認知症について知る

認知症予防にゲームが効果的?
その理由と効果的な7つのゲーム


「この頃、もの忘れが多くなってきた」「自分や家族の認知症を予防したい」と考えている方は多いのではないでしょうか。

楽しく手軽に認知症を予防したいという方におすすめなのが、ゲームです。ゲームにはさまざまな種類があり、自宅で過ごしているときに一人で行なうのはもちろん、家族や友人、地域の人と一緒に行なうことも可能です。

当記事では、なぜゲームが認知症予防につながりうるのか、その理由をわかりやすく解説します。認知症予防のために取り組みやすいおすすめのゲームや、ゲームを行なう際のポイントも紹介するため、ぜひ参考にしてください。

ゲームに認知症予防効果が期待できる4つの理由

国は認知症の予防について、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」と定義しています。

ゲームは、認知症予防の効果が期待できる取り組みの一つです。ここでは、認知症を予防するためにゲームが期待されている理由を4つ解説します。

脳が活性化される

ゲームには脳を活性化させるさまざまな要素が含まれています。

例えば、ルールの理解や手指・体の動作、相手の動きの推測などを自然に行なっているため、ゲーム中は脳を使わないタイミングがほとんどありません。

また、ゲームをしているときは、複数のことを考えながら取り組む場合がほとんどです。楽しみながら複雑的・連続的な思考をすることで認知機能が鍛えられ、認知症の予防につながります。

人とのコミュニケーションが図れる

2人以上で楽しむゲームの場合は、他者とのコミュニケーションの機会が自然に生まれます。

他者との会話や触れあいは脳に多くの刺激を与えるため、孤独感や不安感の軽減も期待できます。

ゲームで他者と楽しい時間を共有できると気持ちが前向きになり、認知症予防の取り組みを継続するモチベーションにもなるでしょう。

頭と体の両方を動かせる

ゲームの種類によっては、頭だけでなく体も動かすことが可能です。

運動は脳に刺激を与えるため、認知機能の低下を防ぐ効果が期待できます。全身運動が難しい状態の方でも、ゲームで指先や口を動かすことが脳への刺激になるでしょう。

また、ゲームを楽しむために体を適度に動かすと、身体機能も高められます。転倒のリスクを減らし、ケガをしても早期回復が期待できる点も、ゲームで体を動かすことのメリットです。

生活にハリが生まれる

ゲームに取り組むと、ふだんの生活ではあまり味わえない達成感や満足感を得られます。

複数人で行なうゲームに参加するために外出したり、ほかのゲームにも挑戦しようと意欲的になったりして、日常生活にハリが生まれる方は少なくありません。

生活のハリは生きる活力とも言い換えられます。ゲームが積極的に生活するきっかけになれば、認知症の予防にもつながっていくでしょう。

ゲーム以外の知的活動も認知症予防につながる

ゲーム以外の知的活動も、認知症予防への効果を期待できる取り組みです。

知的活動とは、読書や手工芸、趣味や家事など、認知機能を使う社会活動全般を指します。 知的活動では物事を考える場面が多いため、脳の機能の多くを使う必要があり、認知症予防に効果的です。

例えば、知的活動には以下のような活動があります。

● 園芸
● 編み物
● お絵描き
● 映画鑑賞
● 楽器演奏
● カラオケ
● 語学学習

好きな活動を楽しく行なうことは脳機能の向上にとって重要で、生活の質にも良い影響をもたらします。ゲームと併せて、さまざまな知的活動を楽しむとよいでしょう。

認知症予防のポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。

認知症予防のポイント

認知症予防におすすめのゲーム7選

一口にゲームといってもその種類は非常に豊富で、「どのようなゲームをすればよいのか迷ってしまう」という方もいるかもしれません。ここでは、認知症予防に効果的なおすすめのゲームを7つ紹介します。

1. パズルゲーム

パズルゲームにはさまざまな種類があり、なかには推理力や記憶力の向上につながるものもあります。

また、ジグソーパズルは認知症予防の効果が期待できるゲームです。パズルのピースを探すなかで色彩の判別や図形の認識、空間把握などが行なわれ、脳を活性化します。

さらに、ジグソーパズルでは手先を使う細かな作業も行なうため、身体能力アップに良い影響をもたらすでしょう。

2. カードゲーム

トランプをはじめとするカードゲームは、カードさえ用意できればすぐに始められます。手軽に楽しめて他者とのコミュニケーションも図れるため、認知症予防におすすめです。

ババ抜きや神経衰弱のようにシンプルに遊べるゲームのほか、七並べのように思考力を要するものもあり、状況に応じてゲーム内容を選べます。

また、ゲームのルールを思い出したり作戦を練ったりするなかで、参加者同士の会話が生まれるのもカードゲームの魅力です。

3. クイズゲーム

クイズゲームはさまざまなバリエーションで作成でき、参加者に合わせて出題できるため、大勢で楽しみやすいのが特徴です。

例えば、人気のクイズゲームには以下のようなものがあります。

● 漢字の穴埋めクイズ
● 四字熟語クイズ
● 都道府県クイズ

上記のクイズゲームは、楽しみながら記憶力のトレーニングを行なうことが可能です。また、観光地や特産物などをヒントに都道府県名を当てる都道府県クイズは、回想法を用いた認知機能へのアプローチにもなるでしょう。

4. 風船バレー

風船バレーは体を動かすゲームの一つで、4人以上で行なうのがおすすめです。2チームに分かれて風船をタッチし、風船が地面や床に落ちないようにラリーを続けます。

バレーボールの代わりに風船を使うため、体に当たっても痛みはなく、ゆったりとプレーできるので高齢者も安全に楽しめるでしょう。座ったまま行なうこともできるので、車いすの方も一緒に遊べます。

また、手で行なう風船バレーのほかに、うちわをラケットのように使う方法もあり、状況に合わせて遊ぶことが可能です。

5. お手玉手渡しゲーム

お手玉渡しゲームは、3人以上でプレーするのに適したゲームです。

参加者は円状に並べた椅子に座り、テーマを決めます。自己紹介や好きな食べ物など、参加者の状況や好みに合わせたテーマを選びましょう。

音楽が流れ始めたら、最初の人はお手玉を隣の人に渡すのと同時にテーマに合った言葉を伝えます。音楽が止まるまで、なるべくスムーズに隣の人にお手玉を渡していくというのがルールです。

ほかの参加者とコミュニケーションを取るきっかけになり、軽い運動もできるお手玉渡しゲームは、認知症予防におすすめです。

6. アクションゲーム

アクションゲームはテレビゲームのジャンルの一つで、スマートフォンやタブレットなどでもできるものが数多くあります。

アクションゲームを行なう際、プレーヤーはどう操作するか考えながら指を動かし、目で画面の動きを追いかけて判断しながらゲームを進めます。その行為が脳のさまざまな部分を使うため、認知機能の低下を防ぐうえで非常に効果的です。

ただし、就寝前のテレビゲームは不眠の原因となりうるため、夜間に行なうのは避けたほうがよいでしょう。

7. リズムゲーム

リズムゲームもテレビゲームの一種で、曲に合わせて指定の動作をするゲームです。スマートフォンやタブレットの画面を指先でタップする方式のものもあるため、初めてのゲームでも遊びやすいでしょう。

リズムゲームで使用されている曲は、歌謡曲やクラシック音楽、洋楽や演歌など多種多様です。老若男女問わず楽しめるため、世代を超えたコミュニケーションのきっかけにもなります。

また、大きく腕を動かして遊ぶリズムゲームの場合は、一定の運動にもなるでしょう。

認知症予防にゲームを活用する場合のポイント

認知症を予防する目的でゲーム活動を行なう際に、押さえておきたいポイントを紹介します。

ケガに注意する

高齢者は身体能力や判断能力が低下しているケースが多いため、体を動かすゲームの場合はケガのないように注意する必要があります。

ゲームを始める前には入念な準備体操を行ない、周囲にある椅子やテーブルなどの障害物はよけておくことが大切です。

参加者の異変をすぐに察知できるよう、必要に応じて参加者を見守る人員を十分に配置するのもよいでしょう。

無理のないようにする

本人がゲームに乗り気でない場合、無理にやらせるのは認知症を予防するうえで逆効果です。あくまでも楽しんで行えるように配慮しましょう。

また、あまりに長い時間ゲームを行なうと、心身の負担になることもあります。「視力低下や頭痛を起こさないよう、テレビゲームやスマートフォンゲームは一日1時間程度にとどめる」というように、あらかじめ実施時間を決めておくとよいでしょう。

レベルを適切に設定する

ゲーム内容があまりにも簡単な場合は、参加者が飽きたりつまらなく感じたりするかもしれません。逆にゲーム内容が難しすぎても、スムーズに進められず、楽しめない可能性があります。

本人の自尊心を傷つけたり、自信を喪失させたりすることのないよう、ゲームを行なう方に合わせた適切なレベルに設定することがポイントです。

勝ち負けにこだわりすぎないようにする

複数人で競うゲームを行なう際、勝ち負けにこだわりすぎると、人間関係のトラブルに発展する可能性があります。

勝ち負けがあるゲームの場合、参加者が楽しさや達成感を感じやすいルールにアレンジするのも一つの方法です。また、勝っても負けても参加者同士で気持ちを共有できるように、数人でグループになってチーム戦を行なうのもよいでしょう。

ゲームを活用して認知症の予防につなげよう


ゲームを行なうと脳が活性化されるうえ、ゲームの種類によっては手指や体を動かせたり、他者とのコミュニケーションが取りやすくなったりするため、認知症の予防におすすめの活動です。

認知症予防に効果的なゲームには、パズルゲームやカードゲームなどが挙げられます。1人でも複数人でも手軽に楽しめるので、毎日の生活に採り入れやすいといえるでしょう。

周囲の安全や体調に配慮しながら、認知症予防にゲームをぜひ活用してください。

 
朝日生命では、認知症などの介護の経済的負担に備えられる介護保険を提供しています。
将来に備えて保険加入をご検討中の場合は、ぜひご活用ください。

別府 拓紀[医師]

産業医科大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院、市中病院、企業の専属産業医などを経て、現在は市中病院で地域の精神科医療に従事している。
資格: 精神保健指定医、精神科専門医、老年精神医学会専門医、認知症サポート医、臨床精神神経薬理学専門医、公認心理師、メンタルヘルス運動指導士、健康スポーツ医、産業医など

公開日:2023年8月9日

介護について知る

介護を予防する

介護について考える

公的制度・支援サービス

介護の費用

介護が始まったら

認知症について知る

認知症とは

認知症の予防

もの忘れ・認知症の専門家の
特別コンテンツ

生活習慣病について知る

生活習慣病とは

生活習慣病の予防

年代別老後の備え方

年代別アドバイス