認知症予防にアロマは有効?
気になる効果と取り入れ方


認知症の非薬物療法の1つに「アロマ療法」があります。
「アロマ療法」では、記憶をつかさどる海馬とつながっている嗅神経をアロマによって刺激することで、その刺激が海馬に届き、認知症予防につながると考えられています。

本記事では、認知症とアロマの関係や認知症に効果的なアロマを紹介します。アロマの活用方法や留意点も併せて解説しますので、ぜひ生活に取り入れてみてください。

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認知症とアロマの関係—なぜ予防に効果的なのか

アロマとは、芳香、香りを意味する言葉で、アロマ療法は心身のトラブルを穏やかに回復し健康や美容に役立てられる療法として用いられます。
なぜアロマは認知症の予防に効果があるとされているのでしょうか。

まずは、認知症とアロマの関係性について解説します。

アロマが与える効果

アロマの利用により、認知症の行動・心理症状である興奮状態や不穏、睡眠障害などの改善が期待できるとされています。

しかしこれは、アロマの成分が直接認知症を予防するわけではありません。アロマの香りにより自律神経の状態が整うことで、気持ちのコントロールに良い働きをしたり、副交感神経が優位になり安眠につながったりします。

認知症にアロマが効果的な理由

アロマが認知症に有効とされているのは、嗅神経を刺激することが、脳の活性化促進につながるためです。

認知症にはいくつかの種類があります。認知症患者数の約7割を占めるのが、アルツハイマー型認知症です。アルツハイマー型認知症は脳内の神経細胞が壊れることで起こり、においの情報を伝える嗅神経が最初にダメージを受けます。

嗅神経がダメージを受けると、嗅神経とつながっている海馬にまでダメージが広がり、記憶障害が起こるため、記憶障害よりも先に嗅覚が低下します。

脳内の神経細胞には、一度壊れると再生できないものが多くありますが、海馬と嗅神経は再生能力を備えています。そのため、アロマの香りで嗅神経を刺激して海馬で新たな神経細胞の生成を促すと、認知症予防につながるとされているのです。

認知症予防におすすめのアロマ4選

さまざまな香りがあるアロマのなかから認知症予防に効果的なものを、おすすめの使用時間帯と併せて紹介します。

レモン

レモンの爽やかな香りには心身を活性化する効果があり、気分をリフレッシュしたいときや冷静になりたいときなどに役立つといわれています。

集中力の向上も期待できるので、昼間に2時間以上使うのがおすすめです。

ローズマリー

ローズマリーのフレッシュではっきりとした香りには、記憶力・注意力・集中力を向上させる効果があります。無気力感やストレスによる疲労などがあるときに利用するとリフレッシュできるほか、眠気を覚ましたいときにも効果的です。

レモンと同じく、昼間に2時間以上使うとよいでしょう。

ラベンダー

ラベンダーの香りには、ストレスの緩和や気分の安定、感情のバランスを取るなどの効果があります。リラックス効果があり、副交感神経を優位にし、不眠にも効果的です。

ラベンダーは、就寝前の使用をおすすめします。

スイートオレンジ

スイートオレンジの甘みのあるみずみずしい香りには、ストレス軽減やリラックス効果、消化促進作用などがあります。抑うつ症状を軽減させポジティブな気持ちにすることで、心のバランスを安定させます。

緊張状態をほぐしてリラックスした状態へと導き、睡眠の手助けにもなるため、就寝前の使用をおすすめします。

認知症予防に取り入れたいアロマの5つの活用方法

認知症予防に効果のある香りは、どのように生活に取り入れればよいのでしょうか。ここでは、簡単に始められるアロマの活用方法を解説します。

アロマディフューザー

アロマオイルの香りを空間に広げるアロマディフューザーは、アロマを生活に取り入れるうえで特に一般的なものだといえるでしょう。加熱式・超音波式・気化式・噴霧式など、複数のタイプがあります。

デザイン性の高い製品もあるため、インテリアとして楽しめる点も魅力です。使う部屋の広さに応じたものやタイマー付きのものなど、自身に使いやすいものを選べます。

ハンカチ・ティッシュ

専用の道具がなくても、ハンカチやティッシュに数滴のアロマオイル(精油)を垂らせば、アロマを取り入れることが可能です。例えば、外出時に気持ちを落ち着かせたい場合に、精油を垂らしたハンカチやティッシュを鼻に近づけて香りを嗅ぐと、アロマの効果を得られます。

ハンカチやティッシュを鼻に近づけなくても、近くに置くだけで香りを十分に感じられます。枕もとに置くと、就寝中にも効果を得られるでしょう。

アロマペンダント

外出が多い人には、アロマオイル(精油)をペンダントトップに数滴ほど垂らして使うアロマペンダントもおすすめです。精油をペンダントトップの容器に直接入れるタイプと、フェルトなどに浸み込ませるタイプがあります。

素材やデザインが豊富にあり、アクセサリー感覚で楽しめます。

アロマスプレー

リラックス効果以外に殺菌や除菌効能をもつアロマは、空間やカーテン、寝具などに吹きかけて使う、アロマスプレーとして活用するのもおすすめです。

アロマスプレーは市販の製品を購入することもできますが、手作りをすることも可能です。手作りをする場合は、精油20滴程度と無水エタノール10mlをスプレー容器に入れて振り混ぜてから、精製水40mlを加えて十分に振り混ぜます。冷暗所で保管し、2~3週間を目安として使い切りましょう。

アロママッサージ

アロママッサージには、香りによる効果だけでなく、スキンシップによる安心感を得られる魅力もあります。マッサージ用オイルを手や腕、足にやさしく滑らせるようにマッサージすることで、香りを楽しみつつ血行促進も期待できます。

なお、精油の原液は肌に直接つけられないので、マッサージ用のオイルを用意しましょう。手作りをする場合は、スイートアーモンドオイルやホホバオイルなどのキャリアオイルに、精油を濃度1%以下になるように加えて混ぜます。

アロマを取り入れる際の留意点

アロマを取り入れる前には、留意点も押さえておくと安心して使えます。

まず、身体に影響する恐れがあるため、アロマを選ぶ際は化学合成品のものではなくオーガニックのものを選ぶことが大切です。人によって過敏に反応したり不調をきたしたりすることがあるので、医師の治療や処方薬を使用している場合は、医師に相談してからアロマの使用を始めることをおすすめします。

また、初めて使うときはパッチテストを行うほか、半分以下の使用量から試すと安心です。精油の種類によっては、肌に付けると紫外線に反応して炎症を引き起こすものもあるため、どのような性質のものかを確かめたうえで使いましょう。

さらに、認知機能の低下がみられる方に使う場合は、食品と間違えて原液の精油を飲んでしまう場合があります。原液の目や肌への付着を避けるためにも、手の届かない場所に置いて保管することも重要です。

その際には、アロマ成分の変化を防ぐために遮光性のガラス容器に入れ、しっかりとふたを閉めて冷暗所で保管しましょう。

アロマオイルは可燃性のため、キッチンのコンロ近くに置いたり、火の近くで使用したりすることも避ける必要があります。

上手にアロマを活用し、香りの効果で認知症予防を


アロマは嗅神経を刺激して海馬を活性化させるため、認知症の予防につながります。

アロマは種類によって、リラックス効果や集中力向上効果など、さまざまな効果が期待できます。日中や就寝前など、それぞれの時間帯と相性の良いアロマをライフスタイルにあった方法で取り入れ、認知症予防に活かしてみてはいかがでしょうか。

 
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将来に備えて保険加入をご検討中の場合は、ぜひご活用ください。

別府 拓紀[医師]

産業医科大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院、市中病院、企業の専属産業医などを経て、現在は市中病院で地域の精神科医療に従事している。
資格: 精神保健指定医、精神科専門医、老年精神医学会専門医、認知症サポート医、臨床精神神経薬理学専門医、公認心理師、メンタルヘルス運動指導士、健康スポーツ医、産業医など

公開日:2024年6月3日

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