。現在は、これまでの経験を活かしてウェブコンテンツの執筆業務を行っている。

公開日:2024年8月5日

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