原因(1)加齢による身体機能低下や疾患
夜間トイレに起きてしまう回数が1~2回程度であれば、それほど心配する必要はありません。しかし、トイレに起きる回数が多く日常生活に支障をきたしている場合、過活動膀胱や前立腺肥大などの疾患が原因で頻尿になっている可能性を考えましょう。
過活動膀胱は、膀胱が過敏になって活動しすぎることにより、尿が溜まっていなくても強烈な尿意を催してしまう症状のことです。
前立腺肥大は男性に特有のもので、尿道を囲むようにある前立腺が肥大してしまい、尿道を圧迫することにより尿が出にくくなります。膀胱にいつも尿が残っている状態になるため、頻尿を引き起こすのです。
原因(2)認知症による見当識障害や記憶障害
見当識障害が起こると時間の感覚が鈍くなるため、昼と夜をはっきりと区別できません。昼夜逆転のような状態になった結果、夜中でもちゃんとトイレに行ったか不安になり、何度も起き出してトイレに行こうとします。さらに記憶障害でトイレに行ったこと自体を忘れてしまい、夜間に繰り返し行くケースもあります。
身体機能低下や疾患によるものと異なり、尿意がなくてもトイレに行きたがるのが特徴です。
原因(3)認知症治療薬の作用
尿意促進作用のある薬のほか、利尿剤を服用している場合にも薬の影響が考えられます。夜間頻尿が本人や家族の負担になっているなら、処方薬の変更を含め主治医に相談しましょう。
認知症でトイレばかり行くことによるリスクとは
夜間にトイレへ行こうとして本人がケガをするリスク
廊下やトイレのバリアフリー化、足もとの照明の設置などハード面での対策は考えられるものの、頻尿治療を施さないことには根本的なリスクは排除できません。
認知症患者本人のストレスが溜まるリスク
あまり大きなストレスがかかり続けると、ストレスの蓄積が原因で症状がさらに進行してしまう危険性もあります。
介助者の精神的・肉体的負担が重くなるリスク
本人のストレス軽減に努めることはもちろん、介助者や家族に強いストレスがかからないように対策することも大切です。次に紹介する対応策を実施するとともに、場合によっては夜間訪問介護サービスの利用など、外部に頼るのも選択肢の一つです。