「健康寿命」とは、介護を受けずに日常生活を送れる期間のことです。つまり、健康寿命と平均寿命の差が介護の必要な期間といえます。
日本の平均寿命は延伸傾向にあります。令和6年(2024年)での平均寿命は、男性は81.09年、女性は87.13年でした。一方、健康寿命は男性が72.57年、女性が75.45年(令和4年数値)です。平均すると男女ともに10年前後の差があり(男性:8.52年、女性:11.68年)、多くの人が高齢期に介護を必要とする状態となる可能性があります。
平均寿命が延びると、親の介護が始まった頃には子ども世代も高齢期に差しかかることになり、老老介護や認認介護につながる可能性も高まります。また、平均寿命と健康寿命の差が広がれば介護期間も長期化し、認認介護に陥りやすくなるでしょう。
子ども世帯が遠方に住んでいる場合や、同居していないケースでは、日常的なサポートを受けにくくなります。そのため、高齢の夫婦や親子だけで介護を担う状況になりやすく、負担が偏りがちです。
「子どもに迷惑をかけたくない」という思いから、限界に近い状態でも当事者同士で抱え込んでしまうケースも少なくありません。
周囲の支援が十分に入らない状態が続くことで、問題が深刻化しやすくなり、認認介護へ発展するリスクが高まります。
「介護は家族がするもの」という固定観念や、「他人に頼るのは申し訳ない」といった考えから、介護サービスの利用をためらう人も少なくありません。
また、他人を家に入れる抵抗感から、第三者のサポートを受け入れられないケースもあります。
外部の支援が入らない状態が続くと、生活の異変や問題に周囲が気付きにくくなるでしょう。結果として、必要なサポートを受けられないまま状況が悪化し、認認介護に発展しやすくなります。
「金銭的な余裕が乏しい」「生活保護を受給している」といったケースでは、必要な介護サービスを十分に利用できず、認認介護に発展しやすくなります。
自宅介護の設備をそろえたり、訪問型の介護サービスを利用したりするにも一定の費用がかかります。経済的な理由から利用を控え、家庭内だけで介護を続けようとするケースも多くみられます。
高齢者同士で無理に支え合う状況が続くことで、介護負担が蓄積し、認認介護に陥るリスクが高まります。
認知症は本人や家族が気付かないうちに進行し、日常生活のなかに認認介護につながるサインが現れていることがあります。ここでは認認介護に陥っている可能性が高い、代表的な状態について解説します。
認認介護の初期段階で現れやすいサインは、日常生活の変化です。以前は問題なくできていたことが少しずつ難しくなり、生活全体に影響が出始めます。
以下のような変化が見られる場合には、注意が必要です。
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夫婦ともに物忘れが増えてきた
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食事や服薬の管理が以前より難しくなっている
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家の中の片づけが行き届かなくなってきた
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近所付き合いや外出の機会が減っている
上記のような状態は、単なる加齢による変化ではなく、認知機能の低下や生活管理能力の低下が背景にある可能性があります。日常生活に支障が出始めている場合、早めに状況を確認することが大切です。
認認介護では、介護する側・される側の双方に認知症の初期症状が見られるケースがあります。認知症の進行は緩やかなため、本人や家族が変化に気付きにくくなっています。
特に、以下のような変化には注意が必要です。
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同じことを何度も聞くことが増えた
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物の置き場所を忘れることが多くなった
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日付や曜日の感覚があいまいになることがある
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以前より判断に迷う場面が増えている
これらの状態が複数重なっている場合、自覚がなくても、すでに生活に支障が出始めている可能性があります。
認知症は早期に対応することで、症状の進行を緩やかにできる場合もあります。気になる変化がある場合には、家族間で状況を共有し、専門機関へ早めに相談することが大切です。
認認介護が生じやすくなるのは、外部からの支援が少ない環境です。特に、高齢者同士で生活している場合、問題が表面化しにくく、気付いたときには深刻化しているケースもあります。
以下のような状況に当てはまる場合は、注意が必要です。
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軽度の認知症患者同士で生活している
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介護サービスを利用していない
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家族が生活状況を十分に把握できていない
いずれの状況も、本人たちに自覚のないまま症状が進行している場合があります。外部とのかかわりが少ない状態が続くと、生活の異変や健康状態の悪化に気付きにくくなり、認認介護へ発展するリスクが高まります。