要介護認定には有効期限が設けられており、継続して公的介護保険による介護サービスを利用するためには要介護認定の更新手続きが必要です。
ここでは、有効期限が設けられている理由や、有効期間の目安を確認していきましょう。
要介護認定は、心身の状態に応じて適切な介護サービスを提供するための制度です。
高齢者の身体状況や認知機能は、加齢や病気などによって変化する可能性があります。そのため、認定時には適切な要介護度であっても、時間の経過とともに必要な支援内容が変わることもあるのです。
認定内容を見直さなければ、実際の状態よりも軽い認定のまま必要なサービスを十分に利用できなかったり、反対に状態が改善しているにもかかわらず重い認定のままになっていたりするおそれがあります。
このような状況を防ぐため、要介護認定には有効期限が設けられているのです。
更新時には認定調査や主治医意見書をもとに再判定が行われ、現在の状態に応じた要介護度が決定されます。
要介護認定の有効期間は一律ではなく、「新規認定」「更新認定」など認定区分や本人の状態によって異なります。
更新認定の有効期間は、原則として12カ月です。ただし、心身の状態などに応じて3カ月から36カ月の範囲で設定されることがあります。
| 前回の認定結果→更新後の認定結果 |
原則の認定有効期限 |
設定可能な認定有効期限 |
| 要支援→要支援 |
12カ月 |
3~36カ月(状況によっては48カ月)※ |
| 要支援→要介護 |
12カ月 |
3~36カ月 |
| 要介護→要支援 |
12カ月 |
3~36カ月 |
| 要介護→要介護 |
12カ月 |
3~36カ月(状況によっては48カ月)※ |
※前回と同じ要支援度または要介護度であり、市町村が必要と認める場合は、3~48カ月の範囲で設定されることがあります。
有効期間は、自治体から送付される認定結果通知書や介護保険被保険者証で確認することができます。更新時期を把握するためにも、定期的に確認しておくとよいでしょう。
要介護認定「更新手続き」との違い|「新規申請」と「区分変更申請」
要介護認定の手続きには、「更新申請」に加えて、「新規申請」や「区分変更申請」もあります。それぞれ対象者や目的が異なるため、違いを理解して適切に手続き申請を行うことが大切です。
新規申請は、初めて要介護認定を受ける際に行う手続きで、公的介護保険による介護サービスを初めて利用したい人が対象となります。
対象者は、加齢などによって日常生活に支援や介護が必要になった65歳以上の方です。また、40~64歳の方でも、公的介護保険制度で定められた特定疾病に該当する場合は申請できます。
新規申請後は認定調査や主治医意見書などをもとに審査が行われ、自立・要支援1・2または要介護1~5のいずれかに判定される仕組みです。
区分変更申請は、認定の有効期間中に心身の状態が変化した場合に行う手続きです。
例えば、転倒による骨折、または病気の発症などによって介護の必要度が大きく高まり、現在の要介護度では必要な介護サービスが受けられない場合に利用されます。
一方で、リハビリなどによって状態が改善し、以前より必要な介護量が減った場合にも、区分変更申請を行うことが可能です。
区分変更申請を行うことで、更新時期を待たずに要介護度の見直しを受けられます。現在の認定と実際の状態に大きな差が生じた際は、区分変更申請を行うとよいでしょう。
要介護認定の有効期限が切れてしまった場合、公的介護保険給付を受けられず、サービスを継続して利用できなくなる可能性があります。
有効期限が切れた後に公的介護保険による介護サービスを利用した場合、基本的に利用料の全額を自己負担しなければならないため注意が必要です。
更新申請を忘れて認定が失効した場合、一般的には再度の新規申請が必要になります。新規申請では認定調査や審査があらためて行われるため、認定結果が出るまでに時間を要するかもしれません。
その間は本人や家族の金銭的な負担が大きくなり、必要な介護サービスを十分に利用できなくなる可能性もあります。
このようなリスクを避けるためにも、有効期限を事前に確認し、適切なタイミングで更新手続きを行うことが大切です。
要介護認定の更新申請は、認定有効期間満了日の60日前から行えます。
申請期限は原則として有効期間満了日までですが、認定調査や審査には一定の期間を要するため、早めに手続きを進めることが大切です。
更新時期が近づくと、一般的には自治体から更新案内や申請書類が郵送されます。案内が届いたら内容を確認し、速やかに申請準備を進めましょう。
また、入院中であっても退院後に公的介護保険による介護サービスの利用を予定している場合は、更新申請が必要です。退院後すぐにサービスを利用できるよう、入院中であっても準備しておくことが望ましいでしょう。
なお、申請は原則として本人が行いますが、本人による手続きが難しい場合は、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談し、対応を依頼することも可能です。
要介護認定の更新手続きは、複数の手順を経て認定結果が決定されます。手続きをスムーズに進めるためにも、おもな流れを確認しておきましょう。
要介護認定の更新申請では、介護保険被保険者証や自治体指定の要介護認定更新申請書、個人番号確認書類、本人確認書類、主治医の情報を確認できる診察券などを用意します。
なお、40~64歳の第2号被保険者は、医療保険の加入状況を確認できるものも必要です。
必要書類は自治体によって異なるため、事前に役所の窓口やホームページなどで確認しておきましょう。
必要書類を準備したら、市区町村の窓口へ申請書を提出します。
自治体によっては郵送申請にも対応しており、窓口へ行かなくても申請書を提出することが可能です。
本人による申請が難しい場合は、家族やケアマネジャー、地域包括支援センターなどが代理で申請できる場合もあるため、事前に相談しておくとよいでしょう。
更新の申請後は、市区町村の調査員などが自宅や施設を訪問し、認定調査を実施します。認定調査の内容として挙げられるのは、心身の状態や日常生活動作などに関する聞き取りです。
調査結果は要介護度を判定する際の重要な資料となるため、普段の状態を正確に伝えることが重要といえるでしょう。
自治体から主治医へ意見書の作成依頼が行われます。主治医意見書に記載される内容は、病状や心身の状態、介護の手間などです。
意見書は、のちに行われる介護認定審査会での審査資料として活用されます。
介護認定審査会では、認定調査結果と主治医意見書をもとに、利用者の状態を総合的に判定します。
介護認定審査会とは、介護福祉士や医師といった介護・医療の専門家で構成され、申請者に必要な介護の程度を判定するために市区町村が設置する第三者機関です。
審査の結果、「自立」「要支援1~2」「要介護1~5」のどれに該当するのかを市区町村が認定します。
審査が完了すると、認定結果通知書と介護保険被保険者証が送付されます。
認定結果が届くまでには30日ほどかかりますが、手続きの進捗状況や自治体によっては、さらに時間を要する場合があるかもしれません。
ご自身の認定区分や有効期間は、介護保険被保険者証で確認することができます。
要介護認定の結果が不本意だった場合は、各都道府県に設置されている介護保険審査会へ審査請求を行うことができます。
ただし、審査請求には期限が設けられているため、まずは認定結果を受け取ったら早めに内容を確認することが大切です。
また、認定後に心身の状態が大きく変化した場合は、区分変更申請によって要介護度の見直しを求める方法もあります。
どのような対応を取るべきか判断に迷う場合は、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談すると、状況に応じた対応方法のアドバイスを受けることが可能です。