ポリフェノールは認知症予防に有効?
効果やおすすめの食品・避けたい食品


認知症は誰もがなり得る病気です。栄養バランスのとれた食事は認知症の予防に効果があるとされており、なかでも一部の栄養素は特に認知症予防に資するとされています。

認知症予防の効果があるとされている栄養素の一つに、ポリフェノールがあります。ポリフェノールは抗酸化物質の一種であり、緑茶やコーヒー、大豆などに含まれている身近な栄養素です。

本記事では、ポリフェノールの概要、ポリフェノールと認知症との関係性、認知症予防におすすめの食品・避けたい食品、食事以外で気を付けたいポイントを解説します。

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知っておきたいポリフェノールの基本

まずはじめにポリフェノールの基本事項を確認しておきましょう。

ポリフェノールは抗酸化物質の一種

ポリフェノールは植物が光合成する際に生成される抗酸化物質です。抗酸化物質には、活性酸素を取り除き、酸化を抑制する働きがあります。

活性酸素は免疫機能や感染防御などの役割を担う物質です。微量であれば人体に有用である一方、大量に生成されると動脈硬化やがん、老化、免疫機能の低下を引き起こします。ポリフェノールは活性酸素を抑制する物質として、1990年代から注目されています。

自然界には8,000種を超えるポリフェノールがあるとされています。ポリフェノールの効果は種類によって異なるため、種類と効果を知ることが大切です。

代表的なポリフェノールの種類

代表的なポリフェノールを、期待できる効果とともにいくつか紹介します。
 

名称

概要

期待できる効果

アントシアニン

青紫色の天然色素で、植物が紫外線など有害な光から自らを守るために蓄えている。ブルーベリーやナスなどに多く含まれる。

・視覚機能の改善

・眼病予防

・メタボリックシンドロームの予防

・花粉症の予防

イソフラボン

大豆胚芽に多く含まれる成分。女性ホルモンと分子構造が似ており、植物性エストロゲンともいう。

・更年期障害の症状緩和

・生活習慣病の予防・改善

カテキン

お茶に多く含まれる成分で、苦渋味のもととなっている。特に緑茶に多く含まれている。

・生活習慣病の予防・改善

・血糖値の上昇抑制

・肥満の予防

・虫歯・口臭の予防

クルクミン

黄色の色素成分で、ウコンに多く含まれる。ウコンは古くから生薬としても利用されている。

・肝機能の向上

・二日酔い予防

・コレステロール値抑制

・脳機能の活性化

フェルラ酸

米、大麦、小麦などのイネ科の植物に含まれる成分。メラニンの生成を抑える作用がある。

・認知症の予防

・動脈硬化の予防

・美白効果

クロロゲン酸

コーヒーやじゃがいもなどに含まれる成分。コーヒーポリフェノールとも呼ばれる。

・脂肪肝の予防

・糖尿病の予防

ポリフェノールを含む食品

ポリフェノールを多く含む食品には以下のようなものが挙げられます。これらを通じて、ポリフェノールを日々の食事にとり入れてみましょう。
 

食品名

含有するポリフェノール

緑茶

エピカテキン

エピガロカテキン

エピカテキンガレート

エピガロカテキンガレート

紅茶

カテキン

テアフラビン

テアルビジン

コーヒー

クロロゲン酸

赤ワイン

アントシアニン

玄米

フェルラ酸

ターメリック

クルクミン

ごぼう

クロロゲン酸

上記の他にも、カカオポリフェノールを含むチョコレートやフラボノイド類ポリフェノールを含むほうれん草などがあります。

ポリフェノールが認知症予防に有効とされている理由

ポリフェノールはなぜ認知症予防に役立つ可能性があるとされているのでしょうか。食事と認知症の関係と、認知症に対するポリフェノールの効果を解説します。

食事と認知症の関係

食事は脳の構造や機能に深くかかわっており、認知症予防にも効果があります。量や質をふまえて食事のバランスを意識すると、認知機能の低下の危険性が減少するため、日々の食事を工夫することは認知症を予防するうえで非常に重要です。

また、孤食は認知機能の悪化を招く可能性があることが報告されており、食事には社会的側面からも価値があることがわかってきています。誰かと一緒に食事をとり、旬の食材や彩りを食事に採り入れることで食事の認知症予防効果をより高められるでしょう。

認知症に対するポリフェノールの効果

認知症の進行を確実に抑制すると科学的に証明されている食品は、現在はありません。認知症と食べ物の関係性についての論文は多くありますが、まだはっきりとしたことはいえない段階にあります。

ポリフェノールは、脳の認知機能改善への有効性がいくつかの研究で示唆されています。また、ポリフェノールは動脈硬化や糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームを予防するともいわれています。

今後、ポリフェノールが身体へ与える効果のメカニズムが解明されれば、ポリフェノールの機能性をより活かす方法が見つかるかもしれません。今後の研究が待たれるところです。

認知症予防のためにおすすめの食品・避けたい食品

食事は認知機能の低下予防を期待できますが、避けたほうが良い食品もあります。認知症の予防におすすめの食品と避けるべき食品をそれぞれ解説します。

なお、認知症予防に効果的な食べ物について下記記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

認知症予防のためにおすすめの食品

認知症予防におすすめの食品には、青魚、緑黄色野菜、果物、ココナッツオイル、オリーブオイルなどがあります。

サンマやアジなどの青魚には、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)が多く含まれています。DHAは認知機能の低下のリスクを抑えるとの報告がなされており、EPAは血行を促進して生活習慣病を予防する効果があるとされています。

緑黄色野菜や果物にはさまざまな栄養素が含まれており、カボチャやにんじんなどに含まれるビタミンや、ほうれん草や納豆などに含まれる葉酸が認知症予防を期待できるとされています。野菜や果物は季節も感じられるため、積極的に食事にとり入れましょう。

ココナッツオイルはエネルギー源であるケトン体を生成し、これが脳の栄養不足を助けて認知機能の低下を防ぐとされています。また、オリーブオイルにはオレイン酸が含まれており、血中コレステロールや中性脂肪をコントロールする働きがあり、脳梗塞や動脈硬化の予防に役立ちます。

バランスの良い食事を基本として、こちらで紹介した食品をとり入れてみてください。

認知症予防のために避けたい食品

認知症予防のために避けたい食品には、肉の脂身やマーガリン・ショートニング、多量の酒などが挙げられます。

肉の脂身に含まれる飽和脂肪酸や、マーガリン・ショートニングに含まれるトランス脂肪酸は、どちらも動脈硬化の原因とされています。動脈硬化により脳梗塞が発症しやすくなると認知症になるリスクが高まるため、これらを摂取する際は適度な量を心がけるようにしましょう。

「酒は百薬の長」ともいわれ、かつては少量の飲酒はよいとされていましたが、基本的に飲酒は健康を害する危険性が高いため避けることが望ましいでしょう。

認知症にならないために|食事以外に気を付けたい5つのポイント

認知症予防のためには食事以外にも気を付けるべきポイントがあります。認知症にならないために気を付けたいポイントを5つ解説します。

適度な運動を心がける

運動習慣は認知症発症のリスクを低下させるとされています。運動にはさまざまな種類がありますが、なかでも多くの研究で効果が認められた、ウォーキングなどの有酸素運動や筋トレがおすすめです。単一の運動だけでなく複数の運動を組み合わせるとより効果的とされています。

週3回以上かつ半年以上、継続的に中強度以上の運動をすると、認知症予防への効果が大きくなるとされています。無理のない範囲で継続的に運動するよう習慣づけましょう

適切な睡眠をとる

不適切な睡眠は認知症になるリスクを高めます。睡眠時間が短すぎても長すぎても、また不眠などの睡眠に関する病気がある場合にも、認知症発症のリスクが高まります。

早寝早起きを心がけて適切な睡眠時間を確保することが大切です。睡眠が適切にとれていないと感じる方は医師へ相談してみましょう。

禁煙する

喫煙は認知症の発症と関係している可能性があり、禁煙によって認知症発症リスクを低下させると期待されています。喫煙はがんや心疾患のリスクを高める原因にもなるため、喫煙している方は可能な限り早く禁煙しましょう。

人と交流する・社会活動に参加する

社会活動への参加、人との会話や交流は、認知症の発症や進行予防に効果があります。少なくとも週1回は誰かと会話したり交流したりするのがおすすめです。対面での会話が難しい場合は、電話やビデオ通話などを活用してコミュニケーションをとるようにしましょう。

音楽活動・芸術活動に参加する

楽器の演奏や歌唱、創作には認知機能を改善させる効果があります。単独ではなく人とかかわりながら活動するとより効果的です。

ただし、音楽を聴いたり絵画を鑑賞したりといった受動的な活動の効果はあまり検証されておらず、不明確です。そのため、演奏したり絵を描いたりといった能動的な活動がおすすめです。活動を通して人との交流を深められれば、より認知症予防に効果的でしょう。

栄養バランスの良い食事は認知症予防の第一歩


栄養バランスの良い食事は、認知症予防に効果的です。ポリフェノールなどの認知症予防に効果があるとされる栄養素をとり入れて、栄養が偏らないよう心がけましょう。

また、認知症予防には食事だけでなく運動や睡眠、社会活動にも気を配ることが大切です。この記事を参考に、ぜひ生活習慣を見直してみてください。

 
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別府 拓紀[医師]

産業医科大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院、市中病院、企業の専属産業医などを経て、現在は市中病院で地域の精神科医療に従事している。
資格: 精神保健指定医、精神科専門医、老年精神医学会専門医、認知症サポート医、臨床精神神経薬理学専門医、公認心理師、メンタルヘルス運動指導士、健康スポーツ医、産業医など

公開日:2024年7月1日

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