ここからは、認知症での入院期間の目安と、退院後に考えられる選択肢について解説します。
「入院後3ヵ月経ったら退院を促される」という噂を聞いたことはあるでしょうか。病院運営の関係で、そのようなケースがあるようですが、認知症で入院した場合も3ヵ月程度で退院するように言われると、途方に暮れてしまう方もいるでしょう。
実際には病院により対応が異なるため、一律で3ヵ月経ったら退院、というわけではありません。入院期間は症状や家族の事情などにより異なるため、入院先の病院で相談・確認してみましょう。
なお、厚生労働省の資料によれば、アルツハイマー型認知症での平均在院日数は273日(約9ヵ月)となっています。
ただし認知症による入院では、症状の悪化により転院・退院を促されるケースもあり、注意が必要です。
認知症で入院した病院を退院したあとの受け入れ先としては、次のような施設・方法が考えられます。ただし、本人の回復具合や要介護度の変化などにより検討することが大切です。
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認知症に特化した病院(転院)
認知症疾患医療センターが設置されている病院や、認知症医療に特化した精神病院、精神科が設置されている救急病院など。
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認知症に対応している施設
特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護付き有料老人ホームなど。
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介護サービスを利用した自宅介護
ヘルパーによる介護訪問やデイサービスなどを活用して、自宅で介護する方法。
認知症で入院中に、退院を促されたとしても、なかなか退院後の受け入れ先が決まらないケースはあります。悩んでしまったときは次のような相談先を活用してみましょう。
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病院の医療相談室
現在入院している病院などの医療相談室では、ソーシャルワーカーなどの医療専門の相談員がいるので、転院先や介護の相談に対応してもらえます。
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地域包括支援センター
全国の市区町村に設置されている、高齢者支援が相談できる福祉施設です。社会福祉士や介護支援専門員、看護師などが配置されており、福祉・医療面から問題の解決を図ってもらえます。相談は認知症の本人が居住している市区町村のセンターで行ないましょう。
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認知症地域支援推進員
上で紹介した地域包括支援センターや、市区町村窓口に配置されている専門の相談員です。地域での入院や介護サービスなどの相談が可能です。
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自宅介護の場合
自宅介護する場合、介護のつらさを1人で抱え込んでしまいがちです。介護保険サービスや公的サービス、民間事業者のサービスなどに相談し、活用しましょう。利用の際は、認知症に対応している介護事業者を選ぶのがおすすめです。