地域包括支援センターとは?
役割と相談できる内容・利用方法


地域包括支援センターは、高齢者の生活に関する総合相談窓口です。

名前を聞いたことはあっても、「何をする場所だろう?」「どのようなことを相談できるの?」と具体的な利用方法を知らない方も多いのではないでしょうか。

当記事では、地域包括支援センターの役割やサポートをする専門家を紹介します。併せて、地域包括支援センターに相談できることや利用方法も詳しく解説しますので、介護予防や介護サービスに関心のある方は、ぜひ参考にしてください。

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「地域包括支援センター」とは?

地域包括支援センターとは、介護・医療・福祉・保健など、高齢者のあらゆる困りごとに対応する中核的機関です。高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるよう、必要に応じて適切なサービスや関係機関につなぐ役割を担っています。

現在、地域包括支援センターは全国に5,451カ所(支所を含めると7,362カ所)設置されており(令和6年4月末現在)、相談は無料です。

なお、地域包括支援センターの名称は各市区町村で異なる場合があります。例えば、東京都の場合、江東区では「長寿サポートセンター」、北区では「高齢者あんしんセンター」と呼ばれています。

地域包括支援センターの4つの役割

 
地域包括支援センターには、おもに4つの役割があります。
  1. 総合相談支援
  2. 権利擁護
  3. 包括的・継続的ケアマネジメント
  4. 介護予防ケアマネジメント
それぞれの役割を詳しく見ていきましょう。

1.総合相談支援

地域包括支援センターでは、介護・医療・福祉・保健など、高齢者の困りごとや悩みに幅広く対応しています。相談内容に応じて適切な機関や制度、サービスを紹介し、利用につながるまでサポートします。

ほかにも、要介護認定の申請や介護サービスの手続きなどのサポートや、支援を必要とする高齢者のもとを訪問する「アウトリーチ」も地域包括支援センターの役割です。

2.権利擁護

高齢者が安心して尊厳のある生活を送れるよう、高齢者の権利にかかわる相談を受け付けています。具体的には、詐欺などの消費者被害の相談・対応や虐待の早期発見・対応などです。

また、成年後見人制度の紹介など、判断能力や体力が低下した高齢者も安心して暮らせるようサポートしています。

3.包括的・継続的ケアマネジメント

地域包括支援センターでは、地域で活動するケアマネジャーへの助言や個別相談、情報交換会、勉強会などの機会を提供しています。また、医療福祉の専門職や民生委員、支援に必要な関係機関などとのネットワークを構築し、支援体制を整備する役割も担っています。

高齢者への支援を充実させるためには、関係機関との協力体制を強化することやケアマネジャーへの支援体制づくりが大切です。

4.介護予防ケアマネジメント

要支援1・2と認定された方、今後介護や支援が必要になる可能性が高い方などに、状態に合わせた介護予防を支援しています。

具体的には、要支援1・2と認定された方を対象とした、介護予防ケアプランの作成支援・介護予防サービスの案内などです。また、今後介護や支援が必要になる可能性が高い方には、健康教室の実施などもしています。

地域包括支援センターに在籍する専門家

地域包括支援センターには、保健師・主任ケアマネジャー・社会福祉士といった専門家が職員として在籍しています。次では、それぞれの専門家について解説します。

保健師

保健師のおもな役割は、ケアプランの作成や高齢者の介護予防です。具体的には、以下のような業務を担っています。

ケアプランの作成
相談業務
健康管理や保健指導
介護予防に役立つ情報の提供
健康づくり教室などの開催

要支援1・2に認定された方の介護予防のケアプラン作成は保健師にとって大切な業務です。高齢者本人や家族からの要望を踏まえて、適切なサービスを受けられるようにプランを作成します。

また、保健師は看護師資格も保有しており、医療知識を必要とする相談でも活躍しています。

主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)

主任ケアマネジャーのおもな役割は「包括的・継続的ケアマネジメントの支援」です。具体的には、以下のような業務があります。

ケアマネジャーの指導・相談
ケアプラン作成の支援
支援が難しい事例への助言
地域ケア会議の開催

ケアマネジャーの相談先になったり、地域の関係機関との連携を支援したりと、地域で活躍するケアマネジャーがより活動しやすいようサポートを行っています。

社会福祉士

社会福祉士のおもな役割は、高齢者の総合相談支援や権利擁護に関する対応です。具体的には以下のような業務を担っています。

高齢者の生活に関する相談・対応
高齢者虐待に関する相談・対応
消費者被害に関する相談・対応
成年後見人制度の利用援助

必要に応じて、公的制度や地域にある団体、サービスなど、関係各所と連携しながら高齢者の暮らしを支えています。

地域包括支援センターで相談できること

 
地域包括支援センターでは、高齢者に関して幅広く相談を受け付けています。具体的な相談内容と対応の一例を表にまとめました。

【地域包括支援センターに寄せられた相談と対応事例

相談内容

対応

高齢による足腰の衰えで、最近家事をするのが難しくなった

職員が自宅訪問し、訪問介護の生活援助を提案した

父親が入院しており、一人暮らしなので退院後の生活が心配

相談員がケアマネジャーを紹介すると同時に、介護サービスを利用するための申請も進めた

家族の物忘れの症状がひどくなったが、病院の受診を拒まれて困っている

相談員が本人と面会。医療機関やデイサービス職員とも連携し、通院やデイサービスの利用までをサポートした

近所で一人暮らしをする高齢の親族が心配

職員が自宅を訪問。地域住民や医療・介護職と連携して、定期的な見守りや受診の支援を手配した

高齢者が虐待を受けている可能性があるがどうしたらよいか

職員が自宅訪問し虐待があったことを確認。介護負担によるストレスが要因と判断し、介護施設への入居を提案。必要な手続きをサポートした


高齢者本人の困りごとはもちろん、その家族からの相談も受け付けています。また、「近所に住んでいる高齢者のことが心配」など地域住民からの相談も可能です。

地域包括支援センターの利用方法

本人やその家族が地域包括支援センターを利用する場合、どのような手順で利用したらよいのでしょうか。ここでは、利用対象者と利用の流れをそれぞれ紹介します

利用対象者

地域包括支援センターの利用対象者は、以下のとおりです。

対象地域に住む65歳以上の高齢者
高齢者の家族や親族
高齢者支援にかかわっている人(介護スタッフなど)

地域包括支援センターは、対象地域に住む65歳以上の方であれば、要介護認定の有無などの制限なく利用できます。なお、高齢者の家族が利用する場合は、高齢者本人が住む地域の地域包括支援センターを利用する必要がありますので、注意が必要です。

利用の流れ

地域包括支援センターの利用手順は、以下のとおりです。
  1. 自分が居住する地域の地域包括支援センターを調べる
  2. 来所または電話で相談する
  3. 家族や本人と担当者が面談する(来所もしくは自宅訪問)
  4. 相談内容に応じて必要なサービスや事業所の紹介を受ける
調べる際は、各市区町村窓口に問い合わせるか、ホームページを活用すると便利です。地域包括支援センターは多忙な場合もあるため、あらかじめ電話相談をするとスムーズです。

電話連絡をすると、対応した職員がヒアリングして担当する専門家を決定します。その後、本人や家族との面談を経て、必要なサービスや事業所の紹介などを受けられます。

地域包括支援センターを活用し、住み慣れた家で安心して暮らそう


地域包括支援センターは、高齢者が安心して暮らせるよう、あらゆる困りごとに関する相談を受け付けている総合相談窓口です。主任ケアマネジャーや保健師、社会福祉士などの専門家が、悩みに対する解決方法の提案や必要なサービスの紹介をしてくれます。

利用対象者は65歳以上の方とその家族や親族、高齢者支援にかかわる人です。困りごとがある方は、地域包括支援センターに相談してみてはいかがでしょうか。

 
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社会福祉士 萩原 智洋

有料老人ホームの介護スタッフとして、認知症の方や身体介護が必要な方の生活のサポートを行う。その後、社会福祉士資格を取得。介護老人保健施設の相談員として、入所や通所の相談業務に従事。第二子の出産を機にライターへ転身。現在は、これまでの経験を活かしてウェブコンテンツの執筆業務を行っている。

公開日:2025年4月8日

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