まずは、要介護1の状態や判断基準、要支援2・要介護2との違いを確認していきましょう。
要介護1は、要介護1~5のなかで最も軽い区分です。日常生活の多くを自分で行えますが、身体機能や認知機能の状態によっては、部分的なサポートが必要になります。例えば、身体機能の衰えにより、立ち上がりや歩行、入浴、排せつなどで見守りや介助を必要とする場合があります。
また、認知機能の低下により、服薬管理や金銭管理などの日常生活に支援が必要になるケースがあるのも要介護1の特徴です。
要介護認定は、認定調査の結果や主治医意見書などをもとに、どの程度の介護が必要なのかを総合的に判定する仕組みです。
まず、認定調査の結果をもとにコンピューターによる一次判定が行われます。その後、保健・医療・福祉の専門家で構成される介護認定審査会が主治医意見書や認定調査の特記事項などを踏まえ、最終的に要介護度を判定します。
判定の目安の一つとなる「要介護認定等基準時間」は、食事・入浴・排せつなどの介助にかかる時間を推計したものであり、実際に介護を行った時間を示すものではありません。要介護1は、要介護認定等基準時間が「32分以上50分未満」に該当する状態とされています。ただし、同じ要介護1でも、心身の状態や必要な介護の内容には個人差があります。
要介護1と近い要介護度の区分に、要支援2と要介護2があります。要支援2、要介護1、要介護2と要介護度が上がるにつれて、必要な支援や介助の程度は大きくなります。以下ではそれぞれの違いを確認していきましょう。
要支援2と要介護1は、いずれも要介護認定等基準時間が「32分以上50分未満」に該当しますが、心身の状態や利用できるサービスが異なります。
要支援2は、おおむね自立した生活を送れるものの、一部で支援が必要な状態です。介護予防を目的とした支援(介護予防サービス)によって状態の維持・改善を目指せる場合は、要支援2と判定されます。訪問介護などの介護サービスは原則利用できません。要支援2の方が利用できるのは、介護予防訪問介護や介護予防通所介護などといった介護予防サービスです。
一方、要介護1は日常生活の一部で介助が必要な状態です。認知機能の低下などにより介護予防サービスの利用が適切でないと判断された場合は要介護1となり、訪問介護などの介護サービスを利用できるようになります。
要介護2は、要介護1よりも介護の必要度が高い状態です。要介護1では日常生活の一部で介助が必要となりますが、要介護2では食事や排せつ、入浴、移動など、より多くの場面で介助が必要となる場合があります。
要介護認定等基準時間の目安は、要介護1が「32分以上50分未満」、要介護2が「50分以上70分未満」です。要介護度が上がるほど公的介護保険の給付対象として利用できるサービス量も多くなります。
ただし、要介護度はあくまでも介護の必要度を示す目安であり、同じ要介護度でも心身の状態や必要な介助の内容には個人差があります。
要介護1と認定された方は、訪問介護やデイサービスなど、心身の状態や生活環境に応じた介護サービスを利用できます。ここでは、自宅で受けられるサービスや施設に通って利用するサービス、福祉用具貸与・住宅改修など、要介護1の方が利用できるおもな介護サービスを紹介します。
自宅で利用できる介護サービスには、介護職員や看護職員、リハビリテーションの専門職などが自宅を訪問し、必要な支援を行う「訪問系サービス」があります。住み慣れた自宅で生活を続けながら、介護や看護、リハビリテーションなどを受けられる点が特徴です。
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訪問介護(ホームヘルプ)
ホームヘルパーが利用者の自宅を訪問し、食事・入浴・排せつなどの身体介護や、掃除・洗濯・買い物などの生活援助を行うサービスです。日常生活の一部で介助が必要な方や、家事を行うことが難しくなっている方などに利用されています。
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訪問看護
看護師などが利用者の自宅を訪問し、主治医の指示に基づいて健康状態の確認や療養上の世話、必要な医療的ケアなどを行うサービスです。病気やけがの状態を確認してほしい方や、自宅で療養を続けるために看護上の支援が必要な方などが利用できます。
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訪問リハビリテーション
理学療法士や作業療法士などが利用者の自宅を訪問し、心身機能の維持・回復や、日常生活動作の改善を目的としたリハビリテーションを行うサービスです。歩行や立ち上がりに不安がある方や、着替え、入浴などの日常動作をできるだけ自分で行えるようになりたい方などが利用します。
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訪問入浴介護
介護職員や看護職員などが利用者の自宅を訪問し、専用の浴槽を使用して入浴を介助するサービスです。自宅の浴室で入浴することが難しい方や、家族による介助だけでは安全な入浴が難しい方などが利用できます。利用者の心身の状態を確認しながら入浴を支援するため、自宅での入浴を続けるための選択肢の一つとなります。
施設に通いながら利用できるおもなサービスには「通所介護(デイサービス)」と「通所リハビリテーション(デイケア)」があります。自宅から施設へ日帰りで通い、介護や機能訓練、リハビリテーションなどを受けられる点が特徴です。
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通所介護(デイサービス)
利用者が日帰りで施設に通い、食事や入浴、排せつなどの日常生活上の支援を受けるサービスです。利用者の状態に応じた機能訓練が行われるほか、レクリエーションが行われる場合もあります。自宅での入浴が難しい方や、日中に見守りや介護を受けたい方などに利用されています。また、利用者が施設で過ごす間、家族が介護から一時的に離れられるため、家族の介護負担の軽減にもつながります。
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通所リハビリテーション(デイケア)
利用者が施設に通い、理学療法士や作業療法士などの専門職によるリハビリテーションを受けるサービスです。身体機能の維持・回復や、歩行、立ち上がりなどの日常生活動作の改善を目的として利用します。
要介護1の方が自宅で安全に生活を続けるためには、身体の状態に合った福祉用具を利用したり、住宅の環境を整えたりすることも大切です。
公的介護保険では、福祉用具のレンタルや購入にかかる費用の一部について給付を受けられる場合があります。手すりの設置や段差の解消などの住宅改修についても、一定の条件を満たす場合は費用の給付を受けられます。
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福祉用具貸与
日常生活の自立を支援する福祉用具をレンタルできるサービスです。要介護度や身体の状態、必要性に応じて、手すりや歩行器、歩行補助つえなどをレンタルできます。
購入する場合と比べて、身体の状態や必要性の変化に合わせて、用具を見直しやすい点が特徴です。要介護1の場合、車いすや特殊寝台など一部の福祉用具のレンタルは原則保険給付の対象にはなりません。ただし、身体の状態などによっては例外的に対象となる場合もあるため、必要な福祉用具がある場合は、まずケアマネジャーなどに相談しましょう。
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特定福祉用具販売
衛生面などの観点からレンタルになじまない福祉用具を購入した場合に、一定の条件のもとで購入費用の一部について公的介護保険の給付を受けられる制度です。対象となる福祉用具には、腰掛便座や入浴補助用具などがあります。
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住宅改修
要介護者が自宅で安全に生活できるよう、手すりの取り付けや段差の解消などを行った場合に、一定の条件を満たすことで公的介護保険の給付を受けられる制度です。自宅内での転倒を防ぎ、より安全に生活できる環境を整えることを目的としています。
ショートステイは、正式には「短期入所生活介護」といい、特別養護老人ホームなどに短期間宿泊し、介護や日常生活上の支援を受けるサービスです。
施設では、食事や入浴、排せつなどの介助を受けられるほか、施設によっては機能訓練やレクリエーションなども行われます。要介護1の方も対象で、家族が仕事や用事などで一時的に介護できない場合に活用できます。
また、介護を担う家族が一時的に休息を取るための「レスパイトケア」として利用できる点も特徴です。退院後に在宅生活へ戻る準備をしたい場合や、将来的な施設入居を見据えて施設での生活を体験したい場合に利用されることもあります。
利用を希望する場合は、担当のケアマネジャーに相談し、ケアプランに組み入れてもらいましょう。ただし、公的介護保険を利用してショートステイを連続利用できるのは原則30日までです。また、要介護認定有効期間の半数を超える日数の利用も原則できません。費用も利用する施設の形態や居室の種類などによって異なるの点には注意しましょう。
なお、医療的なケアや専門的なリハビリテーションが必要な場合は、介護老人保健施設などに短期間入所する「短期入所療養介護」が適しているケースもあります。
介護サービスには、要介護度ごとに「区分支給限度基準額」が定められています。ここでは、要介護1の区分支給限度基準額や自己負担額の目安について紹介します。
区分支給限度基準額とは、要介護度ごとに定められている、介護サービスを利用するときの1カ月当たりの利用限度額です。要介護度が上がるほど必要な介護サービスが増えるため、区分支給限度基準額も大きくなります。
要介護1の区分支給限度基準額は、1単位10円として計算した場合、1カ月当たり16万7,650円です。この範囲内であれば、利用した介護サービス費の自己負担分は1割(一定以上の所得者の場合は2割または3割)となり、残りは公的介護保険から給付されます。
介護サービスを利用した場合、自己負担割合は本人の所得などに応じて1~3割となります。要介護1の区分支給限度基準額まで介護サービスを利用した場合の自己負担額の目安は、1単位10円として計算した場合、1割負担で約1万6,765円、2割負担で約3万3,530円、3割負担で約5万295円です。
ただし、区分支給限度基準額は1カ月に1~3割の自己負担で利用できる介護サービスの上限額です。実際の利用額は、利用するサービスの内容や回数によって変わるため、自己負担額も一人ひとり異なります。また、介護サービス費とは別に、利用する介護サービスによって食費や居住費、日用品費などが別途必要になる場合もあります。
区分支給限度基準額を超えて介護サービスを利用した場合、超過した分は公的介護保険の給付対象外となり、原則として全額自己負担となります。そのため、利用する介護サービスや回数は、事前にケアマネジャーへ相談し、区分支給限度基準額を踏まえてケアプランを作成してもらうことが大切です。
介護サービスのなかには、区分支給限度基準額の対象外となるものもあります。利用を検討している介護サービスが区分支給限度基準額の対象となるかどうかについても、併せて確認しておくと安心です。
要介護1の認定を受けたら、居宅介護支援事業所へ連絡しましょう。事業所は市区町村の窓口などで紹介を受けられます。
介護サービスを利用する場合、どのようなサービスを利用するかという介護サービス計画書(ケアプラン)が必要です。ケアプランの作成は居宅介護支援事業所に所属するケアマネジャーが行います。
ケアマネジャーと相談しながら、利用者本人の心身の状態や生活環境、本人・家族の希望などを確認したうえで、利用する介護サービスの種類や頻度を決定します。介護施設に入居する場合は、施設のケアマネジャーが施設サービス計画を作成します。
その後は、利用するサービス事業者と契約し、ケアプランに沿って介護サービスの利用を開始します。
なお、利用開始後、心身の状態や生活環境の変化に応じて必要な介護サービスが変化する場合があります。その場合はケアプランを見直す必要があるため、気になることがあるときは早めにケアマネジャーへ相談しましょう。
要介護1の認定を受けていても、基本的な日常生活の動作ができれば一人暮らしを続けられる場合があります。ただし、安心して生活するためには、本人の心身の状態に応じて家族や周囲による見守り、介護サービスなどの支援を受けることが大切です。
一人暮らしを継続したい場合、訪問介護や訪問看護、デイサービス、福祉用具のレンタルなど、介護サービスをうまく組み合わせて活用していくとよいでしょう。本人の状態や生活環境に合ったサービスを利用することで、自宅での生活を続けやすくなります。
一方で、「転倒することが増えた」「認知機能の低下が見られる」など、日常生活に不安が生じた場合は、介護施設への入居を検討することも選択肢の一つです。ケアマネジャーや家族と相談しながら、本人の状態に合った生活環境を選びましょう。
要介護1でも、介護施設に入居できる場合があります。ただし、介護施設ごとに受けられる介護や生活支援の内容は異なるため、本人の心身の状態や必要なサポートに合う施設を選ぶことが大切です。
要介護1の方が入居を検討できるおもな介護施設には、以下のようなものがあります。
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施設の種類
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おもな特徴
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介護付き有料老人ホーム
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施設スタッフから食事・入浴・排せつなどの介護を受けられる
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住宅型有料老人ホーム
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生活支援を受けながら、必要に応じて外部の介護サービスを利用できる
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グループホーム
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認知症の人が少人数で共同生活を送り、専門的なケアを受けられる
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サービス付き高齢者向け住宅
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安否確認や生活相談を受けながら、必要に応じて外部の介護サービスを利用できる
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ケアハウス
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食事や生活支援を受けながら生活できる
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介護老人保健施設(老健)
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在宅復帰を目指し、リハビリテーションや介護を受けられる
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ただし、入居条件や提供されるサービスは介護施設によって異なります。要介護1で入居できるか、必要な介護を受けられるかなどを事前に確認しましょう。
要介護1の方にかかる介護費用は、自宅で介護を受ける場合と施設に入居する場合で異なります。利用するサービスや介護施設の種類によっても費用は変わるため、あらかじめ目安を把握しておくことが大切です。